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愛され続けて七年、2021年の蟲惑魔の話『ジーナの蟲惑魔』『クラリアの蟲惑魔』

こんにちは。K〇NAMIの卑劣な罠だとわかっていても美少女テーマに釣られてしまう、あばた~(@avater_2015)です。
僕は小学生の時の相棒である【マシンナーズ】、とあるコンテンツと元ネタを共にしていることで一目ぼれしてしまった召喚師アレイスター率いる【召喚獣】、その中二病的世界観が好きで使い始めた【呪眼】などのデッキが好きです。さらには元々リアルな方も好きな昆虫族に属する【B・F】(ビーフォース)も記事を書くくらいには好きです。ドラゴンで美少女でメイドに変身とオタクが好きそう!を詰め込んだような【ドラゴンメイド】も好きです。

そして美少女で食虫植物で昆虫な蟲惑魔もまた、大好きです。

そんな蟲惑魔に今回新規カードが出たということで、居ても立っても居られなくなり筆を執りました。今回は特別デッキ紹介記事というわけでもなく、どちらかといえば新規カード紹介の飛ばし記事ですが、フリーデュエルを中心に遊んでいる者ならではの記事になっていたらいいなと思います。

それではどうぞ。

(2021年1月23日追記:蟲惑魔新規に関して、公式データベースで詳細が公開されたのでリンクを追加しました。僕が文字で説明した見た目と比較して楽しんでください)

2020年までの蟲惑魔の話(歴史)

まずそもそも蟲惑魔とはどんなテーマなのか、という話を前置きにさせていただきます。「蟲惑魔くらい知ってるよ!」「新規カードの話だけしろ」「大人がこんなかわいいだけの女の子に負けるわけがないだろ!」という方は次章まで読み飛ばしてください。

【蟲惑魔】は端的に言うと大量の「ホール」「落とし穴」罠を敷き詰めて相手を妨害し、ランク4エクシーズモンスターを絡めながら対戦相手をじわじわと圧殺していく低速のビートダウンデッキです。遊戯王8期に登場して以来、その蠱惑的な見た目と所々とびぬけた性能で決闘者たちを奈落の底に叩き落してきました。

エースモンスターの一体であるエクシーズモンスターにもかわいい女の子がいっぱいです。かわいいなぁ……どうしてこんなにかわいいのに罠で相手をがんじがらめにしてしまうなんてひどいことをするんだ?という疑問にはあえて触れずに、カードの性能だけで今まで何をしていたのかということを話していきたいと思います。

彼女らは最初からたくさんいたわけではなく、第8期に初めて登場したときには3人(匹?株?)だけでした。それが「アトラの蟲惑魔」「トリオンの蟲惑魔」「カズーラの蟲惑魔」です。彼女らは「ホール」「落とし穴」通常罠の効果を受けないという共通効果を持ち、そのほかにホール・落とし穴罠に関する効果を持っています。

①:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードを手札から発動できる。③:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の通常罠カードの発動及びその発動した効果は無効化されない。

アトラは手札からホール・落とし穴を発動でき、それらの発動と効果が無効化されないという永続効果を持っています。場に維持していれば手札から罠を発動できるという掟破りな効果です(最近は手札から発動できる罠くらいいっぱいあるけどね)。

①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を手札に加える。②:このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。その相手のカードを破壊する。③:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

トリオンは召喚時にホール・落とし穴をサーチし、特殊召喚した場合に相手の魔法・罠カードを一枚強制的に破壊する効果を持ちます。特に召喚時の落とし穴をサーチする効果が注目され、攻撃力が1600とそこそこあるレベル4モンスターなこともあって他の蟲惑魔を無視しトリオンと奈落の落とし穴だけをデッキに出張パーツとして組み込む流れもあったとか。

今ほど高速化していない環境ゆえに召喚して奈落伏せてエンド、とかでも通用したってことですね。特殊召喚時の魔法・罠破壊も強力で、リビングデッドの呼び声で奇襲的に蘇生するなどの活用もされていました。現在の【蟲惑魔】でも活躍する強いカードの一枚です。

