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韓国ドラマを地でいく。

2022年コメント
 韓国・梨泰院で惨事が起こった。韓国社会では錫悦(ユン・ソギョル)政権の無策に対する批判が強まっている。昨年、文在寅政権下では、警察官が交通規制をしていた。
 今年、尹政権は大統領府を龍山区にある国防部庁舎に移した。そのために、毎日700人の警察官が警備に取られるという状況になっている。しかも、参事のあった当日は、土曜日に行なわれる尹政権退陣要求のデモがあり、そのデモに対して何千人もの警察官を配備して、梨泰院に人が回らなかったとの情報も。また、尹大統領は祈祷にハマっていて、背後にはチョンゴン法師という祈祷師が影響力を持っているとのことで、大統領府の移転も、今回の梨泰院の無警備も、祈祷師が背後にいると言われている。
 しかし、韓国は国民の人権意識がきっちりとしているので、いずれ、責任追及の大きな反政権運動が盛り上がるだろう。
 こう言った情報を知るにつけ、まるで韓国ドラマだと思うが、いや、いや、こういう現実をきっちりドラマの中に嵌め込んで、茶の間にそのメッセージを伝える韓国の放送業界は凄いとあらためて思う。
 タイトルの写真は、2017年5月、光州で開催された「応答せよ1987」と題する全情浩さんと李相浩さんの二人展に、版木とともに展示された「解放アリラン」。この版画の作者は全情浩さん。
 「応答せよ1987」については、いずれあらためて。

2021年8月10日
新型ウイルスが収まったら、最初に行きたい韓国。

 以前から韓国映画はレベルが高く、見応えがあるものが多いので、東京文京区にあった「三百人劇場」で韓国映画週間がはじまると、地下鉄の回数券買って観に行くほどでした。近頃は、インターネットでの配信もあるし、DVDも安く手に入ります。韓国映画やドラマは、以前にもましてその水準が上がったので、「ハマる」人が続出しているようです。
 ラブコメにしても、サスペンスにしても、時代劇さえも、常に現在置かれている政治的・社会的状況への作り手のメッセージが込められているし、俳優たちも、その中身を理解し、演じうる教養や知識、自らの思想性をきちんと持ち合わせて役作りが出来ていると思います。
 このかん、いくつもの作品を観てきて、ふと、思ったことがあります。
 私が韓国日初めて行ったのは1992年暮れ、日本文学の研究がしたいと日本に留学し、道半ばにして帰国した友人宅を訪れました。彼の家は光州市内でです。光州事件と言われる民主化闘争から12年を経ていた彼の地を、案内してもらいました。
 光州事件の犠牲者を埋葬した「望月洞(マンウォルドン)墓地」も、当時はまだそれほど整備されておらず、まあるい山が並び、ところどころに墓標がある程度でした。
 年末年始で、大学にはほとんど人がいませんでしたが、市内の大学へも連れて行ってくれました。彼は全南大学出身ですが、朝鮮大学の学生食堂に壁画があるとのことで、見に行きました。冬休みで食堂は壁に沿って椅子が積み上げられ、何かの工事をしている様子でしたが、壁の壁画は見ることができました。
 その壁画はたいへん衝撃的なものでした。38度線を超えて互いに手をつなく若者を中心に、民主化も求めてやまぬ人びとが描かれていました。
 写真はたくさん撮りましたが、当時、私は、カラー写真をほとんど撮らなかったので、モノクロフィルムしか持っていませんでした。今更ながらに悔やまれます。そして、壁画とは別に壁にかかっていた一枚の版画に惹きつけられました。
 1992年から3年にかけての年末年始から13年後の2005年の大阪のホテルの一室で、私はその版画の作家・全情浩(チョン・ジョンホ)さんから、一枚の版画を手渡されました。光州民衆美術の担い手たちの作品が大阪で展示されることになり、作家たちが来日していたのです。その彼らの大阪滞在中、共に過ごすことになった山口泉さんとともに、酒を酌み交わすホテルでの三次会での出来事でした。
 13年前、衝撃を受けた壁画の書き手たちが目の前で酔っ払ってる。彼らと何度もグラスを「짠(チャン)」(乾杯)し、通じない言葉で通じ合ってるみたいな状況でした。
 これって、まるで韓国ドラマだ。

連帯!
このオモニを見よ。
この自由の女神を見よ。

学生食堂の壁画。カラー写真でないのが残念。これを描いた彼らも、当時はカメラなどなく、誰も写真を撮っていない。写真があるならぜひ送ってほしいといわれ、このモノクロ写真を送った。

「해방아리랑」(ヘパアリラン/解放アリラン)
このときは、作者も知らず。

 1992年の朝鮮大学学生食堂で出会った版画。チマチョゴリの女たちが太極を踊っている。

現在、我が家のビオ鍼灸治療院を飾る版画「解放アリラン」。
2005年、大阪にて作者の全情浩さんから手渡された。


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