インタビューの分類

ダーウィン進化論がスタンダードになってもリンネの分類学の価値は失われていない。
分類には知識の整理効果がある。ここでマーケティングインタビューの分類を試みる。
対象者の人数は1人、2人、3人以上の3つに分類でき、1on1インタビュー、ペアインタビュー、グループインタビューと名付けられている。
1人と3人以上のインタビュー対象者は基本は他人同士、独立した個人であり関係性はない。リサーチという方法論はサンプル同士は独立であるという原則があるので当然である。
2人のインタビューはこの原則から外れることを特徴としている。
夫婦・恋人などの強い関係性とマーケティング行動との相関が分析できる。
アウラが開発したリエゾンインタビューは関係性のない他人同士を即席のペアとして考えている。

図1 対象者人数による分類

インタビューの現場・環境をキーに分類する。
通常はインタビュールームや会議室などの実験室環境でインタビューする。
実験室環境の利点は全体のコントロールがしやすい、対象者から客観的な反応が得られることである。
欠点は現場から離れるため対象者の反応が「合理化された」ものになり、実態から離れるリスクが大きくなることである。
実験科学的客観性を犠牲にしても現場の情動反応を記述したいという知的欲求が文化人類学のフィールド調査を生んできた。
フィールド調査は、現場の空気、雰囲気を共通に体験できる、行動観察ができる、行動の現場でインタビューできるの3点の利点を持つ。
欠点は、費用と時間がかかりすぎる、対象フィールドの設定が難しい、インタビューが共感的になりすぎるの3点である。
フィールド調査の最たるものが参与観察であるが、マーケティングインタビューでは採用されない。
定量調査は統計学が背景思想・学問といえる。定性調査は一応、心理学を背景にしているといえる。
心理学そのものが統計学に比べて記述的であり、体系化が弱い。
そのせいもあって「階段の機知」のような生活の知恵的な知見でも方法の裏づけになる。
カスタマージャーニー作成にはコグニティブインタビューを実施すべきで、それは犯罪捜査・目撃証言の方法論を援用している。

図2 方法論と背景思想

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