見出し画像

トランプ前大統領だった背景

 トランプ前大統領を考察する時、2人の重要な人物がいる。その2人とにニクソン政権時との関係を含めて、落選した今考察し記事にしました。

 4年前を振り返るとまさかの当選。当時は選挙前からトランプ氏が当選すると大変なことが起こる、と噂された。それはそうで、日米安保を見直すなど・・・当選から4年経過しバイデン大統領が当選した。

2016年大統領選前

 凄い勢いで支持率を伸ばしていたトランプ氏。主要メディアはライス氏がリードと報じる。しかし、大統領選挙の直前におけるReal Clear Politicsの集計結果は、僅差でヒラリー・クリントンでした。。しかし驚くべきは、支持率の伸びとされた。ちなみにReal Clear Politicsの調査結果は、各報道期間など右派・左派を無関係に全ての調査結果を集計した上でのものです。その調査で、トランプ氏に対する支持率の伸びが凄まじかったのです。

トランプ氏はなぜ支持率を伸ばしてきた

 選挙のため各地で演説、討論会を経て「有権者へのアピール」、これが上手であったと評価がある。当時アメリカは、毎日のように発砲事件、テロ事件があり、それも警察官を狙い撃ちにする、元海兵隊員のテロなど、まるで映画に出てきそうな手強い悪者による、突拍子もない事件しかありませんでした。そのような状況で、トランプ氏は何を言ったのか覚えていますか?

 「Law & Order」(法律と秩序)

と有権者に訴えかけていた。2020大統領選でも同じ事を訴えたトランプ大統領は、有権者に語りかけることがとても上手だった。しかも、的確な表現をもって。「アメリカンファースト」もそう。

故ロジャー・エイルズ

 トランプ氏は有権者を掴むことが生来上手ではなかったそう。FOXニュースの元会長である故ロジャー・エイルズからさまざまな指導を受けている。

 ロジャーは、保守で知られるFOXニュースを1から作りあげた人物であり、過去はニクソン、レーガン、父ブッシュなど、歴代の共和党大統領のメディア・コンサルタントを務めてきた所謂「イメージ・メーカー」。また、言い換えれば、トランプ氏はニクソン、レーガン、ブッシュを学びました。

故ロジャー・エイルズ最近の歩み

画像1

 ロジャーは昔からトランプ氏へのアドバイスとして、

 「大衆は女性と同じ。誰かにリードしてもらいたいという願望がある

 アメリカでは、その表現が良く使われるそうです。有権者が叶えることができなかった願望や不満……それを抑えることが重要と、アドバイスを受けている。2016大統領選で支持率を上げてきた時も、有権者に願望や不満を掴み取り、有権者と連携を図ることができたものと推測される。
 2016年の選挙中にこんなことをスピーチした。

 「サイレント・マジョリティ(声なき多数派)の言っていることを……

サイレント・マジョリティ」という言葉は、リチャード・ニクソン元大統領が編み出した表現です。トランプ流の世界観は、白人の低学歴かつ低所得者層は「サイレント・マジョリティ」の立ち位置。その彼らの声は政治に反映されない。支持率をの伸ばすため、トランプ氏ののピーチにはリチャード・ニクソンのスピーチを再生することを意識し行ったと思える。

ニクソンが当選した時の米国

 リチャード・ニクソンの国務長官を務めたのはヘンリー・キッシンジャーです。そのキッシンジャーは当時の雰囲気について、

「内戦が起きているように世論が紛糾し、そして大衆はエスタブリッシュメントに対し懐疑的」

と話している。2016年の米国は同じ状況。ニクソン前のアメリカ外交は、いわゆるウイルソニアン(Wilsonian)、ウッドロー・ウイルソンの理想主義外交。オバマ大統領はウイルソニアン的であり「アラブの春」を誘発させ、エジプト、リビア、シリア、バーレーンなど次々に混乱が生起。特にシリアは混沌とした。一方、ニクソンはパワー・バランスを重視。アイゼンハワー大統領時代に、副大統領として世界各国を歴訪した経歴から、歴代のアメリカの大統領の中で国際経験豊かな大統領と言える。

「世界の政治家は高邁な理想や主義で動いているのではない。かれらは国益(national interest)、もっと言えば、実利で動いている」

とニクソンは感じた伝えられる。
 つまりウイン=ウインのメリットがあれば、どんな相手ともディールする。ニクソンは「民主主義で世界は平和」というような考え方はしない。むしろ世界は常に、パワー・バランスの上に成り立ち、常に流動的。だからバランスを崩さないように、均衡点を探るべき」と考える。
 この背景から、中国との国交回復「ピンポン外交」などが登場する。

トランプはニクソンに学んだ

 トランプ氏は、ニクソンを研究していたようである。
 ニクソンが選挙戦を戦った時は「素人のアウトサイダー」という烙印を受けている。その影にロイ・コーンという弁護士がいる。ロイ・コーンは、黒幕中の黒幕であり、その経歴は簡単に整理する。

 ・ソ連のスパイとされたローゼンバーグ夫妻を死刑に追いやる
 ・「赤狩り」次々に共産主義者を投獄
 ・違法な糾弾手法
 ・マフィアのボス「ジョン・ゴッティ」の弁護士

 マフィアのボスの弁護士時代にロイ・コーンはリチャード・ニクソンと知り合い、ニクソンの非公式な顧問となる。その後、歴代の大統領とは電話一本でつながる仲に。
 トランプ氏は経営者であることは知られている。ニューヨーク州クイーンズ地区の低所得者住宅開発をしていた頃、黒人を居させず差別したというかどで訴えらた。その時の弁護士がロイ・コーンである。トランプ氏とコーンの関係のはじまり。トランプは日頃から「俺は訴訟されたら、徹底的に戦う。手加減しない!」と公言するなど、アグレッシブな手法は、ロイ・コーンが仕込んだとされる。ロイ・コーンは1980年代にAIDSで亡くなった。