僕

「僕はイエス様が嫌い」

監督:奥山大史
製作国:日本
製作年・上映時間:2019年 78min
キャスト:佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン

 父方祖父が亡くなり残された地方に住む祖母宅に東京から家族皆で移り住む。転校した学校はミッションスクールで勝手が違い過ぎ、自宅では仏壇で手を合わせながら学校では礼拝に参加するという生活に戸惑いながらも新しい、祖母との同居生活が穏やかに進む。

 先生から渡されたイエズス様が描かれたみことばカード。帰宅し祖母に尋ねると「神様ではないの」とひとことだけ。
 私はこの部分から違和感を引き摺り始め、更に要素が少しずつ加わり助長されていく。
 この作品は、監督が幼稚園から大学(青学はプロテスタント)まで在籍していてもご自身がクリスチャンではないからこそ、こうした如何にも宗教不在の映画が出来上がる。勿論、責めてはいない。日本の殆どの人々がそうであるからこそ一見宗教ぽい作品も違和感なく観客に同調していく。
 そうした意味では、とても日本的な作品。

 気になって調べてみると、文化庁文化部宗務課資料では教会数僅か785のカトリックが最も多い信者数を抱えている。その他プロテスタントの各宗派諸々教会3278集めて54%。クリスチャンではない方にはカトリックもプロテスタント諸派も同じに見えるが世界史の学習のようだが宗派で微妙に異なっていく。
 更にこの数字をキリスト教集団から離れ国全体からみると、カトリックとプロテスタントを合わせてもクリスチャン数はたった「1.1%」。

 こうした背景から作品をみると、地方にてプロテスタント系列の学校運営、イエスは神の子であって神ではないこと(作品の中では訂正はされない)、キリスト教は作品中にもお賽銭シーンが描かれているご利益宗教ではないことを大人に語らせない、これらが大概のことは気にならない。

 イマジナリーフレンドとコミュニケーションがとれる少年の話としてイメージ化された小さなイエスの存在は気にならない。
 只、映画としてはもう少し深さが欲しい、絵にしてももう一度このページで再現させたいほど記憶に残るシーンが無かったことが残念。
 繰り返し念を押すが、私がカトリック教徒でなければ評価は上がったかもしれない。
★★

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