夜を越えて生きていきたい

こんにちは、くらげです。

今回のお話は、ちょっとだけ、気分が悪い話を混ぜます。嫌だと思ったら読むのをやめてください。


夜、みなさんは好きでしょうか。私は実は数年前に少し苦手なものになってしまいました。

夜って、昼と違う雰囲気がなんとも好きでした。冬の夜もパキッとしていて、空気が澄んでいるような気がしていて、一人で歩いていると、冷たい空気が流れ込んできて、頭の中が空っぽになっていくような、そんな気がしていました。普段生きている世界とはまた別の世界になっていたような。そんな雰囲気を纏ったのが私の中の夜でした。

そんな中、高校生の私、知らない男の人から体を触られる、ということを経験してしまいました。痴漢、といえばそうですが、きっと強姦一歩手前でした。

その時は友達と遊びに行った帰りでした。夜でした。後ろから目を隠された時、最初は近くに住んでいる叔母だと思いました。叔母は普段からそういうことをするおちゃめな感じの人でした。

その叔母のいつもの「だれだ!」待ちだった私は異変に気づくのが少し遅かったのです。



全て終わってしまった後、どうすればいいかわからなくて、震えが止まらないとはまさにこのことか、と思いながら警察、警察かなと思いながら自分のスマホから電話をしました。人間は状況が飲み込めない時は笑うしかないことに初めて気づきました。中学・高校で仲良かった男の子たちは私をちゃんと女の子だ、ということをわかったうえで力を抜いていたのかとここで気づきました。男の子には到底かなわないということを馬鹿なことに初めて気づいたのです。

親にも警察から連絡がいき、仕事終わりの母は驚いた顔で帰ってきました。失笑の私の顔を見て、なんとも言えない顔をしていたのを覚えています。

その時は、『思っていたよりも傷付かなかった』『思っていたよりも平気だ』という、確かな感情。実際に平気だったし、フラッシュバック?ないない。そんなに私は弱くないと思っていました。でも、それはその時だけでした。

その日からしばらく私は、昼でも男の人がいると怖くなってしまったのです。夜なんて1人で歩けなくてバイト終わりは泣きそうになりながら帰っていました。いわゆるPTSDでした。

高校生だった私はPTSDだということを認めたくなかったのです。もちろん、警察の人から説明があったし、母からも『何かあったらすぐいうんだよ』『怖かったらいうんだよ』とも言われていました。

なんというか、何も害がない男の人に嫌悪感を持つことが失礼なように感じたのと同時に、すました顔してこっちになにかしてくるかもしれないという怖い気持ちがありました。ちゃんと捕まってその人はいないはずなのにどこからか出てきそうという気持ちが付き纏っていました。

警察の方に、電話で相談できる相談所を教えてもらっていました。他者から見ても大丈夫そうに見えてもきっとこの後にPTSDになるかもしれない、ということを職業柄分かっていたのでしょう。さすが、としか言えません。


それでも、『PTSDかもしれない』『私はPTSDだ』と感じることが嫌でした。相談所に電話もできませんでした。女の子、ということが心底嫌になった時もありました。弱い立場の人がこんなにビクビクしないといけないんだろう、夜歩いていた私が悪くなるのかな、大人しそうな顔だから狙われたのかもしれないと言っていた警察の人の言葉を一生忘れない。

大好きだった夜がそこから怖くなりました。


何年か経った今では普通に1人で歩けるし、男の人にそこまでの嫌悪感もありません。

でも、今でも後ろから走ってくる音が聞こえれば思い出して途端に怖くなるし、夜1人で歩く時は何回も後ろを振り向く癖がつきました。

ドアには必ず鍵をかけるようになりました。防犯、というより自分が怖いという気持ちの方が大きいです。女の子も男の子も防犯は大事ですよ。



お話ししようとしたきっかけとしては、ずっとある『加害者はもちろん悪いけど、被害者だって悪い』の話。

例えば、電車の痴漢。

「そんなに短いスカートなのが悪い」「露出しているのが悪い」

「露出しているから触られても仕方ない」「魅力的だし、肌が見えているから触られても仕方ない」

という言葉、きっともっとあるのでしょう。

私も短いスカートは好きです。肩が出る服も好きだし、今はやりの丈が短いトップスも大好きです。かわいいから着る、この服が好き、というだけでそれ以上もそれ以下もありません、ましては『触られたい』という気持ちなんてありません。

