アレンジの話①

良いアレンジとは何か(自分で作曲してない場合の話です)。
編曲されるかたなら、一度は考えたことがあると思います。

前回の記事でメロディの重要性を書いたので
それを踏まえて私なりの定義をさっくり書きますと、
良いアレンジ=メロディを大切にしていることです。

もちろん大胆にメロディ変えるやり方もあるでしょう。
でもアレンジって、そもそもメロディありきなんですよね。
先に作曲があって初めて編曲が成立します。
なのにその作曲部分を思い切り変えたら、
編曲のなかで作曲することになっちゃいます。

個人的にですけど、これはリスペクトが足りません。
というか、作曲家さんによっては「自分の仕事を蔑ろにされた」と
怒ってしまうケースもあるんじゃないでしょうか。

もっと言えば、アレンジを聴きに来る人たちって
原曲の、作曲家の、メロディのファンです。
だからメロディをいじったアレンジを出しても、
それがどんなに出来の良い音源であるにせよ
心に届く人の割合が相対的に少なるのは想像に難くありません。

個性を出すなら、メロディ以外でやるべきですね。
つまりハーモニー(和音/コード)やリズム、対旋律。
これらを原曲と違う方向性でまとめ上げることで、
「あ、このメロディってこういう一面もあったんだ!」と
聴く人が新鮮な発見を楽しめるよう配慮するのが編曲です。

例えるなら、自分の恋人がオシャレを楽しんでいるとします。
ただでさえ好きな人なのに、毎日違った姿を見せてくれるわけですから
さらに“好き”が加速していくと思います。それとおなじことで、
メロディに内包された様々なビジュアル――推しの輝かしい表情を
いかに多く引き出せるか。これが編曲家の腕の見せどころです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?