Mackerel38 NFT | Case study‐敏腕経理、イーサリアムを買う‐
はじめから読む
簡単すぎるあらすじ:
アバランチは広告制作会社として25年を迎えた節目の年に、web3事業という、まだ不透明で広大な海原に足を踏み入れ、にっちもさっちもな状況もどうにかこうにか乗り越えながら、プロジェクトサイトとコミュニティがオープンしました。
Case study編、その2です。
前回はNFTを販売するとはつまり何をどうすることなのか、という部分を、販売場所やNFTを生成するための方法・ツール等に焦点を当ててお話した。前回の話をざっくりまとめるとこうだ。
NFTをNFTたる状態にするためには色々やんないといけないことがあって、Openseaとかの販売プラットフォームを使用すればその手間を省けるけど、色んなことを考慮した結果「Nifty.kitを使用して独自コントラクトでNFTを生成し、LPページで販売する」ことになった。
今回はその続きです。
このNifty.kitというのは、NFT生成のために開発されたものである。
つまり、ブロックチェーン上に存在しているのである。
そうなると、アプリの価格は「イーサリアム(ETH))」表記なのである。
そう、もうお分かりの通り、イーサリアムで買わねばならない。
ということで、本日のCase study名
敏腕リスクマネジメントモンスター 参戦!
~法人がイーサリアムを買うと何が起こるんや~
アバランチには、速すぎて逆に止まって見えるような、敏腕すぎて敏腕さがイマイチ伝わらないリスクマネジメントモンスターがいる。アバランチで経理という名の万事屋をやって20年になる久武さんである。
経理という立場がそうさせるのか、元々の性質が経理向きなのか、久武さんは細部まで調べること、何度も確認すること、納得できるまで検証することが得意だった。
有り余るパッションをガソリンに、アクセルベタ踏みで「早くやろう!!すぐやろう!!」と常に言っている暴走機関車タイプの社長・熊本さんとは絶対的に合わなくて、だからこそ絶対に、会社の中核に必要な人である。
熊本さんのパッション機関車に「行きましょう!高速乗っていきましょう!」と乗り込む人も必要な一方で、「行くならあれとこれとそれが必要です。あ、あとこのままだと窓吹き飛ぶかもしれません」と、車検の重要さを口すっぱく説く人がいないと、アクセルを踏んだ1歩目で事故を起こす可能性もあるからだ。
ふわっとした、ゼロから生み出すような答えのない仕事は大の苦手。やりながら考える、はあまり好きじゃなくて、あらゆる可能性を調べて答えを見つけ出すことは大得意。試算とチョコとディズニーランドが大好き。それが久武さんである。
多分どんな企業にも、久武さんのように「しっかり考えて、決まった答えを探す仕事」が適任な人がいる。会社のお金を扱うひとが「1円合わないけど、まぁいいか」では困るからだ。だからこそ「合わない」ことや「まだ分からない」ことにストレスを抱えたりもする。
そんな人に
「会社でイーサリアム買うよ!いぇーい!!」
と言わないといけないのである。
わたしは入社以降、割と近くで久武さんと仕事をしてきていたので、こういったやったことのない、新しいことが始まる時の久武さんをよく知っている。
「ほぅ…」と一言発したあと、
それはそれは虚無な顔をするのである。
そして虚無顔のままひとまず内容を聞き、「それって……」と要件を確認してから、丁寧に不明点とリスクを話してくれる、までが一連の流れだ。
本当にやりたくないことも中にはあったと思うが、やりたくないのではなく「分からないからまだやれるとは言えない」という状態がこの虚無顔である。
とはいえ、今回は避けようのない事態である。
既にプロジェクトは動いていて、Nifty.kitは進行において必要なツールであり、買うという選択肢しか今回はないのである。
それでもできるだけ、誠意を持って、順を追って説明した。
「今やってるNFTのプロジェクトなんですけどね」
「うん」
「NFTって、販売するための設定を色々しないといけないんですけど」
「うん」
「そのためのツールがあって、サンディがそれを使って設定してくれます」
「サンディすごいね」
「そう、だから、社長許可も出たのでそれ購入してほしいです」
「うん」
「イーサリアムで」
