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【ピアノ日記】かけねなしの名曲

今、ピアノの課題として取り組みたいと思っているのは、弱音を芯のあるいい音で出すこと。この課題を克服するために、何の曲を練習しようかな? と考えた時に、すぐさま思い浮かんだのは、ドビュッシーの月の光でした。超有名曲、だけどなぜか子供の頃に習う機会がなく、そのまま大人になりました。

なんですが、今回月の光を題材にして弱音を習得したいというのはまぁもちろん動機としてあるのだけど、それを差し引いても、私はこの曲が大人になってから大好きになってしまったのですね。

何を今さらと言うくらい有名な月の光を、好きになったきっかけは…。


数年前、とある日本人プロ演奏家による室内楽の演奏会で、フォーレのピアノ五重奏の後にピアニストさんが単独でアンコールピースとしてこの曲を弾かれたんです。
もう最初の一音から、「なんだこの美しい音は~!」と一瞬で曲の世界に惹き込まれ、最後まで茫然と聴き入ってしまいました。計算し尽くされた美とはこういうものか、、、と心をわしづかみにされたのを覚えています。
そこには、「えー、今さら月の光かい~?」みたいな感想は微塵も入る余地はなく、ただただいい音楽を聴けた、そしていつか私も演奏であの境地に近付きたい、という憧れしか残りませんでした。


また同じ頃に、たまたまこの曲で三人でコンテンポラリーダンスみたいなのを踊って地域の発表会で発表する機会がありました。毎回練習でCDの演奏に合わせて踊りながら、「なんていい曲なんだ…」と噛み締めてました。

この曲は一定のテンポの曲ではないので、踊る際に音を取るのに結構苦労しました。楽譜を買って(演奏するためでなく踊りのためにw)どの音にどのステップが入るか細かく書き込みしたので、今でもピアノを練習していると、ここであのステップしたな…と映像が脳裏に浮かぶことがあります。

気に入りすぎて、拙いながらも自分でソロの踊り向けに新しく振り付けし直し、別の機会に踊ろうとしたのですが、当日台風が来て本番が無くなりました(野外、海辺で踊る予定だったのです…。実現したら夢のような思い出になっただろうなぁ)。というわけで曲が骨の髄まで浸透しているのであります😄


こういう、大人でも子供でも、誰が聞いても文句無しにいい曲、なんなら動物や植物だって聞いてて心地いいんじゃないかという曲(植物にモーツァルトを聴かせたらよく育った、みたいな実験ありましたよね?)。こういう曲たちを、私は「かけねなしの名曲」と勝手に呼び習わしている(他にこのカテゴリに入る曲は、シューマンのトロイメライやショパン夜想曲Op9-2などなど…)。

そりゃあマーラーの交響曲とか、ベートーヴェンの中期以降の弦楽四重奏とか、大人の知能を持って聞けば本当にすごい曲と思うし、音楽史的には重要なんだろうけど、子供が聞いたらただのわけわからん曲だろうよ。
月の光のような、シンプルにかけねなしの名曲って本当にいいものだなあと、一周回って思う今日この頃です。


それにしてもこの曲って、ちょっと上手な小学生でも発表会で演奏するような中級曲と見なされているけど、ドビュッシーの雰囲気を出しながら、最初から最後まで一貫していい音で、音楽性豊かな演奏をするのって大人でも結構難しいのではないかしら? 有名すぎるっていうのも怖いし…。

今度この曲を人前で弾く時は、自分なりのいい演奏を目指したいもんです!😄

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