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UNEARTH『MARCH』(2008)

メタルコアの激戦地USAはマサチューセッツ州で産声をあげた伝説的なメロデス/メロコアバンドUNEARTH

1998年にSLAYERIn Flamesなどアメリカ・欧州双方のメタル文化を吸収したKen Susi、Buz McGrath、Mike Rudberg、Chris Rybickiというメンバーで結成。
結成直後にTrevor Phippsを加えると、小さな独立系のレーベルEndless Fight Recordsから『Above the Fall of Man』という最初のEPをリリースし、地元では人気バンドとなる。

続けて、2001年にデビューアルバム『The Stings of Conscience 』をリリースすると、世界中のフェスを中心にツアーを開始、一気にワールドワイドなレピュテーションを得る。
好事魔多しで、ツアー途中でメンバーが脱退するという憂き目にあうも、All That RemainsKillswitch Engageからサポートメンバーを借り、なんとか完遂。
彼らとの友情はこのころから続いているという。

2003年に『The Oncoming Storm』、2006年にはメタル界では超有名な敏腕プロデューサーTerry Dateと一緒に『III: In the Eyes of Fire』をリリースし、Slayerをはじめ、Bleeding Through、Animosity、 Through the Eyes of the Dead 、Terrorといったシーンの重要バンドと一緒にUSをツアーすることになり、その名はますます高まる。
このころの作風は、単音リフとソリッドなビートを軸とした、いわゆる典型的なアメリカンメタルコアであったが、
2008年にリリースされた本作『The March』は初期の頃に回帰したのか、よりメロディアスでキャッチーなリフとギターソロ、わかりやすい展開に重きをおいた曲が多くなり、本国USでは評価が分かれた。
しかし、クサメロ大好き大国日本ではかなりのファンがうれションしながら頭を振り続けるという新たなファン層の獲得に成功した一枚となった。

The March


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* Trevor Phipps – lead vocals
* Buz McGrath – lead guitar
* Ken Susi – rhythm guitar, backing vocals
* John "Slo" Maggard – bass, backing vocals
* Derek Kerswill – drums
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■My Will Be Done
ピロピロギターと破壊的なグルーヴ、叙情的なギターワークの豪華3点セットが全世界のメタラーの心臓を撃ち抜く、「UNEARTHといえば!」という代表的な曲。
モッシュ、ダイブ、サークルピット、ウォールオブデス、あらゆるメタルライブの暴れを引き起こす要素が間断なく敷き詰められたマッチョな開幕曲。



■Hail the Shrine
限界を振り切るシャウトで一気に絶頂へと駆け上がるミドルテンポチューン。
悶絶寸前のギターの旋律美に感涙を堪えていると、突如としてブレイクダウンへ一気に落とされる。


■Crow Killer
ピロっとしたイントロリフに続いて、一転、ピックで弾く弦の太さすら感じるギターサウンドに乗って届けられる咆哮が凄まじい。
やや荒削りのスイープからはじまる流麗なギターソロ、勇壮なリフも北欧のクサみがあって異臭警報発令まったなし。


■Grave of Opportunity
剛勇なリフに続いてギリギリっとした小刻みなリフが指板を駆け回り、
「アーイ!!」
のチャントでライブハウスを揺るがす光景が目に浮かぶ。
中間部で展開されるスローテンポのメロウなパートを経て、短いながらもテクくてスリリングなギターソロは全世界のマニアックなギターキッズも思わずニッコリだよ。

■We Are Not Anonymous
出だしからギター弾きまくり大会が開催され、Children Of Bodomの『Needled 24/7』を彷彿とさせるテク&キャッチーリフが優勝を飾る。
ギターソロもBuz McGrathのテクとセンスを全て詰め込んだ世界中の早弾きフェチの皆さまの魂を揺さぶる出来。

■March
怪しい光を放ちながら唸りをあげるアグレッシブな曲。ゴリゴリとひたすら前に突き進む様はShadow Fallや初期のBleed from Within的でもある。
いや、もっとトラディショナルなヨーロピアンメタルバンドの影響が強いのか。


■Cutman
ゲーム音楽のようなツインギターリフを軸にトレモロギターやTrevorのグロウルが心地よく混ざり合うコンパクトな曲。


■Chosen
Motley CrueやSkid Rowを思わせるLAメタル的な活きのいいグルーヴ、ArchEnemyの香りがする叙情的なユニゾンギターがこれ見よがしに駆け回る。
Unearthがやらなくてもいいのに。。。と思ってしまうが、でもこれはこれで彼らのルーツを探れそうで興味深い。


■Letting Go 
重々しく息苦しくも、確かに心が高鳴るメロディがそこにはある。
スローテンポな高出力メタル。


■Truth of Consequence 
ギターリフオリエンティッドな香ばしい曲。
「リフがキャッチーでヘヴィなら絶対アガるメタルになるんだよ!」という信念を地で行く潔さを感じる。
メロハーに分類しても不思議じゃないくらいのクサみである。
ただし、中間部の単音リフの連打からのブレイクダウンは極悪。


総合満足度 88点(メロデスとコアのいいとこ取りの一枚)

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