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。②:自分が「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カードを発動した場合に発動できる。デッキから「カズーラの蟲惑魔」以外の「蟲惑魔」モンスター1体を選び、手札に加えるか特殊召喚する。

カズーラの蟲惑魔は、自分がホール・落とし穴を発動した場合にデッキから他の蟲惑魔を特殊召喚する効果を持っています。落とし穴の発動後にトリオンを呼び出して魔法・罠を破壊したり、アトラを呼び出して手札から落とし穴を発動できる状態にするなどの動きができました。また、この効果により「蟲惑魔」モンスターが指定されていたため、数は少ないものの蟲惑魔は登場当初からテーマカードとして扱われていました。

そして初登場からおよそ一年後、蟲惑魔に新たな仲間がやってきました。

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「蟲惑魔」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。②:このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。セットしたカードは次の自分ターンのエンドフェイズに除外される。③:このカードは「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

それが「ティオの蟲惑魔」。蟲惑魔の共通効果に加えて、召喚時に墓地の蟲惑魔モンスターを蘇生する効果、そして特殊召喚したに墓地のホール・落とし穴を次の自分のターンのエンドフェイズに除外される条件付きで場にセットできる効果を持っています。カズーラと違い、罠を発動せずとも蟲惑魔を展開でき、さらに使い終わったホール・落とし穴を再利用できるのは強力で、収録回数の少なさも相まって現在の【蟲惑魔】における高額カード(といっても1000円は超えませんが)のポジションを獲得しています。

そして時は流れ9期。蟲惑魔はレベル4モンスターで統一されていたこともあり従来からシンクロ・エクシーズモンスターを積極的に採用できていましたが、ここにきて「蟲惑魔」の名前を冠したエクシーズモンスターを獲得します。

レベル4モンスター×2
①:X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手の効果の対象にならない。③:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる。

「フレシアの蟲惑魔」です。X素材を持っている限りあらゆる罠カードの効果を受けないという蟲惑魔の共通効果を強烈にしたものを持っています。さらに②の効果により、フレシア以外の蟲惑魔が戦闘・効果で破壊されなくなり相手の効果の対象にもならなくなります。これにより場持ちがよくなったほかの蟲惑魔モンスターを素材にさらなるエクシーズ召喚が狙えるなど強力な効果です。さらに一番特徴的なのが③の効果で、発動条件を満たしているタイミングであればいつでもデッキからホール・落とし穴を墓地に送ることでその効果を適用できるというもの。これは伏せカードが無くてもデッキに入ってさえいればホール・落とし穴カードを発動できることを意味しており、素材の縛りの緩さや高い守備力(2500)も相まって登場以後は奈落の落とし穴と一緒に採用され【ランク4】の先攻制圧に一役買っていました。現在でも【蟲惑魔】が先攻で目指す盤面には彼女がいます。

余談ですが、その見目麗しさから彼女をデザインした公式のカードスリーブが発売されたりしました。現在ではちょっとしたプレミア価格になっています。現在に至っても彼女が人気な証ですね。

さらにさらに時は流れ10期の再序盤、かのファイアウォール・ドラゴンが収録されたパックに追加の蟲惑魔が登場しました。

①:このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「蟲惑魔」モンスター1体を手札に加える。②:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。③:1ターンに1度、自分フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのセットされたカードを持ち主の手札に戻す。その後、自分の手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。この効果は相手ターンでも発動できる。

「ランカの蟲惑魔」です。おなじみ下級蟲惑魔の共通効果と、召喚時に蟲惑魔モンスターをサーチする効果を持っています。そして特徴的なのは③の効果で、自分フィールドにセットされた魔法・罠カード一枚を手札に戻し、その後手札から魔法・罠をセットする効果を持っています。一見魔法・罠カードを入れ替える程度の能力でしかないように見えますが、例えばサイクロンのような魔法・罠カード1枚を対象に取る効果に対し、相手ターンにも発動できるこの効果をチェーンして対象に取られたカードを逃がすことができるほか、蟲惑魔特有の使い方としてティオの効果でセットしたホール・落とし穴のデメリットをリセットするのにも活用します。また、次に紹介する新たな蟲惑魔の効果とも見事に連携しており、地味ながら10期のパワーを持ったカードです。さらには、今回の新規カードの登場によりいちばん強化された蟲惑魔は何を隠そうこのランカの蟲惑魔だと僕は考えています。理由は後ほど。

