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FF16感想 ネタバレなし編


FF16はPS5の性能を使い切った名作

まず、FF16はごく一部の人がこき下ろしているような駄作ではないです。
これは最初に言っておきたい。アクションゲームとしてもRPGとして十分面白い、かつPS5の性能を限界まで使って、ド迫力で重厚なゲーム体験をさせてくれる名作だと思ってます。
というか、最初から最後までプレイしたら高評価しないまでも、流石に駄作って評価にはならない気がするんだけど。こき下ろしている人はエアプ疑惑ある。

ただ、好みが分かれるかもと思うところがあって。
全体的に暗いことです。
とにかく暗い。
画面も暗いけど、ストーリーが。

画面については、明るい場所やフィールドも沢山あるし、SFではないので夜にネオンがギラギラ光ったりしないせい。あと、せっかくだから次世代機の出力する色合いを美しく表現できるHDR対応の4Kモニターを買おうね。

それより暗くて重いのはストーリー。
FF16は大人向けのFF、という感じ。イメージとしてはニーアシリーズのような感じの展開が普通にある。だから、今までのFFのイメージと違う!って意見も、まぁ、あるのかなと。
吉田プロデューサーは「現実はゲームのように上手くいかないと知ってしまった大人が楽しめる物語を目指しました」と言っていましたが。

うん、やっぱりどう頑張っても爽やかな冒険モノじゃないよね。
でも、個人的にはかなり好き。
続きが気になって途中でダルくなることもなく、最後まで駆け抜けていくような怒涛の展開。次世代機のパワーを活かした美麗な世界とド派手な召喚獣バトル。とにかく面白かった。

なので、この記事ではFF16のストーリーについて、あえて好みが分かれそうな、だけどそこが良さ(私は好き)でもあるポイントの感想を書きます。

FF16のストーリーのここがいい。ただし好みは分かれそうなポイント

ダークファンタジー過ぎる世界観

ヴァリスゼアはいわゆる「剣と魔法のファンタジー世界」だ。マザークリスタルの加護を受け、魔法が当たり前の世界。煙草に火を付けるときも魔法、飲み水も魔法で出す。魚を冷やすのは氷魔法で、庭木の剪定まで風魔法だ。
いくらファンタジー世界でも、火は火打ち石で起こせばいいし、水は井戸で汲めばいいわけで。ここまで魔法に依存している世界観も珍しい。
ただ、考えてみたら現実世界も似たようなもの。お湯を沸かす時にわざわざ火を起こす人はいないし、井戸まで汲みに行かなくても水道の蛇口をひねればいい。しかも冷蔵庫にはいつも冷えた麦茶が入っているわけで。
それがヴァリスゼアでは魔法というだけ。依存しているのは同じ。
FFに限らず、RPGに欠かせない魔法というファンタジー要素が世界観に上手く組み込まれている。

しかも、この魔法によるヴァリスゼアの社会の歪みがすごい。
本来、人はクリスタルを使わなければ魔法を発動できない。しかし、クリスタルは国家が管理するマザークリスタルから採掘されるため、貴重だ。
このクリスタルを使わずに魔法を使えるのが、ベアラーという存在。
魔法が使える分、普通の人より優れているんだから支配する側に回りそうなものだけど、マイノリティのためかヴァリスゼアでは蔑まれ、奴隷として物のように扱われている。このあたりはゲームを初めてすぐ明かされる設定だ。

これも序盤で解るが、ベアラーだって代償を払わずに魔法が使えるわけではなく、使う度に身体が少しずつ石化し最後は砂になって死んでしまう。
けれど、ベアラーを使う人間はそれを気にかけることはない。電池が切れたときのように代わりのベアラーを連れてくるだけ。人として扱われないどころか家畜以下。本当に道具なのだ。
ヴァリスゼアではそれが当たり前であり、疑問を抱く者はほとんどいない。当のベアラーすら自分たちの身分を受け入れていて反抗も逃亡もしない。
ストーリー中、何度も目にするこれらの描写はリアルで容赦がないのでかなりキツい。
たぶん、辛くてゲームをやめる人もいるくらいなんじゃないだろうか……。

ただ、だからこそゲームの中盤から頻繁に出てくる「人が人として生きられる場所」という言葉が重みを持ってくるし、クライヴの目指す世界に共感もできる。

物語の途中で、主人公であるクライヴ達は虐げられているベアラーを保護していくのだけど、とある村で自由を得たベアラー達が魔物の襲撃に立ち向かうシーンがある。
目前にまで魔物が迫り、武器を取れと言ってもベアラー達は諦めてしまい、動かない。ベアラーは生まれてからずっと奴隷として生きてきて、自分の意思で言葉を発することも行動することも出来なかったのだから無理もない。
自分の身を守ることすらできない。
そんな彼らにとあるキャラがかける言葉がよかった。
「いつまでベアラーでいるつもりなんだ? お前たちはもう自由なんだ、誰も守ってくれない、自分で守るんだよ」という言葉。
被害者だとしても、ずっとそのままでは変わらない。人と奴隷を分けるのは、身分や外見の違いではなく、自我を持ち、自ら行動するかどうか。
自由とは自分の意思で行動すること。
どんなに苦しい現実でも前に進むこと。
このシーンだけでなくて考えさせられるシーンが多い。テーマが少し難しいこともあって人を選ぶかなと。

