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京都 三室戸寺 ~紫陽花と大山蓮華~

紫陽花(アジサイ)の寺で有名な三室戸寺は、6月になると多くの観光客を迎えます。宇治市に佇むこのお寺は京都を代表する寺院で、西国十番の観音霊場でもあります。

京阪電車中書島駅で宇治線に乗り換え程なく乗ると、終点宇治駅ひとつ前の三室戸駅に着きます。本堂に至るまでの参道沿いには、色とりどりの紫陽花が咲き誇り、訪れた参拝客は、山門近くの紫陽花で埋め尽くされた斜面を、川下りの小舟のように行き交います。

参道の突き当り、石段を登り終えた先には本堂、その右側には三重塔が佇んでおり、こちらも素晴らしい建物ですが、三重塔を観終えて本堂に戻る際、道の小脇に大山蓮華(オオヤマレンゲ)がこれから花を咲かせようと純白に僅かなピンクの華やかさを添えたつぼみを付けていました。

大山蓮華は、蓮華と名付けられていますがモクレン科の仲間の樹で、この時期レンゲのような花をつけることからその名がついています。つぼみの姿が美しく、いけばなにも使われる季節の花となります。

大山蓮華に興味をもったのは、花人 川瀬敏郎先生がNHKのTV番組で、白洲次郎・白州正子ご夫妻の旧邸宅 武相荘にて、庭につぼみをつけた大山蓮華を活けた映像を観たのがきっかけでした。つぼみの大山蓮華は山野に花を咲かせる樹木の野生の力強さと同時に繊細さを兼ね備え、静かな中にも生命力に満ち溢れた感覚を引き起こすものでした。

三室戸寺は紫陽花のお寺です。誰も大山蓮華には気づかず通り過ぎてゆきますが、これから夏を迎えようとする山裾の境内にひっそりとつぼみをつけたその姿はこの樹の持つ本来の魅力を顕しているように思えました。

6月この時期になると、大山蓮華を求めて散策したくなります。

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