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エスカレーターの右側(地域によっては左側)には大事なものがある。

エスカレーターの右側が、大事なものを無くしてしまったかのように空いている。

これはなんで空いているのだろうか。
霊の通り道にでも指定されているのであろうか。

しばしすると歩いていく人が現れる。
どうやら霊ではないようだ。
重たそうな足がある。

そうか、歩く人用のために空いていたのか。

これが今問題になっている。
事故が多発し、歩かないでくれ、という条例が出来たところもあるらしい。

そう言えば僕の町にある駅にも、そんなポスターが貼ってある。
条例にまではなっていないのかもしれないが、全国的な流れなのかもしれない。

たしかに歩かれると、乗っている人たちにぶつかったりする人もいる。
こけたり、衣服の一部が、新鮮なレタスのように挟み込まれてしまうかもしれない。

けれども、全然歩いている人はいる。
ポスターが見えないのだろうか。

いや、違う。
彼らは、そのレーンは歩くのだ、というプレッシャーに打ち勝てないのだ。
自分は大丈夫、という傲りもあるかと思う。

僕はエスカレーター事故を見たことがないし、ひょっとするとほとんどの人が見たことないのかもしれない。
だからそれがど危険なのかよくわからないのではないだろうか。
正直に言えば僕もよくわからない。

だが、実際に傷ついている人や不安がっている人はいる。
そういう人がいるならば、最後の砦のように守らなければいけないことなのではないだろうか。

このルールが徹底されるのには時間がかかることだろう。

いつかみんなが、母親の温もりぐらい安心してエスカレーターに乗れる日が来ることを願う。

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