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「ALONE アローン」

原題:Mine
監督:ファビオ・レジナーロ、ファビオ・ガリオーネ
製作国:アメリカ・スペイン・イタリア
製作年・上映時間:2016年 106min (日本公開 2018年6月16日)
キャスト:アーミー・ハマー、トム・カレン、アナベル・ウォーリス

 ワンシチュエーション作品、約七割が同じ場所で撮影されている。
 任務遂行に失敗し敗走する中で、3000万以上もの地雷原に迷い込んでしまう。迷い込んで間もなく一緒に任務にあたっていたトミーを目の前で亡くす。自らも地雷の上に足を置いたがために、1mmも動けないまま砂漠の真ん中で救援部隊到着を52時間待つ過酷さに置かれる。

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 二人のシーンは導入部分のみ、後は回想シーンの中で彼が関わってきた人々が出てくるだけで絵的には基本マイク(アーミー・ハマー)一人が中心にはなるが、孤独を描いた作品ではない。

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 日本ではこのポスターで人を呼び込めないと考えられたとしたなら、本当に見くびられている。
 マイクの幻想なのか、実在なのか不思議なベルベル人親子が登場する。この親子もまた地雷の犠牲者として描かれている。
 特に、所属する軍や国を明らかにしないことで地雷を中心に置いていることが伝わり易い。

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 動けない状況の上に生命線の水も無くなり、生きていること自体が脅かされていく。加えて砂漠という半端ない自然は昼の高温と夜の低温の気温差、闇の中での動物との格闘と只膝をついているだけですまされる展開ではない。

 レビューの中にはフラッシュバックが多過ぎるとのコメントも多かったが、決して邪魔な量ではなく適宜導入されていた印象。この追い詰められたというより死と向いた状況で過去と対峙しない人が居るだろうか。

 一か月半膝をついた演技は過酷を極めたそう。右膝の状態は作品中は触れられることはないが、実際は躰を張った演技だった。
 舞台化ができそうと観ていたが、それでも、敢えて映画を択ぶことで自然の変化を入れ単調さを回避し、且つ、砂漠の過酷さを十分に伝えた。

 日本人男性は、これほど人生の中で膝をつく状況があるのだろうかとフラッシュバックシーンの時に考えていた。
 地雷原で自らの命を守るための同じ姿が、作品のほぼ最後に出てきた時は、苦笑しかなかった。これも、又、地雷なのかとマイクが不憫なほど。
 それでも、跪くのだが。
 軍服の所為でサバイバル物に見えそうだが、作品「127時間」とは違い、どちらかと云えば精神的な世界。
★★★
*Hulu鑑賞

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