定性分析はパロール思考

我々人類は複雑で体系だった言語を使用している。
言語の使い方に発話(パロール)と書記(エクリチュール)の違いがある。
パロール(発話)思考とエクリチュール・ラング(書記)思考に違いがあり、前者は自由で野性的であり、後者は論理的、倫理的で秩序だっている。
インタビュー分析はパロール思考、言語解析(KH-Coder)はラング思考である。
<おしゃべりな脳:内言仮説>
人は考えているとき、何かしているとき、頭の中で盛んにおしゃべりしているらしい。これを内言ともいう。
インタビュー対象者も質問されたこととは関係なくひとりおしゃべりをしている。インタビューの冒頭で「2時間で終わります」と言われれれば「すぐ帰れば飲み会に間に合うな」とか心の中でしゃべっているはずである。
この内言を直接観察できればおもしろいが、現在のところその方法はない。
<内言が外に現れるとき>
内言が本心や深層心理を表しているとは言えないが、発話、つまり、ひとりごととしてしゃべってもらう方が、文字、文章で書いてもらうよりストレスが少ないことはまちがいないであろう。
インタビューを対象者の内言相手が現実のモデレーターとして現れた状況と思ってもらえれば、簡単に盛り上がるだろう。
それに対して文字、文章の形式を要求する書記、つまり、TwitterやLINEへの書き込みするときは、リテラシーが要求される。最低限の文法、編集や推敲などが要求される。
何時間もおしゃべりする場面はあるが、何時間もLINEに没頭することは少ないのではないか。(Twitterはあるかも)
<定性分析はパロール思考を貫徹する>
インタビュー調査の分析は途中で発言録を使うとはいえ、実施から分析まで発話(パロール)主流の方法論である。
ハイパーなおしゃべりからたくさんのコンテキストを引き出し、興奮状態のコンテキストをデブリーフィングで整頓し、発言録を参考に意味ある文章に仕上げる。
おしゃべり・パロールはその瞬間から消えてしまうから発言録を残すが、発言録にはおしゃべりの興奮、ハイパーコンテキストはなくなっている。
一方、書記(エクリチュール)は書き言葉のリテラシーを要求されるが、消さない限り保存できるので大量のデータを蓄積できる。
大量データを単語に分解し、頻度や前後関係を集計し、各種多変量解析手法で分析する。
言語解析で興奮することはほぼない。

定性分析と言語解析

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