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I Prevail『TRAUMA』(2019)

2013年にアメリカ ミシガンで結成された売れっ子メタルコアバンドI prevail

2014年にEP『Heart vs. Mind』でデビュー。
デビュー直前にTaylor Swiftの『Blank Space』のメタルカバーを自身のYouTubeチャンネルで上げるとまさかの大バズりで、いきなりUS Mainstream Rock Songs chartで初登場23位を記録、図らずもバンドの知名度は急上昇し、ツアーも決定する。

2015年にギターのJordan Bergerが脱退するも、新たにDylan Bowmanを加え、Crown the Empir、Hollywood Undead、The White Noise、 My Enemies & I、Bad Seed Risingらと全米を周り、確実にその名を広めていく。
2016年にようやくデビューアルバム『Lifelines』をリリースすると、人気は爆発。
自身初のオーストラリアツアーを始め、毎晩のようにライブをひたすらこなす日々がやってくる。
しかしそんなハードスケジュールが祟ったのか、VoのBrian Burkheiserが喉を痛めて2018年に休養、バンド活動も休止を余儀なくされる。

2019年、突如復活宣言とともにリリースされた本作『Trauma』はアメリカの週間ランキングで4位になり、さらにシングルカットされた『Breaking Down』はビルボードチャート10位をマーク、さらにさらにアルバム自体はBest Rock Albumグラミー賞ノミネートされるまで一般大衆の人気を勝ち取る事に成功する。
まさに彼らの実質デビュー作となった本作をレビュー。

TRAUMA


サウンドもビジュアルも最高に次世代メタルコアヒーロー感を感じる。
向こう10年は確実にシーンの中心にいるべきバンド。

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Brian Burkheiser – clean vocals
Eric Vanlerberghe – unclean vocals
Steve Menoian – lead guitar, bass
Dylan Bowman – rhythm guitar, backing vocals
Gabe Helguera – drums
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■Bow Down  
デジタル風味を感じるモダンメタルコア然としたごついリフに、コーラスではエモクリーンボイスが炸裂する。
聴き易いポップ要素多めのメロディにしっかりと重いコアエッセンスが乗るこの独特のサウンドは、ERRABad Omensといった新進気鋭のバンドと並び、新たな時代を切り開くサウンド。ビルボード10位に入った曲。


■Paranoid
ヘヴィにエモーショナルにうねるミドルテンポチューン。途中ラップも挟み情報量をしっかりと増やしてくるあたり、ポストハードコアネイティブ世代の成せるスキルが高い業だと思う。


■Every Time You Leave (feat. Delaney Jane)
Delaney Janeをフィーチャリングしたスローで荘厳なバラード。
このバンドのポテンシャルからすればもう少し印象的なメロディを据えた劇エモバラードを作れたはずだが、、、メロディが弱いような。


■Rise Above It (feat. Justin Stone)
Justin StoneをフィーチャーしたEDMっぽいテイストの次世代メタルコアを感じる近未来サウンド。
生のバンドサウンドと、ラップや打ち込み系の電子音が高次元ミックスされた昂揚感を煽るカッコエエ音。


■Breaking Down
ゆったりとしたヒーリングメロディのような展開から、クリアに伸びやかに空間を支配するBrianの声と、時折不気味に低い重心から入り込むEricのくぐもったデス声、快と不穏が順次入れ替わる不思議な曲。
後半はまたヒーリングパートに戻ります。



■DOA
サグいラップを展開するパワフルでシャウト圧が強めロックな群衆向けのバージョン。
Joyner Lucasをフィーチャリングした圧倒的ラップソングのオリジナルバージョンと好き嫌いが分かれそうだが、個人的にはこっちのバージョンの方が好き。


■Gasoline
咳き込みから入るLinkin Parkを意識したかのような焦燥感溢れるラップと、図太く頚椎を流れるギターのうねり。
激情と物理的な強制力を持った狂暴さを詰め込んだ曲。


■Hurricane
自分がこのバンドに興味を持つきっかけになった曲。
わかり易いメロディと突き抜けるコーラス、極太のバイブスとダイナミックなサウンド、圧倒的なメタルコアの美しさと説得力が惜しげもなく繰り広げられる3分40秒。


■Let Me Be Sad
メロディックなバラード。
狂花のような派手さもなければ、綺羅星のような鮮やかさもない。
ただ淡々と紡がれる、静かなる感動。


■Low
小気味良く刻まれるドラムのビートに、穏やかで眩しい限りのスター性を感じる美声が乗る心地よいチューン。


■Goodbye
しんみりとラップして、そっと閉じるインタールード的な曲。


■Deadweight
情緒が疾走するクラウドチャントを意識したスタジアムロック。
ディストーションをブチぎめたギターが始まった瞬間に全俺がヘドバンと脳内モッシュで反応せざるを得ない、メタルキッズに即効性のある展開。
ギタードリブンな所も正義を感じる。こういうのでいいんだよ。



■I Don’t Belong Here
アルバムをしっとりしめる回顧的な曲。
ピアノの音色が美しい。


総合満足度 90点(完全に色々なものにPrevailしてるレベル)

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