さて、10期といえばリンクモンスターですが蟲惑魔もばっちりリンクモンスターを貰っています。それがランカ登場からさらに1年経った夏、リンクヴレインズパック2に収録されたこのカード。

リンクモンスター以外の「蟲惑魔」モンスター1体
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:リンク召喚したこのカードは罠カードの効果を受けない。②:通常罠カードが発動した場合に発動できる。同名カードが自分フィールドに存在しない「蟲惑魔」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。③:このカード以外の自分の「蟲惑魔」モンスターの効果が発動した場合に発動できる。デッキから「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

「セラの蟲惑魔」です。①の効果でリンク召喚していればあらゆる罠カードの効果を受けません。さらに通常罠カードが発動した場合に同名が場にいない蟲惑魔をデッキから特殊召喚し、他の蟲惑魔モンスターの効果が発動するとデッキからホール・落とし穴通常罠をセットすることができます。単純に展開・経戦能力を強化するだけでなく、②の効果がホール・落とし穴に限らず通常罠全般に反応するおかげで、セットしてすぐ使用でき、しかもレベル4モンスターとなる幻影騎士団シェード・ブリガンダインと合わせ一気にエクシーズ召喚に繋げることができます。③の効果もフレシアの蟲惑魔によるホール・落とし穴の適用があくまでもフレシアの効果として発動するためセラをフレシアの耐性付与で守りつつ、フレシアの効果でさらに罠の布陣を固めるという現代の蟲惑魔がよくやる先攻展開がこれにて完成しました。リンク召喚の条件が緩く、下級蟲惑魔モンスターなら何を引いてもとりあえずセラの蟲惑魔が出せるというのも罠が多くなりがちな【蟲惑魔】にはうれしい安定要素で、今の蟲惑魔に欠かせないカードと言えます。
ちなみにリンク素材はあくまで「リンクモンスター以外の「蟲惑魔」モンスター」なため、自身の効果でリンク素材にする場合の名前を「セラの蟲惑魔」として扱うようにした「フォーマッド・スキッパー」一体でもリンク召喚でき、後述する相性のいいカード「パラレル・エクシード」のサーチにもつながるため【蟲惑魔】にフォーマッド・スキッパーを採用する人も多いです。

さらにさらにさらに時は流れ2020年1月、10期ラストを飾るレギュラーパック「エターニティ・コード」にて新たな蟲惑魔エクシーズモンスターである「アロメルスの蟲惑魔」が収録されました。

レベル4モンスター×2体以上
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。②:このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。自分の墓地から昆虫族・植物族のレベル4モンスター1体を選んで特殊召喚する。③:自分のカードの効果で相手モンスターがフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合、このカードのX素材を1つ取り除き、そのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

フレシア同様の耐性に、X素材を2つ取り除くと墓地から昆虫族・植物族のレベル4モンスターを1体蘇生し、自分のカード効果で相手モンスターを墓地または除外ゾーンへ除去した場合にX素材を1つ取り除くとそのモンスターを特殊召喚する効果を持ちます。基本的には②の効果で展開補助を行いますが注目するべきはその打点で、蟲惑魔内最高攻撃力2200を誇ります。汎用ランク4(いちおう5?)モンスターにはかの大正義さんがいらっしゃいますが、テーマ内での攻撃力ラインが上がったのは喜ばしいことです。

そしてこの秋、海外先行カードを収録した「WORLD PREMIUM PACK 2020」にさらなる下級蟲惑魔が追加されました。

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。②:このカードをリリースして発動できる。自分のデッキ及び墓地から1枚ずつ、「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カードを選んで自分フィールドにセットする(同名カードは1枚まで)。この効果でセットしたカードはフィールドから離れた場合に除外される。

