インタビュープロンプト
はじめに
ChatGPTに「私はAIですから」と逃げられたり、ハルシネーションと言われるデタラメ回答をつかまないために、プロンプトを工夫する必要がある。
FGIでもインタビューフロー作成だけでなく、生身の人間相手のプロンプトエンジニアリングの体系化が必要であろう。
インタビューフローは台本か?
始めてインタビューフロー(インタビューガイドともいう)を書くときは、インタビューのシナリオを作れと指示されることが多い。
ラポール形成、簡単に答えられる質問から始め、テーマに切り込む質問を考え、最後に総括的質問の「流れ」を作り、おおよその経過時間をチェックしてフローは完成する。
質問はプロットとして書く場合とプロットにセリフ(読み上げれば質問になる)とト書き(進行状況)を入れて完全な台本(シナリオ)にする場合がある。(いくつかの文化圏をまたがって実施されるインタビュー調査では台本タイプが多いようである)
ただ、台本(シナリオ)には起承転結の結(調査結果)まで書かれるので、インタビューフローは台本ではないといえる。
インタビューフローはキックオフミーティング
インタビューフローは、当のプロジェクト参加者の意思統一のためにモデレーターがクライアントに向けて作成する。
プロジェクト参加者とはクライアント、モデレーター、記録作成者、実査スタッフの4者で、インタビュー開始までにクライアントの調査目的を理解し、期待するアウトプットの確認を行、4者の意思統一を計ることがフロー作成の目的である。
当然、何度かクライアントとやりとりしてブラッシュアップして完成版をめざす。
インタビュー開始前に(できれば)記録者などのスタッフを含めた4者で行う直前ブリーフィングはキックオフミーティングと考えればよい。
インタビューが始まればフローは捨ててしまってよい。モデレーターはフローなしでもモデレーションできなくてはいけない。
インタビュープロンプトの提案
LLM(大規模言語モデル)に問いかける質問文をプロンプトといい、LLMが回答しやすいよう工夫する。
「◯◯の専門家として」や「ユーザーの立場で」などLLMの役割を指定したり、「歴史的変遷を」や「重要なもの5項目」などの指示を与える。LLMはこのプロンプトに従って回答を生成する。追加質問でもこれらの工夫を意識してプロンプトを作る。
対象者はLLMとは違うが、回答の仕方に特定のクセがある。これを回避しながら会話を発展させる方策をインタビュープロンプトと呼ぶ。従って、フローはクライアントに向けて書くが、インタビュープロンプトは対象者をターゲットにして書く会話テクニック集になる。
インタビューでは、必ず反対表現も入れて聞く(好きですか?ではなく、好きですか・嫌いですか?)は基本スキルである。
また、対象者は「自分ゴトではなく他人事として」として反応する。「その場面の空気に沿った」反応をする。とりあえず「無難な回答」をする。「認知的不協和を解消する方向の『作話』をする」などの回答のクセがある。
これらのクセを発掘して、対応ノウハウを体系化したものが「インタビュープロンプト」である。現場で使いやすいプロンプト集を作りたい。
*インタビューフローは『マーケティングインタビュー100の法則』
№33〜35に詳しい。
*ChatGPT(3.5)に「FGIを実施します。 対象は4人でモデレーター1人
で、テーマは「睡眠と健康について」です。
とプロンプトを投げ、さらに「インタビューガイドを作って」と
したら、まあまあなフローがかえってきた。あなどれない。