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観たアニメ2020春

10月も折り返す。何度も折り返して、暮れに向かってゆきますね。今日、来年の手帳を買いました。例年9月に入るとすぐ脳内手帳会議を開いて数種類を比較検討するのに、今年はなかなか重い腰が上がらず、反面上がってしまえば検討もそこそこに即決。今年大幅にスケジュールが変わったという経験を踏まえて、あまり悩まなくなったのかな。

上がらない腰はいろんなところにある。そろそろ秋アニメの私的ラインナップも固まり、夏観たものを振り返りたい気持ちも薄まってしまったたけど、夏どころか春アニメを振り返らないと先に進めません。

3月以降暇が増え、いつもより多くの作品に手を出した。しかし途中で制作が止まったり私が脱落したりして、結局完走したのは10本ほどでした。ドラマ同様、アニメの制作現場も新型コロナの影響を受けただろうな。自分が追いかけたなかにも中断作品が3本ありました。夏以降無事再開しているので、完結したクールでまとめる予定です。

ドラマもアニメも割と辛抱強く観続けるほうだと思うけど、それでも途中で脱落する理由としては、作画の好みやテンポ、お話や動き方など場合によってさまざまです。十把一絡げに「おもしろくない」「つまらない」と言うことはできないなと思っています。
あと、冬アニメレビューを書いてわかったことでもあるのだけど「うーん、なんかちょっとあの部分がさ…」という感覚の言語化は比較的詳細にできますね。好きな理由こそあまり掘り下げずふんわりさせてしまう反面、イマイチだと感じる部分についてはすぐに挙げられるし、言葉を重ねやすい。
脱落作やイマイチポイントについては自分で咀嚼すればいいかな。ここでは完走した作品のなかから、印象的だった作品について書くことにします。

アルテ

ルネサンス最盛期だった16世期のイタリア・フィレンツェ。裕福ではない貴族の娘・アルテが父親の死を機に、結婚ではなく職業画家を志して道を切り拓くお話。シンプル!だけどそれがよかった。
男性の仕事、徒弟制、分業、という当時の画壇に女1人で飛び込み、鼻で笑われたりけなされたりしつつ奮闘する…という明快なストーリー。貧乏とはいえ貴族出身で基礎教養を身につけているおかげか、アルテにはどことなく品があって、目の前の壁を明るく乗り越える。そう、乗り越えていくんです。
放送時期の4月〜6月、目の前の報道を摂取する頻度を調節しつつも感染症への不安は持ち、止まった仕事や会えない家族のことを思い浮かべ、考えてもどうにもならない、今やれることを…と思考を着地させる繰り返しでした。
世の中全体も自分も霧を歩いているような状況で、私はアルテの前向きな姿に知らず知らず癒されていたのだと思います。
前知識ゼロで観た作品が沁みる良作だと嬉しいものです。原作も読みたい。


本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません

前知識ゼロでじわじわといえばこちらも。
2期だったため、最初のうちは前提が掴めず「どうしてファンタジーな少女が日本十進分類法を知ってるの…」とハテナを浮かべていました。ある時点で「異世界チート転生もの」だと気づいて納得。
現代を生きて死を迎えた主人公が、前世での記憶と知識を武器に転生後の異世界を渡り歩く…というパターンです。ただこの作品では転生しても派手な冒険の旅は始まらず「司書になる」という前世からの目標に向かいます。
中世ヨーロッパに似た、庶民の識字率が低い街で、衛生環境などの生活改善をはかり、ビジネスの交渉をし、理解者を得て本に近づいて行く主人公マイン。展開に小さくツッコミを入れつつも、後半は続きが楽しみになっていた。キャラクターデザインは、昔のNHKアニメを思わせます。髪がつやつや。
2期完走後にアマプラで1期から観ました。↓