「・・・・ほぅ」
ほら、こうなるやん。
それからのことはあまり覚えていないが、「でも買うしかないんですよねぇ」と言い続けてウォレットや購入に関する話は師匠(サンディ)にお願いした。
結果、なんやかんやあって、無事にイーサリアムの購入も、Nifty.kitの購入もできた。一件落着である。
・・・
>結果、なんやかんやあって、無事にイーサリアムの購入も、Nifty.kitの購入もできた。
はいここ。ここです。テストに出ます。
会社において「なんやかんやあって」とか「まぁなんとか無事に」みたいな部分って、久武さんのように裏で一生懸命調べて考えて動いている人がいるんですよ。
という「なんやかんやあって」の詳細を、企業なら避けて通れない経理処理という側面でお話するのは今回のCase studyである。
ただし、あくまでも一企業の一事例でしかなく、これが全ての企業に当てはまるわけではないことをご留意いただきたい。
そうです、ここからが本題です。
Nifty.kitをイーサリアムで購入するまでのステップは以下の通りだ。
これが「なんやかんや」の詳細である。
そしてこの「なんやかんや」は、このリストに見えている登録や購入自体が難しいのではなく、「会社としてこの金銭の動きをいつ、どう計上するのか」を明確にしていく作業が大変だったといえる。
なにより、ややこしいというより面倒なのは、「ガス代」である。
ガス代とはざっくりと言えば手数料であり、とにかく何をするにもガス代が必要なのである。手数料だと理解はしていても「とは言えなんでこんなあちこちにガス代かかるねん」と思って「ガス代 なぜ」で調べた。
それはいるわ絶対払うどうもありがとうございます。
ということで、今回のNifty.kitの購入において、仕訳処理が必要になるのは下図の通りである。
ざっくりとしたポイントだけまとめてみようと思う。
これ以上のことは脳みそが赤子のほっぺのようにつるつるなわたしにはもう分からないので、このくらいで勘弁してほしい。
そして、今回もうひとつ確認していたのは「残っているイーサリアムは決算(期末日)を向かえるとどうなるのか」だ。
ガス代を考慮してNifty.kitの代金より多めに用意していたイーサリアムが、まだ会社のウォレットに残っているのである。
ご存知の方も多いと思うが、一般的な投資株は「現金化した時に損益計上が発生する」のがルールとなっている(らしい)。
仮に10万円で買った株が会社の期末日時点で100万円になっていても、逆に1万円になっていても、決算書での記載は「10万円」となる(らしい)。つまり、現金化しない限りは、購入額のまま計上しつづける(らしい)のだ。
しかし、今回の保有目的や現状の情報を整理した結果、アバランチが保有しているイーサリアムは「期末日時点のレートで損益計上が発生する」ということらしかった。
ほぅ・・・。(虚無顔)
と、いうことで。
これが、アバランチが今回のプロジェクトで行ったイーサリアムに関する経理処理のあれこれである。既に記載の通り、これはあくまで一企業の一事例でしかないため、もしあなたの会社でイーサリアムをはじめとした暗号通貨を購入し保有する機会があるのなら、必ず税理士や専門家に確認の上処理を行っていただきたい。
このCase studyを書くにあたり、久武さんに0から100まで質問して答えてもらったわけだが、話しの締めに「あーじゃあ実際法人でイーサリアムを扱う経験をしてみてどうでしたか」と、謎にかしこまった記者のような質問をしてしまった。
久武さんは「うん」とも「ほぅ」とも言わず、代わりに「こんなんほんまに嫌もうできるなら今すぐやめたいこんなんするもんじゃない」と早口で言いきった。
結論
まだ税理士的にも前例が少ないからやりながら確定していく部分が多いのも相まって、今回のような仕事はちゃんとしたい人には不安とストレスが襲います。が、ちゃんとしないと会社が後からとても大変なことになるかもしれないので、結局ちゃんとしてる人にしか任せられませんこれからも頑張ってください。
ということで次回、
「1話にするにはボリュームないし脈略もないネタが溜まっているので脈絡もなく書いてみます|小ネタ編」です。
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