見出し画像

▼琉球古神道と神宮大麻

沖縄に、いわゆる日本の「神道」が持ち込まれたのは、1400年代に仏教が伝来した頃に重なるようです。
仏教がなかなか受け入れられないため、王府に布教許可を取るために、沖縄各地にあった主要の拝所や御嶽を管理することを申し出たそうです。
王府は琉球八社と呼ばれる御嶽をお宮にして管理することを許可し、そのお宮の近くには管理寺院が置かれました。

波上宮-護国寺
沖宮-臨海時
天久宮-天久聖現寺
末吉宮-大慶山万寿寺
識名宮-神応寺
普天間宮-神宮寺
安里八幡宮-神徳寺

各寺社は拝所や御嶽を荘厳に管理することに決め、そこに「熊野権現」を勧請して《神社》の形式にし、安里八幡宮だけは「八幡神」を祀っています。
それぞれの神様も、沖縄古来の神になぞらえて名前が変化しているものがあります。
日本で神道の変革が進み始める鎌倉時代後期から室町時代よりも以前の、古い時代の神道が入ってきたため、日本本土よりも古い形式の神道の祀り方が残っていると言われています。
『琉球古神道』と言われる所以です。

明治時代になると日本化が急速進み、その中でも神社の役割が変わってきました。
沖縄では那覇市の波上宮が中心的な神社とされました。
それから、祈祷の方法も日本化されていき、御神札や御守りの販売も始まりました。
その中に今日の話題『神宮大麻』があります。

そもそも『神宮大麻』って何よ?という方もいらっしゃると思いますが、神社で売っている『天照皇大神宮』と書かれた御神札のことです。

上の2サイトは神宮(伊勢神宮)と神宮大麻について書かれていますが、そもそも「何故」それを家庭で祀らないといけないのかは書かれていません。
曖昧模糊とした表現に止まっています。
正憲も当初はいろいろなサイト情報から、「当然」神棚に収めるものと思っていました。
しかし、琉球古神道の成り立ちを学んでいくうちに、沖縄の家庭の神棚に必要なのか?という疑問が出てきました。

極論を言うと、御札(御神札)どころか神棚も必要か?という点に至ります。

何もない真っ新な宙空を拝むより、何か祈る対象があったほうが祈りやすいということもありますので、家庭に神棚があってもデメリットはなさそうです。
台所には「火之神(ひぬかん)」があり、家族の健康と災厄排除のお祈りを普段からしているのと同じですね。
沖縄での神棚はゴージャスなものよりも、御嶽信仰に見られる簡素な造りで毎日気軽に拝めるものが適している気がします。
ここで御嶽信仰や火之神信仰に基づく伝統的な家庭祭祀を考えると、「神宮大麻」の存在はどうもかけ離れているとしか思えません。

それは、「神宮大麻」を販売している神宮(伊勢神宮)が個人の神様ではないというところから生じます。
伊勢神宮は“一般的には”個人の祈願ではなく、鎮護国家や国家安寧、皇室弥栄などを感謝する場所とされています。
正憲なんかは特に神社に行くと、彼氏できますように🙏、宝くじ当たりますように🙏、友だち皆が幸せでありますように🙏など、私的なことしか祈願しません。
「神宮大麻」に込められた国家安寧は、宇露戦争などの現状では「希望」ではありますが、毎日家庭祈願するものではなさそう。
となると、もっと泥臭いというか、人間くさいことと繋がりのある神様でも良いと思ってしまうわけです。

それが、「氏神」や「産土神」「崇敬神」といった神様だと思います。

上のサイトにそれぞれの違いを詳しく書いていますが、今一度、正憲的な表現で書いてみます。

氏 神】氏族(一族)で信仰する神様、もしくは地域ぐるみで古くから信仰の対象としている神様
産土神】生まれた育ったところ、もしくは現在住んでいる地域の神様
崇敬神】縁や所縁に関係なく、自分が手を合わせたいと思う神様

そう考えると、自宅の神棚に収める御神札は「産土神」と「崇敬神社」のもので良いのではと思います。
「いや!自分は毎日国家安寧と皇室弥栄を自宅で祈願したい」という方は『神宮大麻』を買い求めてお祀りしたら良いと思います。
少なくとも外来信仰である「神道」が入ってきた沖縄では、御嶽信仰や火之神信仰、観音信仰などを素地に考えると「産土神」を祀ることが一番近い気がしています。

何を祀り、何を拝むかということについて言えば、個人の勝手なので何を神棚に収めても良いわけです。
「こうしなければならない」みたいな決まり事を作りたがる日本人の性質(神社本庁の企み?)は分からなくはありませんが、沖縄の古来の信仰や江戸時代以前の日本の神道(ひいては地域信仰)と考えると、「神宮大麻を収めなければならない」とか「二礼二拍手一礼が参拝方法」なんていう決まりは余計なことだと思います。
もちろん、ある程度の作法は必要だと思います・・・・・。

いろいろ屁理屈を書いてきましたが、神様仏様、ご先祖様に感謝して、今日も楽しく過ごしていきましょう🙏


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?