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コヴェナント 約束の救出

原題:GUY RITCHIE’S THE COVENANT
監督:ガイ・リッチー
製作国:イギリス・スペイン
制作年・上映時間:2023年 1min
キャスト:ジェイク・ギレンホール、ダール・サリム

「2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆発物の隠し場所を探す部隊を率いる米軍のジョン・キンリー曹長は、アフガン人通訳として非常に優秀だが簡単には人の指図を受けないアーメッドを雇う。通訳には報酬としてアメリカへの移住ビザが約束されていた。部隊は爆発物製造工場を突き止めるが、タリバンの司令官に大量の兵を送り込まれ、キンリーとアーメッド以外は全員殺される。キンリーも銃弾を受け瀕死の状態となるが、身を潜めていたアーメッドに救出される。アーメッドはキンリーを運びながら、ひたすら山の中を100キロ進み続け、遂に米軍の偵察隊に遭遇する。」TOHO H.P.より

 ガイ・リッチー監督のこれまでの作品との違和感を感じつつも、好きな俳優の一人ジェイク・ギレンホール主演ということで観に行く。
 インタビューで J・ギレンホールは「ガイとの仕事は、私がこれまでにやったことのどれとも違っていました」と振り返っていた。 「彼は私に『セリフは一切覚えないで』と言い、台本は50ページありました。それは完全に書かれた脚本ですらなかった。通常、台本は110ページほどありますが、私は『これは何ですか?』と思いました。」また、「私がこれまで経験した中で最もインスピレーションに満ちた創造的な経験の一つでした。」とも発言。

 映画館は9割以上男性鑑賞者という展開は私にとっては予想外だった、加えて作品のかなりのシーンが通訳者救出前段階の戦場舞台だったことも予想外だった。勝手に救出劇が中心と考えていた私にとっては苦手な戦場シーンが延々と続く前半展開は当初正直辛かった。

戦場場面は多い

 只、後で作品を振り返った時に、戦場となった緑も少なく荒涼とした乾いた土煙の土地の映像は20年間も不毛にアメリカが戦い続けた現地を単に地名である単語のアフガニスタンでしか知らなかったことへ今更ながら多少なりとも実態という肉付けをしてくれた。
 ニュースで流れる数十秒の動画ではこの荒涼感は伝わらない。

通訳者のアーメッド

 アメリカの一方的な完全撤退によって取り残された人たちについては、タリバン復権により時計の針が大きく巻き戻され知識人や女性の人らが受けている(現在進行形)過酷な現状は幾らか知っていた。しかし、アメリカ軍従軍通訳者の数がこれほど多いこととその後通訳者らが置かれた命の危険は申し訳ないが知らなかった。

人力で負傷した軍曹を運ぶ
瀕死の軍曹同様に通訳者も危険な立場

 当初は『ザ・インタープリター』というタイトルだったそうだ。確かに、アメリカ軍撤退後に現地で取り残され命の危険にさられている通訳者は描かれている。けれども、単に通訳者を描いた世界ではないことで契約というタイトルに変わったのかとも想像した。

アメリカで彼の救出を試みるが

 国際社会と連携して復興を進めることで祖国の平和に貢献したいと願っていた人々はタリバンの復権後に「罪を犯した裏切り者」として生きる場所さえ奪われていく。
 通訳者には任務後にビザ交付を約束が交わされながら、作品中のアーメッドの場合はキンリー軍曹が負傷で帰国したこともあり実現されていない。
 アメリカ本国でキンリーは必死に彼を救出しようと交渉を試みるが隔靴掻痒、何も動かせないジレンマに陥る。

 この作品がきっかけで調べていた際に、日本もかかわりがある記事を見つける。
 日本もアフガニスタンの民主化を教育面で支えることを目的に、留学支援として約600人の留学生を受け入れを行った。しかし、タリバン復権後ここでも帰国した元留学生たちの多くは「異教徒の国で学んだ」という理由で追われることになったそうだ。

 コベナントは確かに約束を果たそうとしている戦地での一組を描いているが、単なる不履行の約束を叶えるために救出劇に留まらずに戦争の側面が描かれていて鑑賞後しばらくしての印象が観終わった後は異なった。*実は公開後すぐに観ていて今のレビュー

★★★☆


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