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Mackerel38 NFT|アバランチがweb3事業をはじめるまでの記録 Vol.4

最初(Vol.1)から読む

簡単すぎるあらすじ:
アバランチは広告制作会社として25年を迎えた節目の年に、Web3事業という、まだ不透明で広大な海原に足を踏み入れることになりました。

本編に入る前にまずお伝えしたい。
前回、「web3事業をやる」は「ラーメンが好き」に似ている、と言ったことを覚えているだろうか。

先生からのVol.3の感想

えぇ……分かりやすぅ…………。

 
「これだ!」という答えを知ると、「なんで思いつかなかったんだろう」と思ってしまいがちだが、思いつかないのである。これが知識の差、経験の差なのだろうなと思う。
刻もう、しわ、脳みそに。

ということで、みなさん今日も元気にがんばって読んでください。


スタッフプロフィールに載せるから写真を送って、という依頼に迷わずサングラス姿をチョイスするのがたくさんある彼の良いところのひとつ。


いきなりだが彼はサンディ。
アバランチに入社して3年目のデザイナーだ。

日本語能力検定2級(N2)、TOEIC820点、インドネシアの大学を出た後日本の専門学校にやってきた、端的に言うと「スーパーできる奴」である。

彼の採用から入社までの間に、就労ビザを取るための書類のやりとりを含め、日々ラインで交流を重ねてきたわたしは、無事にサンディが入社した頃には既に彼が可愛くて仕方ないおかん状態に入っている。

バカみたいな質問にも快く答えてくれる優しさと、自分の名前を「めちゃ長い」って言っちゃうお茶目さを併せ持つ男。

社長である熊本さんの呼びかけにいつも「なに?」と返事をするサンディ。

入社書類の「緊急連絡先」の欄に彼女の名前を書いたサンディ。

今のスキルだけで満足せずに、映像を勉強しはじめたり、日本人でも受からないらしいN1(日本語能力検定1級)に挑戦したり、「次はこれ、その次はこれ」と、興味をすぐ行動に移せるサンディ。


ここまでだとただただ私情の入りまくった社員紹介だが、急に特定の社員を名指しで褒めだしたのには理由があるので聞いてほしい。


このweb3事業のはじまりは、ご存じの通り熊本さんの「やろう!」である。
ただし、「やろう!」の先にある「どうやって?」の部分が、実は熊本さんにも見えていなかった。
 
これは決して熊本さんをディスっているのではない。
まだ新しく不透明で、前例の少ない事業だからだ。

先生に教えてもらったり調べたりして、知識としては理解できても、その使い方がうまく繋がらない状態だった。

もちろんわたしはその熊本さんよりはるか下、「教科書を開いた瞬間に眠気がきて体調が悪くなる」という脊髄反射レベルの勉強嫌いだったので、分からない単語をネットで検索しては、脳が酸欠状態になりながら一生懸命読んでいるフリをしつつ、「もうこのままそっとこのプロジェクト消えていってくれないか」と毎日就寝前に祈っていた。

そして同時に、ずっと疑問だった。
 
いくら少年のように純粋で、パッションで世界が動くと信じている熊本さんでも(これはディスってはいないけどちょっといじっている)、まったく見通しが立たないこの事業を実現できるとなぜ思えるのか。これまでの経営で得てきた経験がその自信を支えているのか、実は熊本さんも「やろう」と言った手前、広げた風呂敷が畳めなくなっているだけなんだろうか。
 
その答えは思っていたより身近にあった。


「サンディ、自分でNFT販売してDAOやってるねんて」


ごん、お前だったのか。

(わたし史上何度読んでも胸が痛くなる作品No.1はごんぎつねです次点が泣いた赤鬼)


そう。
この事業への自信の源こそ、
サンディだったのである。
 
 

もちろん、サンディがスーパーできる奴なことは分かっていた。

生まれ育った国ではない場所で、母国語ではない言語を日々聞き、話し、仕事をするなんて、そのための努力の量も、大変さも、わたしには想像することすらできないからだ。

そして、わたしは会社で一番腹黒いので、「こんなにかしこいんだからサンディはきっと心ん中ではアバランチ全員をバカだと思いながらほくそ笑んでいるにちがいない」とも思っていた。
 
そのくらいにサンディは努力家で、優秀で、そしてアバランチでは発揮できない色んな能力を、自分の興味の向くままに、そっと磨き続けていた。


熊本さんはサンディに、「みんなで世界一美味しいサバ缶を作るコミュニティを作りたい。どうしたらいい?」と、わたしが「それ結局なんやねん」と思ってたまんまのことを言った。
(もしかして「みんなで世界一美味しいサバ缶を作るコミュニティを作りたい」botになってしまったのか、と思うくらい、この時期の熊本さんは毎日この言葉を言っていた。)
 

サンディは熊本さんの話を聞いたあと、呪文のようなもの(わたしが理解できなかっただけで色々話していたんだと思うけど、わたしは分かった顔でメモしながら一切分からなかった)を唱えて、1日足らずでこれを出してきた。

初期のロードマップ案


なぁ、なんなん?ほんまに。

サンディは、熊本さんの「web3でコミュニティがやりたい」という言葉から、自分の知っているプロジェクトの流れを参考に、

  • Discordで誰でも参加できるコミュニティを作る

  • メンバーパスという位置付けでNFTを作り、NFT保有者限定のプロジェクトを作る

  • Twitterやリアルでの宣伝・イベントを交えながら、コミュニティをひろげる

という、わたしたちが付け焼き刃の知識の先で迷子になっていた「どうやって」を、いとも簡単に持ってきてくれたのである。
 

サンディが持ってきてくれたロードマップ自体は、そこまで複雑でも難しくもないと思う。みなさんも見てもらって「なんだこれ?」となる部分はなかったはずだ。

これは冒頭の「なんで思いつかなかったんだろう」と同じである。

サンディにはわたしたちにない知識と経験があったから、迷うことなく「どうやって」にたどりつけたのである。

かくして、「このままプロジェクト自体消えてくれ」というわたしの祈りは届かなかったが、サンディを中心に本格的にプロジェクトが進行していくことになる。


Discordの設定中。何聞いても答えてくれるこの安心感……。


みんなが驚いたり褒めるたび、「そんなすごくないです」とサンディは笑っているけれど、わたしはサンディと一緒に仕事をしていることが、とにかく嬉しくて誇らしい。


この回は、熊本さん希望の「読んでる人がweb3を学べるような内容」にはできなかったとは思うが、知識だけじゃなく、アバランチがweb3事業をはじめる上で辿ったあらゆる道筋を、一緒に体験していただけたら嬉しい。


打合せ中、サンディが個人でやってるDAOはどんなことをしてるのか聞いたことがある。

「友人と一緒にNFTを販売して、売上の使い道をDAOで話し合って、クリエイターの支援にあてたりしています」

スーパーできる奴にも程があるやろ。



ということで次回、
「ここまで空気のような扱いを受けてるけどそろそろうちの主砲が登場します|NFTをつくるぞ」編です。

Vol.5を読む→

今回のサムネ


みんなで世界一美味しいサバ缶を作るコミュニティを作りたいBotと化す熊本さん、引く社員。


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