見出し画像

今野龍太のプライド

例に漏れず、私は先発投手のピッチングを見ることなく、3塁側内野席に到着した。
5回裏、村上宗隆の打席だった。村上は、センター前ヒットを放ち、二塁から、山田哲人が生還する。いい場面に出くわした。遅刻の憂き目も、少しは報われるというものだ。

てつとの打つとこ、見てねぇけどな。

6回表、先発・奥川恭伸は、スイッチした今野龍太のピッチングをベンチから見つめていた。5回4失点。真っ直ぐに見つめる瞳に、表情はなかった。

画像3

今野龍太は、2019年ヤクルトにやって来た。楽天を自由契約となった今野は、2018年オフにヤクルトと契約を結び、野球選手を続けることになった。

今野は、野球部員11人の、宮城県・岩出山高等学校から楽天に入団した。地元の県立高校出身。楽天ファンは、楽しかったと思う。
愛着のある宮城県を離れ、家族と東京にやって来た。ぜひ、ヤクルトのユニフォームにも愛着を持ってほしい。そう思いながら、いつもヤクルトファンは応燕している。

画像2

セットアッパーの今野がマウンドに向かうとき、神宮球場に流れる曲は、高橋優「プライド」。その歌詞はまるで、今野が歩んできた野球人生そのものを表すようで、いつも胸が締め付けられる。
そして「頑張れ!」と心から叫びたくなる、そんな歌だ。

今日、今野は移籍後初勝利をあげた。今日のヒーローインタビューは、3人。山田哲人、川端慎吾に次いで最後に登壇した今野は、喜びをかみしめるように、静かに話し始めた。私はこの声を、こんなにしっかり聞いたことがあっただろうか。
心境を聞かれ、「サイコーでーす!」と叫んだその声が神宮に響く、サイコーな夜だった。

画像1

R3.4.23 fri.
S 6-4 D
明治神宮野球場


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?