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Z世代は腹が立つ以外の意味を知っているのか? 「ムカつく」

おーどりー――あー、ムカついたっ!すっごくムカついた!!
ハチ――どうした、どうした?
おーどりー――電車で座ってたら、前におばあさんが二人立ってたの。だから思わず立ち上がって席を譲ったんだけどね。おばあさん二人に対して、席はひとつでしょ?
ハチ――ふむふむ。
おーどりー――そうしたら、立ち上がろうとしてるあたしに聞こえるくらい大きな「チッ!」という舌打ちとともに、隣に座ってたお姉さんが立ち上がって去っていった。今まで聞いたなかで一番大きな「チッ!」だった。ほんと、ムカつくわー。
ハチ――ムカつくって、「腹が立つ」の意味で使うことが多いけど、私たちが子どものころは「胸がむかむかする」とか「吐き気がする」みたいな意味で使ってたよね。今の若者はたぶん吐き気がするときには、「ムカつく」は使わないよね。
おーどりー――たぶんね。そういえば、昭和のドラマの再放送を見てたとき、登場人物が「気分が悪い」の意味で「今日は朝から胸がムカついてムカついて…」みたいなこと言ってて、「は?誰にムカついてんの」と思ってしまったんだよね。
ハチ――そう、私たちのなかでも「ムカつく」は、すでに「吐き気がする」の意味じゃなくなってしまった。若者ことばおそるべし。。
おーどりー――それが、若者ことばというわけじゃないんだって。
ハチ――え、そうなの?
おーどりー――江戸時代の上方(関西)では、「腹が立つ」の意味で使われていたらしいの。昭和14年発行の辞書にも、「癪にさわって腹が立つ」の意味があるらしい。だから、決して若者ことばじゃないのだけれど、だれもが「ムカつく」を「腹が立つ」意味として使うようになったのは、平成になってからかな?
ハチ――うぁー、ほんと!?ひとつお利口になりました。
 
本日の言葉
ムカつく
意味:①胃の中の物を吐きそうな感じがする。
   ②今にも声(言葉)に出して怒りたくなる
(新明解国語辞典第7版)
 
ちなみに、我々も「胸がむかむかする」とき、もうムカつくは使いません。

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