寒緋桜3

寒緋桜

 都内の桜は散ってしまう。葉桜のやわらかな緑を見上げながら桜を諦めていたところに友人から「東北まで行かなくてもまだ近場でも見られる」と情報が入る。伊香保(群馬県渋川市)まで桜の追っかけをしてしまった。

 16℃と若干肌寒く感じる日だったが都内から伊香保に着く頃には薄雲も取れ晴天となり少し春を戻した陽気となる。残念ながらpeak(満開)は過ぎていて場所全体としての満開は見られなかったが、日当たり具合いによってはまだ見ごろを所々に残す。

 ソメイヨシノ、枝垂桜の他に寒緋桜が幾本かあった。遠目でも傍で見てもソメイヨシノにあまりに慣れ過ぎた関東人からは桜ではなく別の花に見える程そのスカーレットは鮮やかだった。原産地は台湾、中国南部。樹高が10メートルにも達する亜熱帯性の桜だが比較的耐寒性があり関東でも育つそうだ。日本でも鹿児島県や琉球列島に分布しており、沖縄に住む方々はこちらの桜といえば寒緋桜をさす。
 寒緋桜を見て「儚さ」を想像することは難しいかもしれない、少なくとも私には。

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