読書メモ4
『記号創発システム論』 谷口忠大 編
認知システムの動態=AIやロボットが自らの知覚に接地させながら言語を学習する。←これは個人、個体の動態
集団の中で言語がどう形成され、どのように意味や使用が変わって行くかという動態。つまり、社会システムにおける動態。そのアプローチとして、マルチエージェント強化学習MARL、繰り返し学習モデルILM、創発コミュニケーション、記号創発システムの確率的生成モデルの4つがある。
確率的生成モデルに基づく個体のエージェントの内的表象形成のモデルを集団の記号創発、つまり外的表象形成へと拡張しうる。
メトロポリス・ヘイスティング名付けゲームが実例
集合的予測符号化仮説
(エージェント)2者間において分散的にベイズ推論すること、つまり、集合的に予測符号化することで記号創発を表現できる。
言語/記号とは私達の感覚運動系を通した世界の経験を集合的予測符号化するために形成されているのではないか?
カーネマンのシステム1、2は二重過程理論と呼ばれ、ディープラーニングにも当てはめられる。初期の成果は画像・音声認識など低次の早い認知機能にとどまっていたが、LLMは高次の認知機能のAI化、世界モデルに進んでいる。これは記号創発モデルである。
システム0は身体そのもののダイナミクスで、良くデザインされた身体・ロボットは脳がなくても歩行など適応的な振る舞いをする。
システム3は個人をこえて集合体として働く記号創発システムにおける集合的知性として作動する。
わたしたち人間は世界モデルを構成し内的表象を生み出すことにより個人として環境に適応するにととまらず、外的表象を生み出し、つまり記号を生み出し、集団として環境に適応している。これを仮にシステム3という。
以上が引用(谷口忠大執筆部分)
カーネマンのシステム1の下にオートマシンとしての身体性、仕組み性、機構的知を設定し、システム2の上に個人を超えて集団として記号創発システムがドライブし、予測符号化仮説によって集団として外的表象を生み出すという仮説に発展性がある。
製品評価でいうとシステム0は甘味指数など機械的測定ができる項目
システム1は対象者が感じる感覚器的反応・評価の観察測定
システム2はロイヤリティなど予測符号化に基づくイメージ表現
システム3はブーム、トレンドと呼ばれるよな集団の外的表象
という分け方で分析できるかもしれない。