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ガレット・デ・ロワの思い出

ドイツではクリスマスの時期にシュトレンというお菓子が食べられると聞いたのは高校生の頃だったような気がする。私の通っていた学校では選択科目で第二外国語として中国語、フランス語、ドイツ語の中から好きな言語を選ぶ事が出来た。小学生の頃からオトフリート・プロイスラーとミヒャエル・エンデにはまっていた私は迷わずドイツ語を選び、陽気なALTから学んだドイツ文化の一つだった筈だ。成人した頃近所のパティスリーでシュトレンが売られるようになり、一緒にガレット・デ・ロワの予約が始まった。

ガレット・デ・ロワをご存知ない方のために説明すると、「王様のケーキ」を意味する新年の食べ物だ。中にはフェーヴという陶器の人形が入っており、それを引き当てた人がその一年の王様若しくは王女様になれる。その店はケーキも焼き菓子も何もかも美味しかったので、折角だからと予約した。受け取る何日か前だっただろうか、パティスリーからメールがあった。なんと作ったガレット・デ・ロワに入れるスパイスの産地を間違えたためお詫びにもう一つつけるというのだ。仰天した。確かに二代目になってから爆発的な人気が出て駐車場の提携も増えたが、だからといってケーキ一個の値段でもう一つケーキをつけていいものか。しかも我々は恐らく違いを認識出来ない。

それでも我々は結局もらいに行った。何せそこのケーキはどれもこれも美味しいからだ。案の定違いは全く分からなかったし、フェーヴは二度とも父に当たった。

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