それがこの「リセの蟲惑魔」。蟲惑魔共通の耐性と、自身をリリースして墓地及びデッキからホール・落とし穴通常罠をセットするという効果を持ちます。ある程度デュエルが進んでからでないと活用しにくいですが、一気に罠リソースを回復し、相手を追い詰めることができます。
余談ですがリセにはイラスト規制の厳しい海外版イラストのカードがシークレットとして封入されているなど少し優遇されており、「どうせ君らかわいいカードが好きなんだろ?」というK〇NAMIの声が聞こえてきそうです。

と、こんな感じで蟲惑魔というテーマは長きにわたり少しずつ新規カードが出続けており、またホール・落とし穴通常罠も時代に見合った新規カードが続々と刷られています。
まさに永く愛されているテーマと言えるでしょう。

2020年までの蟲惑魔がよくやっていた先攻展開

ここまで2020年までの蟲惑魔のカードたちを紹介してきましたが、2021年の新規カードの紹介に写る前に今まで蟲惑魔が何をしていたのか?を軽く紹介しようと思います。
相手がモンスターを出す前に罠を張り巡らせておくデッキなので、基本的に先攻を考えます。半面盤面を捲り返すのはかなり苦手なので後攻にならないよう、気合いでダイスを振りましょう。

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基本的には「蟲惑魔」モンスター1体とレベル4モンスターが2体出せるギミックがあるときにセラ+フレシアの盤面まで行けますが、今回は上の画像のような「トリオンの蟲惑魔」+「幻影騎士団シェード・ブリガンダイン」を引けていた場合、つまり理想の手札でスタートします。

①「トリオンの蟲惑魔」召喚、適当なホール・落とし穴通常罠をサーチ。
②トリオン1体で「セラの蟲惑魔」をリンク召喚。
③「幻影騎士団シェード・ブリガンダイン」を伏せ、そのまま発動。
④セラの蟲惑魔の②の効果で、デッキから「ランカの蟲惑魔」を特殊召喚。
⑤トリオンでサーチした罠を伏せ、それを対象にランカの効果を発動。手札に戻し、そのままセットしなおす。
⑥ランカの効果に反応し、セラの③の効果を発動。デッキから別のホール・落とし穴通常罠をセットする。
⑦シェードブリガンダインとランカでフレシアをエクシーズ召喚。

すると以下の盤面になります。

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任意のホール・落とし穴通常罠の2枚セット+セラ+フレシアということでとりあえず3妨害。以後は相手とアド差を広げつつ、隙を見てランク4を増やしたり「墓穴ホール」のバーン効果を通してライフカットしていきビートダウンします。シェードブリガンダインではなく「パラレル・エクシード」で展開した場合は罠が1枚減ることになるので、できるならシェードブリガンダインから展開したいなぁといったところ。

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが手札に存在し、自分がリンク召喚に成功した場合に発動できる。このカードをそのリンクモンスターのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚する。②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「パラレルエクシード」1体を特殊召喚する。③:「パラレルエクシード」の効果で特殊召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力・守備力は半分になる。

セラをリンク召喚するだけでランク4が出せるすごいやつ。

しかしこの盤面形成方法には欠点があります。
それは「蟲惑魔」モンスターを1体出すのはともかく、他に展開用のカードを素引きしていなくてはならない点です。安定しているとは言い難く、蟲惑魔モンスターしか引けなかった場合、セラの蟲惑魔を1体出し素引きした罠を伏せてエンドとなりがちです。1体棒立ちは仕方がないにしても、せめてより妨害バリューがあり耐久力もあるフレシアを出したい……!というのが僕がフリー環境で【蟲惑魔】を使っているときの感想でした。

そんな願いに応えるがごとく、2021年に新規カードがやってきます。
しかも2枚も。

2021年からの蟲惑魔の話(新規)

つい昨日、遊戯王.JPにて1月16日に発売されるレギュラーパック「LIGHTNING OVERDRIVE」に収録されるカードの情報が発表されました。ページのサムネイルは「武神」の新規カード。

