わたしはあなたの味方だよ、ということ

例えば、二人の女性と同時に付き合っている男性がいたとしよう。二人の女性はお互いの存在を知らず、自分が唯一の恋人だと思っている。彼は比較的友人に私生活をあっけらかんと話すタイプの人間なので、親しい友人たちは彼に恋人が二人いることを知っている。さらに(虫の良い話であるが)本人は至って二人の女性に真剣で、どちらにも割合真剣に向き合い、心を注いでいるとする。

色々な情勢が絡み合い、結局彼の「悪事」は二人の女性に知られないまま、片方の女性(お付き合いするのが遅かった方、周りから見れば「側室」)とお別れすることになってしまった。彼にはまだ一人恋人が残っているし、ある意味「正常に戻った」とも言えるのだけれど、二人ともに真剣だった分、彼の心にはぽっかり穴が開いてしまったようで、まるで失恋をしたかのように(一応失恋はしたのだけれど)落ち込んで随分寂しがっている。

あなたが彼の友人だとして、彼を慰めますか?同情の余地なしとして突き放しますか?という、例えばの話。ちなみにあなたは二人の女性と特段面識はない。

間違ったことをしていたのだから、同情の余地なし。愚痴を聞く必要もなし、というのは、分かる。でも、わたしは愚痴を聞いて、寂しいねって慰めてしまうのではないかな、とも思う。

難しい話だし、もちろん限度はあると思うけれど、ある人の行動の善悪や正誤と、それによって本人が受け取ることになったマイナスに心を寄せて、例えば少しだけでも側にいたりする行動を取るかどうかは、必ずしもリンクしないのではないかな。あなたが取った行動はよくないことだったけれど、しかしそれはそれとして今悲しい気持ちになっているその気持ちはそこにあるわけだから、辛ければ弱音を吐いてもいいし話くらい聞くよ、みたいな行動もあるのではないかなと、思ってしまう。自業自得だから知らない、君に凹む権利はないよ、というのが正しいのは分かるのだけれど、でもだって辛いものは辛いし、まぁ間違ったことはしたけれど今は君の味方でいるよ、その上で君は間違っていたけどね、みたいな行動は、どうなんだろう、友人がとるべき行動としては、間違っているのだろうか。

という、例えばの例え話。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?