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「ディスコ」

原題:Disco
監督:ヨールン・ミクレブスト・シーベシェン
製作国:ノルウェー
製作年・上映時間:2019年 93min
キャスト:ヨセフィン・フリーダ・ペターセン、シャスティ・オッデン・シェルダール、ニコライ・クレーヴェ・ブロック

 フリースタイルディスコダンス世界でチャンピオン連勝中だったミリアムは大会演技中パニック障害を起こし倒れる。ここに来るまでに両親の離婚他、心に抱えるものがあった。

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 母の再婚相手である義理の父はカリスマ指導者と呼ばれる新興宗教「フリーダム」の指導者を務める。心的に行き詰まるまでは信徒グループリーダーさえミリアムはこなしていたが彼女の闇を義父は取り除くことは出来なかった。

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 この作品には三つの異なる新興宗教が出てくる。最初から二つは現実の団体を投影していると監督は語っている。最後の団体は被害者の話を元にしたフィクション。

 日本では上映が少ない北欧映画作品の場合「ディスコ」このタイトルだけで択ぶ人は少ない筈。タイトルと作品内容とは暗喩はあっても直接的には結びつかない。
 この映画を観る場合:
1.委ねる宗教を持っているか否
2.その宗教がキリスト教かそれ外
3.キリスト教の場合はカトリックかプロテスタント
 この三つの要素で受ける印象は変わる。無宗教の人には「キリスト教ってこんな世界?胡散臭くない」の新興宗教が放つ世界で終わる可能性がある。
 宗教を持っていた場合は、もう少し自身が所属する宗教との比較があるため踏み込んで鑑賞はしていくだろう。
 キリスト教の場合、私に限って言及するとカトリックから見て、それは在り得ない場面ばかりでこれを宗教とは呼べない、と終始否定、否定だった。
 作品で繰り広げられる洗脳と誘導は、実際、心が弱った人には救いには見えるかもしれないがその罠は心理的には巧妙で怖い世界だ。
 「キリストが伝えようとしているメッセージが何も描かれていない」ことこそが、本作で描きたかったこととシーヴェシェン監督のインタビュー記事を読み安堵した。

 宗教は企業ではない。勿論、病院でもない。鬱、マイノリティの人々を悪魔に引き寄せられた人々などと呼びもしない。
 北欧で起きている新興宗教の闇は、日本でもオーム真理教他実際被害者は出ていて対岸のことではないが、日本では反応が薄い可能性がある。
 少なくとも、宗教は希望の全てを叶えるマシーンではない、苦しみを解く即効性も持ち合わせないないことを心が弱る前に知っていてほしい。
 お賽銭を入れての神頼みばかりの無宗教人には伝わり辛いが、宗教は人が生きるガイドラインを示してくれるものと私は考える。
★★

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