「ふ~ん、よく知らないが強そう……」と思いながらページを下にスクロールしていた時、突然「蟲惑魔」という文字が現れました。
なんと新規「蟲惑魔」カードです!しかも2枚!順に紹介しましょう。

「ジーナの蟲惑魔」地属性・レベル4(ATK1400/DEF1400)
(なんかしなだれているお団子?みたいな黒髪でちょっとボーイッシュな表情の太ももが大変なことになっているイラスト)

【植物族/効果】
このカード名の①③の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:自分フィールドにセットされた罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。②:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。③:自分の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カードを対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。

下級蟲惑魔共通効果と、手札から自身を特殊召喚する効果、墓地の自身を除外して墓地からホール・落とし穴通常罠をセットする効果を持っています。注目すべきは①の効果で、ようやく自分の力で場に出ることができる蟲惑魔モンスターが現れました!これはかなりいいことで、今まではランカ召喚時のサーチ効果はランカに召喚権を割いてしまっているがために展開にはつながらない効果になっていました。しかしこのジーナをランカ召喚時にサーチすることで、実質的な手札コストは要りますがランカ召喚から蟲惑魔モンスターを2体並べることができるようになったのです!つまり今までの展開に加え、ランカと罠しかない手札からの展開というルートが増えることになりました。そのままフレシアを立てても良いですし、ジーナを素材にセラをリンク召喚することでランカ効果により自分・相手ターンにホール・落とし穴通常罠を追加セットするようにもできます。また、今までは「ハーピィの羽根帚」を始めとした魔法・罠の全体除去を貰うともう立ち直れないほどの損害を受けていたのですが、ほんの少しとはいえジーナの③の効果でリソース回復を図れるようになりました。あと単純に下級蟲惑魔モンスターが増えたことで、デッキに採用する蟲惑魔モンスターの選択肢が増えたのもポイントです。

続く2枚目の新規はなんとリンクモンスターです。

「クラリアの蟲惑魔」地属性・LINK-2(ATK/1800)
(ウサギっぽくてモフモフしているジト目の物憂げロリ)

【植物族/リンク/効果】
昆虫族・植物族モンスター2体
このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:リンク召喚したこのカードは罠カードの効果を受けない。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分が発動した「ホール」通常罠カードおよび「落とし穴」通常罠カードは発動後に墓地へ送らず、そのままセットできる。③:自分エンドフェイズに、自分の墓地の「蟲惑魔」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

セラと同じ罠耐性を持ち、自分のホール・落とし穴通常罠カードが使用後セットできるようになる永続効果、自分のエンドフェイズに墓地の蟲惑魔を1体守備表示で蘇生する効果を持ちます。②の効果、凄いこと書いてありますね。蟲惑魔は本来罠カードを多用するのでボード及び手札のリソース管理が大変だったのですが、クラリア成立後はそんなこと考えなくてもいいそうです。どういうことなの……リンク2モンスターであり、戦闘・効果への耐性は(罠以外)ないのでやはりフレシアで守りたい存在ではありますが、中盤以降のリソース管理を気にしなくていいというのはかなり革命的な効果と言えます。さらに自分のエンドフェイズに墓地の蟲惑魔を蘇生できるので、これまで盤面維持が難しかったアトラの蟲惑魔やカズーラの蟲惑魔を使った盤面形成ができます。さらにリンク素材に蟲惑魔を指定しないため、他の昆虫族・植物族カードを蟲惑魔に混ぜやすくなりました。その逆もまた然りです。
……B・Fとの相性はどうだろう。ふと思いつくところでは、「B・F-必中のピン」が場に昆虫族が居る場合条件も縛りも無しで特殊召喚できるので、クラリア成立を軸とした【蟲惑魔】にはピンを出張できるかもしれません。

総じて、かなり有用な新規カードと言えます。
近年の遊戯王OCGは露骨に美少女テーマが増え、その強化も多いように感じますが、8期産美少女テーマとして古参の維持を見せつけた形になります。