『肌が出ているから触ってもいい』というのは、『美術品、展示品がむき出しで出ているから触ってもいい』と似ているのではないかなと個人的には思っています。

展示品や美術品はたまにむき出しで出ていることもありますが、触ってはいけない。どれだけ魅力的でも、どれだけ欲しくても触ってはいけないのです。美術館の絵画とかは額縁にはいっているとはいえ、むき出しですね。展示品もケースに入っているものもあるけど、完全に囲っていないものもありますね。

理由としては様々ですが、破損、欠損、盗難、私たちにはわからないことを防ぐためでしょう。しかし、博物館や美術館は教育機関の一環であり、そこに収蔵されている文化財や絵画、その他の展示物を公開する義務が存在しているのです。でも大事なものだから触ってはいけない、となっているのでしょう。違っていたらごめんなさい。でも、きっとそういうルールだから触ってはいけないのです。

それと似ているのかなと思います。男女ともに『肌が見えているから触ってもいい』というのはルールとして明記されているわけではないけど、そうであるべき、という意識のもとに生まれたルールに近いものかなと個人的に思います。でも多くの共通認識としては『他人には触ってはいけない』のです。

人間は万能ではないから予測できる限界があるし、予測できる範囲も人それぞれです。

『こういうことになるって予測できただろう』『予測できたのに対策をしない方が悪い』『隙を見せたのが悪い』

少なくとも、高校生の私は予測することができなかった。なぜなら予測できるほど経験がなかったから。予測というものは自分自身の経験に基づき、資料や情報を組み合わせて行うものだ。次あったらどうするか、ということは考えられるけど、あの時こうすればよかった、はわからないものです。

高校生の私にとって初めての経験だったわけだし、今でもあの時どうするべきだったかもわからないし。また経験したいなんてことは全く思わない。あの時の私は何が悪かったのだろう。私には運が悪かったしかわからない。

過度に防犯するしかないのかな、とも思う。でもこれはきっと経験しないとわからない怖さだから、私は他人から見たらやりすぎなのかもしれない。

誰が来るかわからないからドア穴をちゃんとふさぎたい、鍵を必ず閉めてほしい、寝るときに人が通る方の窓を開けないでほしい、と彼にお願いしたときに、

「治安がいい場所だから大丈夫だよ」「誰も来ないよ」

と言われたとき、とっさに怖い気持ちが先行して結構強く意見してしまった。

治安がいい場所なのはわかる、でも、『治安がいい人』しかいないとは限らない。住んでいなくてもその人は来るかもしれない。そんなこと言ったら、高校生の私が住んでいたところだって比較的治安が良かったし、犯人は私が住んでいた場所に住んでいなかった。そういうことじゃない、ということは結局うまく伝えられなかった。

私とあなたの意識はここまで違ったのかと少し思ってしまった。

でもそれは当たり前なことなんだよな、だって彼には私がしたような経験がないのだから。経験がないことは想像で補うほかないです。でも、もし自分が強姦されたら、なんてこと普通に生きていて考えている人の方が少ないですよね。

なんか難しいことを書いてしまったな、と今になって感じます。大学生には手に負えない問題かな。こういうのってそれぞれの意識の問題だしな。

女の子だから仕方ない、男の子だから仕方ない、何に対しても絶対にそんなことはない。私はそう信じていたい。お互い、違うところで理不尽な状況というものはありますから。


夜が苦手な一人の人間の戯言をどうか聞いて下さい。

まとまっていないかな。やっぱり勢いで書くといけませんね。

ありがとうございました。ではまた。


この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?