目の前にいるのは今まで慣れ親しんだ友達じゃなくて、転生した別人だと知っても、事実を受け止めて彼女を支え続ける少年・ルッツの懐深さ。


ちはやふる3

春と夏の2クールでしたがここで。
あんなにヒットした映画にも、マンガやアニメにも触れたことがなかった「ちはやふる」。巻数が多い人気作こそ、先の長さを思って手を伸ばすのをためらってしまうことはありませんか。
冬アニメのある作品と同じ時間帯に、偶然録画されていたのは3期でした。なんだか大事な大会が終わった後っぽい、千早は手を怪我してる、一緒に走り込みしたりシゴかれたりしているのは同じ学校の部員?え、他校の合宿?…などと真っ白な状態で観進めました。
ただ、競技かるたの世界が興味深かった。1人1人配置の仕方や戦い方の個性があるんだな。読み手の声や息づかいにもクセがあるというマニアックさにハマりそうです。解説を入り口に、登場人物や関係性も把握できました。
アニメーションとしては、かるたがよく動く。というか飛ぶ。解説モノローグが多いためか止まった人物絵も多いのだけど、全体のテンポが良いので「動いてる」感がありました。
2クール楽しんだ結果、太一を見ると心の中で「まつげ君」と呼んでしまいます。原田先生のせいだ。最近ようやく原作に手を出しました。


BNA

「グレンラガン」「プロメア」などで知られる制作会社・TRIGGERのオリジナル。突然たぬき耳としっぽが生えて「獣化」してしまった人間の少女が、居場所を求めて「獣人」たちが暮らす街へ飛び込んで行く話。序盤は謎だらけだったのだけど、5話で突然引き込まれた。

いろんな謎や主題が見えてくる「わ!そういうことか!」の瞬間のために、挫けず観続けている。人間が獣人に対して抱く無意識の差別感情、受容に見せかけた分断、偶像崇拝と信仰と幸せと救い。現実にも通じる問題提起が散りばめられていた。現実の延長とギャグの振り幅、ポップな絵柄や色味のバランスが心地いい。
あとよく動きます。TRIGGER作品は「実写じゃこうはならないよね」という、誇張されたアニメーションが全開になっているところが好きです。アニメアニメしたアニメーション。線!画!色!を感じられて良い。
ボーカルが耳に残るエンディングも好きだった。エンディングアニメーションは海外のクリエイターが作ったらしく、本編とは絵柄のテイストが違っていて、独立したMVとしてと楽しめました。


波よ聞いてくれ

好きなマンガのアニメ化には、偶然の出合いとはまた違う楽しみ方があります。突然ラジオDJとしてしゃべることになった、北海道在住スープカレー屋店員・ミナレとラジオ局の人たちの話。お仕事ものとは少し違って、濃い人たちのやりとりを味わうもの。特にミナレから目が離せない。
アニメ版のキャラクターデザイン、瞳の白目部分に灰色の影を入れるという描き方をあまり観たことがなくて、結局最後まで「あれは何だろう…」と思ってしまった。黒目の影だったんだろうか。黒目の影とは。
単純な原作の映像化ではなく、原作のエッセンスを12話に落とし込みまとめ上げています。特に11話12話には膝を打ちました。
沙村広明先生の原作、勢いに笑ってしまう。1話無料で読めます。↓


ULTRAMAN

ウルトラマンが地球を去ってから早幾年、早田進隊員の息子・高校生の進次郎がウルトラマンとなり、地球に入り込んでいる異星人への抑止力として活動する話。私自身はウルトラマンに関する基礎教養が薄いなりに楽しんで観ました。現代のウルトラマンは光の巨人じゃなくてほぼ等身大、どちらかというと戦闘用スーツっぽい位置づけ。スペシウム光線も、腕部分のコネクターを繋げてスライドするという機械仕掛けなアクションで新鮮でした。
ぬるぬるの3DCG。生身のモデルの動きを基にしたモーションキャプチャなので、人間ってピタッと止まらないし、どこかゆらゆら動いてるんだよな、という気持ちになります。カメラのアングルなども実写に近く、線!画!というアニメアニメしたアニメーションとは対照的です。

おわりに

作品数は絞ったものの、文量が増えてしまった。完走したうち、書きたい作品について言葉にするぞ、ということを目標に夏へ向かいます。

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