主人公クライヴの背負う運命が重い

FF16の世界観を構成する最大の要素であり、物語の核心でもあるのが召喚獣とその力を与えられた人、ドミナントだ。
主人公であるクライヴ・ロズフィールドはロザリア公国という小国の第一王子として生まれる。
ロザリア公国は召喚獣の力に覚醒した者(=ドミナント)が国を治めてきた。しかし、第一王子のクライヴはドミナントとして覚醒せず、病弱な弟ジョシュアが覚醒してしまう。
周りからの風当たりは強く、母親に至ってはクライヴを要らない子扱い。クライヴはそれでも拗らせたりせず、ジョシュアのナイトとして弟を守ることを誓う。

ジョシュアもクライヴのこと好き過ぎだろ、ってくらい兄弟愛が尊いです。。。

でもそこはFFなので、幸せな日々は続かない。
火はフェニックス、風はガルーダ、地はタイタン、というように属性につき一体と決まっているわけだが、どういうわけかクライヴは二人目の火のドミナント、イフリートとして覚醒。ロザリアに惨劇を引き起こしてしまう。

13年後、ベアラー扱いされ奴隷として敵国の兵士にされてしまったクライヴはシドという男と出会う。
彼はこの世界では珍しいベアラーを保護し、人として扱おうとする変人。クライヴはシドとの関わりの中、マザークリスタルがあることで、人は魔法に依存し、ドミナントと国家による奪い合いが戦争を呼び、人の生きていけない『黒の一帯』が世界を侵食していることを知る。

こんな絶望しかない世界。
クライヴの復讐劇はあるポイントを境に『人が人として生きられる世界』を作る、クリスタルの加護を断ち切るための物語へと繋がっていく。

──以上が、FF16の導入。
ただ、クライヴが背負う運命はあまりに過酷で、毎回、「ここまで落とす必要ある??』ってなってしまう。そこから立ち上がる姿も格好いいんだけどね……。

敵対するキャラの闇がリアルすぎる

ネタバレなしだとあんまり言えないけど、たぶんFF史上最悪の悪女がいる。やってることは最悪だし、思想も全く理解できないけど、縋るものがない中、絶望しかない世界で彼女なりに必死に生きた結果とは思う……。
でも、あまりに他人を踏みにじりすぎた。
この人に限らず、FF16の悪役は徹底的な利己主義。他人を慮る余裕なんて無い厳しい現実ではそうでなくては生きていけない。それも事実として見せつけた上で、もう一つの答えとして他人の存在が自己を強くするというのがFF16のテーマだった気がする。

脚本で前廣さんが関わっていたFF14の「蒼天のイシュガルド」のストーリーを思い出すつくりだったかもしれない。人間の悪意はいつも残酷で、世界は絶望ばかりだけど。それでも他者との関わりがほんの少しの希望を生む。そんな物語でした。

キャラの年齢層が高め

クライヴを含め、パーティーメンバーは全員大人なのでかなり年齢層が高め。なので、RPGにありがちな10代の少年少女だからこその悩みとか、アオハル的パーティー内のいざこざとかは一切起こらない。
大人として落ち着いた常識人しかいないので、キャラ同士の関係性も淡白に見えるかもしれない。
ただ、もういい歳になってしまった私としては、主人公が青い感じの言動をしたら、共感するのはかなりキツかったと思う。。。
FF16は10代向けではなく大人になってしまったプレイヤー向けのFFだ、というのは頭に置いておいた方がいいかも。

エンディングに解釈の余地がある

人が人として生きられる場所を作る戦いの結末は割と明確に描かれているのだけど。一部、解釈をプレイヤーに任せる感じになっている。
とはいえ、最後まで急に物語が飛んだりとか、超展開に着いていけなくなることはない。

エンディングも続編を作る余地も全くないほど綺麗に終わっているので、消化不良にはならないはず。
ただ、一部の登場人物のエンディング後はプレイヤーに解釈をお任せします、という感じ。これはむしろ考察が捗るというか、実際解説動画をあげてる人もいるので盛り上がる要素ではあるのかも。
バッドエンドと取るかグッドエンドと取るかで好み分かれそうなポイント。
どちらにしても、この物語は『ファイナルファンタジー』だったんだなと思える綺麗な結末でした。

私はエンディング後、少し放心状態になった。
こういうのってJRPGの醍醐味だから個人的には大好き。PS2くらいまでの昔のRPGってそういう作品が多かった気がする。

BGMが最高すぎる

作曲者はFF14で最高のBGMを作り続けている祖堅正慶さん。
FF16のBGMも本当に最高。FFのプレリュードやメインテーマのアレンジはもちろん、今作のために書き下ろしたBGMも名曲揃い。
BGMと演出の効果で召喚獣バトルは毎回「派手すぎる!これラスボス戦か!?」となるので、大変楽しい。
個人的にはFind the flameとAwayがやっぱり好き……。

テーマソングである、米津玄師さんの「月を見ていた」が流れるシーンは泣きすぎたので、やっぱり名曲です。
歌詞の辛さを感じるためにみんなジルのサブクエをやってからエンディングを見てくれ……。このゲーム、サブクエといいながら実質メインストーリーなサブクエが多すぎる。

まとめ

FF16は重厚なストーリーと爽快感があるド派手な召喚獣バトルがウリの大作RPGです!!
PS5を持ってるのにプレイしないのはもったいない!!

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