Lamb of God『Omens』(2022)
1994年にアメリカ合衆国 バージニア州リッチモンドで結成され、当初はBurn the Priestという名前のインストルメンタルバンドだったが、1999年にVoのRandy Blytheが参加し、バンド名をLamb of Godに改名して再始動、2023年までに9枚のアルバムをリリースし、本国はもちろん日本でも大人気のハードコア/グルーヴメタルバンド。
強烈なリフとギターのグルーヴをベースにしたサウンドは、SLAYERやPANTERA、初期のMEGADETHの直系。ヤワなメロディやキラキラシンセ等を一切排除し、グルーヴとリフだけで全てを薙ぎ倒すパワフルでブルータルな脳筋いや、漢メタル。
『Omens』は2022年にリリースされた最新アルバムで、相変わらず売れ線に走ることもなく、ひたすらタフでヘヴィなギターリフと強烈なバスドラ、大地を揺らすグロウルで、愚直に最後まで押し切っている。
ドラムは前作よりChris AdlerからArt Cruzに代わっており、当初は大変な重圧だったと思う。が今回はかなり馴染んで来て、ある意味Chrisより野生的なドラミングが聞ける。
プロダクションはMegadethやKORN、A Day To Rememberなどでお馴染み、Josh Wilburがプロデュースしている。
もちろん敢えてなんだと思うが、ドラムサウンドはややこもり気味に聞こえてしまうのが個人的にはやや残念。。
もう少し抜け感のあるサウンドの方が好みだったりする。
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D. Randall Blythe – vocals
Mark Morton – guitar
Willie Adler – guitar
John Campbell – bass
Art Cruz – drums
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■Nevermore
開幕から叩きつけるような激烈にHeaviestなリフがヘッドフォンから流れてくる。
不協和音を織り交ぜながらの、PANTERA直系のグルーヴを響かせる。
■Vanishing
重いギターリフからのストレートな疾走メタル。ややメロコア寄りの響きがあるものの、全体としては、しっかりLamb of God。前作からChrisに代わって加入したArtの豪快なバスドラとRandy怒りに満ちたグロウルが立ちはだかるもの全てを完膚なきまでに破壊する。
■To The Grave
ミドルテンポのDjent的なギターワークも撒き散らしつつ、ゴリゴリ揺れながら進むハードな曲。
PANTERAが乗り移ってます。
■Ditch
いやー、怒ってますねーRandy。
ブチ切れてます。
リズム隊も煽る煽る。
跳ねるようなフックのあるグルーヴを叩き出してて最高です。
■Omens
獰猛極まりないグロウルに、激烈なギターのグルーヴが心地よい、徹頭徹尾メタルを貫いている曲。
■Gomorrah
根底にあるのはMark Mortonの1弦と2弦しか使ってないんじゃないかと思われる重くてテクい昔ながらのリフ主体の構造だが、そこにNu Metal的なリズムや機械的なノイズを組み合わせるなど、独自の進化を感じる曲。
■Ill Designs
ザクザク刻むギターに乗ってドレッドヘアーのVoが喚き散らすブルータリティ溢れる曲。
Markが2:15から突如疾走し始めて速弾きギターを披露する箇所は、この曲イチのブチ上がりポイント。アドレナリンがいくつあっても足りない。
■Grayscale
燃えたぎるようなリフに、うねるベースが支える人類だれもがヘドバン不可避の一曲。
■Denial Mechanism
彼らのルーツであるハードコアのブルータリティが存分に楽しめる。
SlayerやMotörhead の影響も垣間見ることができて、彼らが放つ激重音の塊はもはや一つのジャンル、Lamb of Godというジャンルだと思う。
■September Song
激動のアルバムの最後を飾る曲。
ギターリフだけでゴリ押しするのではなく、さまざまな彩りに富んだ展開や、メロディアスなフレーズ、ストリングスなんかも入れちゃってメロコアの香りすらする。この並びではだいぶ異彩を放っているが、単品で聞くと普通に良い曲。
総合満足度 87点 (徹頭徹尾メタルに全てが持っていかれるレベル)
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