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鬱の生活
私は躁鬱病である。
本当は双極性障害というのだが,字面が分かりやすいので私は躁鬱と自己紹介することが多い。躁鬱病というのは,躁と鬱を繰り返す精神の病のことだ。
鬱は誰でも何となくイメージできるだろうが,躁はなんだ?と思う人も多いかもしれない。躁は,私なりに簡単に説明するならば,「異様に心身の活動性が向上しているのに判断力が低下している状態」である。
私の場合,家族に言わずに突然日の出前から遠出したり,バイトや就活のスケジュールを滅茶苦茶に詰め込んで破綻したり,気分が高揚して本や洋服を買い漁ったり,ということがあった。
後で冷静になってみれば,「何やってたんだ自分」としか思えないのに,躁状態の人間は著しく理性が弱くなっていて自分の異様さを自覚できないのだ。そういう病気らしい。
躁鬱の診断が下ったのはつい最近のことである。鬱病との見分けは難しいものらしい。だが,思い返せば数年前から躁鬱の気配はあった。数ヶ月単位で気分の高揚と落ち込みを繰り返す波があるように思う。
ここ最近は,躁鬱の「鬱」の波が来ている。薬の処方を変えてもらい,どうにかこうにかやってはいるが,それでもまあ中々辛い部分はある。私の鬱生活をご紹介しよう。
まずは朝,起きない。すごく調子が良ければ目覚ましで起きられる。大抵は家族に起こされるまで寝床から動けない。準備してもらった朝食を食べ,2日に一度はそのままもう一度寝てしまう。昼食まで起きない。
日中,母に伴われて買い出しについて行く日もある。余裕があれば,ちょこザップ(すっごく軽いジム)にも行く。週に3度ほどが理想だが,今月は調子が悪く,先週から行けていない気がする。生産的な活動は何もできない。気が向けばテレビをみる。何となく暇ならTwitter(頑なにTwitterと呼んでいる)をみる。ものすごく調子が良ければ本を読む。お茶を沸かす。このくらいのことしかできない。鬱とは,何をする気力も知力も体力もなくなる病気なのである。
週に一度だけ,人と会う日を設けている。それでも会うのは昼時〜15時ごろに限っている。15時ごろには,調子のいい日も悪い日も,大抵1日分のエネルギーが尽きて頭が回らなくなるからである。3日に一度は,頭が回らないばかりか完全に抑鬱状態になってしまう。こうなると寝て起きるまで回復しない。
我が家の夕食は早く,18時ごろである。この頃にはもう体力切れでろくにものも喋らない。何とか食べ終えて,風呂に入……れない日もある。鬱とは風呂に入れないものである。風呂に入れても入れなくても,20時ごろにはもう布団に入ってしまう。そして明日の朝まで10時間以上眠る。
こんな生活をここ3ヶ月ほど続けている。就労も就学もしていない。ニートである。だが,今の私にはこれが精一杯である。
少し前,ツイート(頑なにツイートという)したことがある。
『暮らしを取り戻すぞ
旨いものを食べたいと真っすぐに思えて
綺麗なものを見たいと街にいけて
会いたい人に会いにいけて
読みたい本を夢中になって読めて
毎晩翌朝を楽しみにしながらよく眠るんだ』
こういう暮らしをすることが,当面の私の目標である。無力感と退屈と無気力に押しつぶされそうな毎日だが,一日一日死なないようにやっていく腹づもりである。
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