最後に:いまだ残された課題と妄想

と、いうわけでここまで素人ながら蟲惑魔について遊戯王公式データベースとWikiおよび主観で書き綴ってきました。【蟲惑魔】は過去のデッキではなく、着々と決闘者たちの寵愛を受け現代でも戦えるテーマに成長しつつあります。今回の新規カードでは初動および盤面形成の選択肢が増えたことで基盤をより強力にしました。しかしながら、「蟲惑魔」テーマ単独で組むデッキとしてはまだまだ課題が残されています。

課題その1:とはいっても全体除去が辛すぎる

蟲惑魔は継続的に強化を受け、現代遊戯王水準の強化を受け続けていますが、やはりというかいまだにというか、魔法・罠を全体除去する「ハーピィの羽根帚」にめっぽう弱いです。その昔から「スターライト・ロード」や「大革命返し」「神の宣告」や海外で一世を風靡した【HAT】構築などで抵抗を試みてきたものの、現代遊戯王は「ライトニングストーム・ストーム」という「3枚積める羽根帚」とでも呼ぶべき代物を産み出してしまったため対応が追いついていないという印象があります。そりゃあ「蟲惑魔」の性質上仕方がない部分もある、ありますが!それにしたってテーマ内に一つも対策を持てないのは少し辛すぎる……。

課題その2:レッドリブートとかいうバケモン

このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。①:相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない。(カウンター罠)

対応できるかこんなもん!!!ともはや匙を投げたくなるカードです。羽根帚に対する神の宣告を上から叩き潰しに来るのすごすぎる……ま、まあ準制限カードですしフリー環境でメインデッキ投入している人は少ないとはいえ、この存在を念頭に置いてデッキを組まねばならないというのが蟲惑魔の大きな課題です。羽根帚に弱いことが【蟲惑魔】における不治の病だとすれば、レッドリブートはもはや遭遇したら終わりの大災害です。本当、こいつはどうしたらいいんだろうなぁ……一応相手ターンが始まり次第「抹殺の指名者」で「レッドリブート!!!!」と叫ぶ、という回避方法があるにはありますが、つらい、辛すぎる……。

(2020/12/14追記)
レッドリブートが13日の制限改訂で制限カードになりました!
そしてこの記事作成時点で書き忘れていた宿敵「ダイナレスラー・パンクラトプス」も共に制限になったようです。蟲惑魔に追い風の制限改定といえるでしょう。

あまりにも上記2点の課題が辛すぎるので、ちょっとしたオリカ妄想でもしてみましょう。こんなのどうです?

通常罠カード
このカードは「ホール」カードとしても扱う。このカードは発動後、フィールド魔法としてフィールドゾーンに置く。①フィールドに「蟲惑魔」モンスターが存在する限り、自分の魔法・罠ゾーンにセットされているカードはそれぞれ1ターンに1度だけ効果では破壊されない。

まさかのフィールド魔法(通常罠)!どうです、斬新でしょう。これでハーピィの羽根帚は怖くありません。レッドリブートは、もう知りません(思考放棄)
……はい。虚しくなってきたところで、本記事もそろそろ終了にしたいと思います。

蟲惑魔は今回説明したような相手を絡めとる動きや美しいイラストもそうですが、デッキ構築の段階でどの罠を選ぶか、EXデッキはどういう構築にするかなどプレイングや見た目以外の部分も楽しいデッキです。調べてみるとわかりますが、鉄騎龍ティアマトンや見たこともないようなホール・落とし穴通常罠カードなど特徴的なカードを多数採用する余地があるので頭の体操感覚でデッキを組んでみるのも一興だと思います。かわいいですしね。

あとこれはかなり人を選ぶと思いますが、蟲惑魔モンスターはみな食虫植物や昆虫をモチーフにデザインされています。それは見た目だけでなく時には効果にも及んでいるので、元ネタになった植物や昆虫とカードを見比べてみて共通する要素などを考察したり、次に新規の蟲惑魔が出るならどのモチーフだろう?と妄想するのもかなり楽しいですよ。なんなら実際に飼育するのもいいと思います。

今回はこの辺で。
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それでは。

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