見出し画像

「ロスト・キング 500年越しの運命」

原題:The Lost King
監督:スティーブン・フリアーズ
制作国:イギリス
製作年:上映時間:2022年 108min
キャスト:サリー・ホーキンス、スティーヴ・クーガン、ハリー・ロイド、マーク・アディ

「ある女性が、歴史的な偉業を成し遂げた――。

映画『あなたを抱きしめる日まで』(13)の制作チームが今回初めて再集結し描くのは、フィリッパ・ラングレーが2012年にリチャード三世の遺骨を発見した実際の出来事を基にしたヒューマンドラマ。本作は驚くべき実話であり、主婦が一体どうやって500年以上見つからなかった英国王の遺骨を発掘するに至ったのかを描き出す。遺骨を探し当てたのは、他人から定義づけられることを拒否し、軽んじられ見過ごされながらも自分の勘と信念を貫いたフィリッパ・ラングレーだ。そんな彼女を称える本作は、迷信の裏に隠された真実を掘り下げ、シェイクスピアが描いた悪名高い人物とはまったく異なる国王の姿を明らかにしていく。」*公式ホームページより

リチャード3世遺骨

 作品時間は108分と短く纏められているが、彼女がリチャード3世を探し求め活動に費やした時間は8年に及ぶ。
 リチャード三世の遺骨発掘プロジェクトを彼女は先導したがそもそも始まりはアマチュアの探求心。手探りで事を進めるにあたっては実際に作品には描かれない難局が幾つもあったろうことは想像に難くない。

「The Lost King」展の鎧。写真: カサンドラ・パーソンズ/© The Wallace Collection
キングの艶やかな鎧

 シェイクスピアが手掛けたが為に、シェイクスピアが描いたリチャード3世像を疑わなかった人はおそらく多い。まして、スコットランドから遠い東洋に住む私たちには歴史的細かい背景も見えずらい。
 作品を観終わった後、自宅に戻って真っ先にしたことはリチャード3世について調べることだった。

心象風景

 その時代に生きていない限り、歴史上人物についてはごく僅かなことしか伝えられていない。それでも、その情報で知ったつもりで満足する中で彼女は自身の中に生まれたリチャード3世像違和感を無視しなかった。頭が下がる。

発掘現場

 最初は相手にもされなかったリチャード3世探しが、成功した途端に彼女は表舞台に呼ばれずに成果は研究者に取られていく。その姿は美化されずに現実を投影して作品に描かれていく。

正式な埋葬

 だが、こうして作品になることで彼女が正当に評価され胸がすく。

現代の街に溶け込む絵
スコットランドの街並み

 私にはロンドンとは全く違ったスコットランドの街並みも作品を楽しむ要素だった。
 決して派手な作品ではなかったが、家族の生活も丁寧に描かれ元夫との関係性も今風に描かれ一生活者がこの偉業に携わった輪郭になっていた。
 作品全体は深刻な重さというよりも、時にクスリと笑わせる場面もあり観る人を択ばない。

★★★
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?