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大好きな人に逢いに行った日


「新曲持ってきました。」

毎回現存の曲で1番新しい曲を演るときに必ず云うその台詞。

けれどその日はそうじゃなかった。
その台詞で始まった劇はいつも通りの同じ劇を駆け抜けなかった。

いつもと同じだと思っていた私の考えはいとも簡単に覆される。

見たことも聴いたこともない正真正銘の新譜だったのだ。


正真正銘新譜であるということを理解するのは、今まで何度も何度も繰り返し彼らの劇場を観てきた私にとってはとても容易かった。

まだ何処の世界にもないそれらたちを初めて聴いた私はただただ立ち尽くし、音譜と詩を私なりにかき集めるしかなかった。

毎回彼らの新譜を聴いた時の私は私の中で様々な感情になる前に泪となっている。
これは私の中で最高峰である音譜を身をもって体感した時に溢れ出る1種の感情なのだと思う。

彼らが彼ら自身の劇場以外で新譜を披露したのは今回が初めてである。私が見てきた限りは。
そんな貴重な日に立ち会えた。
彼らが良い日だと思えた日に。
それだけで私は嬉しいのだ。
そのためにどこまでも会いに行く。

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