【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~②
2.アキヒロ:四月半ばのブルー
大きな、もっと大きな夢が見たい。
目の前の不安が見えなくなるほどの、大きな夢が。
「……オッサン。今日の電子工学Ⅱの講義ノートあとで写メらせて」
「ノートは別にいいけどオッサンやめれ。アキヒロおに―さんと呼べ。ってかお前、電子工学Ⅱとか取ってんの? 初回も二回目もいなくね?」
機材保管用に借りている、教育学部の旧音楽棟にある狭いピアノ室で機材の手入れをしていると(ずいぶん古いから綿密に調整しないと、なかなかいうことを聞いてくれない)、