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急成長から破綻へ~業界をリードした補助金コンサル企業「北浜グローバル経営」の軌跡~

2020年、2.2億円の売上だった北浜グローバル経営株式会社は、2023年には35.8億円に急成長を遂げました。その原動力は、中小企業向け補助金申請支援事業の急拡大でした。しかし、2023年後半、突如として経営破綻。いったい何が起きたのでしょうか?

1. 北浜グローバル経営の概要:補助金申請支援で急成長

北浜グローバル経営は、中小企業向けの補助金申請支援を専門とするコンサルティング会社として、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で設立された「事業再構築補助金」の需要が急増。同社は、この追い風を捉え、積極的な営業活動と高い顧客満足度によって、急速に事業を拡大させていきました。
主に事業提携により、数多くの金融機関、製品販売事業者と連携し拡大していったと伺っております。

2. 経営破綻の背景:補助金制度変更が突きつけた現実

2.1 事業再構築補助金:コロナ禍で生まれた救済策

事業再構築補助金は、コロナ禍で業績が悪化した企業が新たなビジネスモデルを構築するための資金援助制度でした。北浜グローバル経営は、この制度を活用する企業の申請サポートを行い、全国屈指の実績を有しておりました。

同社の費用感は以下の3段階で構成されていると聞いております。(一部の情報なので確定情報ではございません。)

①着手金20万円(成功報酬に含むデポジット制)
②成功報酬10%
③交付申請・実績報告支援費 数十万円

費用感的には合計で補助額の15%ほどになるため少し割高なのかもしれませんね。

また、全ての②の費用は採択後に、③の費用も採択後に支援が必要であれば請求が発生していたと聞いておりますので、キャッシュフロー的にも比較的早い部類だと感じます。

ではなぜ今回経営破綻に追い込まれたのでしょうか。

2.2 制度変更による影響:審査厳格化で資金繰りが悪化

しかし、2023年後半、事業再構築補助金の審査基準が大幅に厳格化されました。その結果、採択件数が大きく減少し、次回の公募開始まで長い期間が空いたことで、資金繰りが悪化したのではないでしょうか。

審査厳格化については以下よりご確認ください。

2.3 固定費の大きさ:急拡大の裏に潜むリスク

さらに、急成長に伴い従業員数は200名を超え、オフィスも大阪梅田の一等地に構えるなど、莫大な固定費がかかっていました。補助金制度変更による収入減は、この固定費負担をさらに重くしました。

2.4 時代の変化:信頼は、これからの時代で本当に価値を持つのか?

従業員数やオフィス所在地は、従来、企業の信頼性を示す指標とされてきました。
しかし、AI技術や省力化が進展する中で、これらの要素は今後、企業にとって負債になる可能性も孕んでいます。今回の1件は、従来型のビジネスモデルが時代の変化に対応できないことを示していると感じました。
当社も一部業務において同業者であるため、業務フローは概ね理解できていると感じていますが、最も異なる点は固定費の大きさだと予想しています。
当社の場合、リモートを主体に業務フローを構築する社内文化であることも相まって今回の件でダメージは少ない部類に入ったと感じています。

リモートを主体とする業務フローの構築には人との関わり方、セキュリティ面なども考慮した組織作りから見直しが必要になります。(この件は別の記事でご案内させていただきます。)

3. 事業再構築補助金の変更と影響

3.1 審査基準の厳格化:採択率低下が経営を直撃

2023年後半からの審査基準の厳格化により、第11回の採択率は20%台にまで低下。北浜グローバル経営の成功報酬収入も大幅に減少しました。これが、固定費の維持を困難にし、経営破綻へと繋がったのです。

3.2 北浜グローバル経営の業績推移:急成長の影で業績悪化

北浜グローバル経営は、2020年には2.2億円の売上でしたが、2023年には35.8億円に成長しました。しかし、補助金制度変更による影響は深刻で、業績は急激に悪化しました。
その結果、5月24日、大阪地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けました。
負債総額は約20億5300万円(2023年3月期決算時点)となっています。

3.3 経営破綻の影響:従業員、金融機関、顧客に波及

北浜グローバル経営の破綻により、226人の従業員様が職を失いました。提携金融機関はその後の顧客支援に追われていると伺っております。
外注先の方も抱えている案件に対する対応や今後の動きに対して迷われているつ伺っております。

また、北浜グローバル経営からは顧客向けの説明会が開催されているようです。
”同業者からの営業等による注意喚起””あっせんができない”旨の発表があると聞いております。要するに責任が取れないのでリスクヘッジの発表ではありますが、その他の情報もキャッチできるかもしれないので関係者の方はご参加お願いいたします。

4.まとめ:まとめ:信頼と変化への対応が不可欠

北浜グローバル経営の破綻は、補助金制度の変化への対応の遅れが大きな要因でした。企業は、常に制度の変更に敏感であり、迅速に対応する必要があります。今後の補助金申請を行う企業は、信頼性の高い申請サポート企業を選び、制度の変更に迅速に対応することが重要です。

当社では、採択された後の事業者の支援を行っております。
今後の業務におけるアドバイスなどは無償です。
また、外注先の方や元従業員様からのお問い合わせもお受けしております。何かお役立ちできれば幸いです。

北浜グローバル経営の教訓は、成長の裏に潜むリスクと、時代の変化への対応の重要性を示しています。これからの企業は、変化を恐れずに、新たな価値を生み出す挑戦を続けなければなりません。

過去採択された事業者様はこちらをご確認ください。

外注先の方や元従業員様は当社ホームページよりお問い合わせください。



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