【キャリコン試験対策】1級技能検定でまとめて対策!<第9回問7「ゲシュタルト療法」に関する記述>
問7は「カウンセリングに関する記述」というくくり。5つの選択肢がバラバラの療法に関する記述でした。
出てきたのは下記5種類。
1.行動療法
2.日本で生まれた心理療法
3.ゲシュタルト療法
4.論理療法
5.認知行動療法
今回は「3.ゲシュタルト療法」について確認します。
選択肢ではゲシュタルト療法の説明と「4.論理療法」の説明があべこべになっていました。こういった出題形式はよく見られます。
以下、試験対策的な視点です。
理論や療法など、学習する内容は「代表的な」考え方や知識に留まることが多いと思います。全てを知っている、を目指すことが難しいため、設問の内容について、もしかしたら「これアリ?」と迷うことがあります。
1つ1つの正誤の判断が難しい場合は、他の設問とあべこべになっている可能性を視野に入れると、判断がつきやすくなるかもしれません。
当ブログでの過去問の取扱い方について
1級学科試験問題は、5択。適切(不適切)なものを1つ~2つ選びます。
なので、まともに取り組むと、間違った記述を相当数目にすることになり、効果的ではありません。
当ブログでは、過去問で扱われる事項をすべて「正しい記述」「これが認識できていれば正当できる内容」に変換して記載することで、正しい知識のみを印象付けることに集中します。
※====で挟まれた文章が過去問で扱われる部分
また、キャリアコンサルティングは、「実務」です。実技で活かすイメージをすることで、「実技に活かせる知識」としてストックすることを目指します。
「今、ここ」は誰の理論?
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ゲシュタルト療法は、
再体験を通した「今、ここ」での「気づき」を得る心理療法。
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はたと。
「今、ここ」って、よく聞く~~!!
って思いませんか?
ゲシュタルト療法=「今、ここ」と覚えるのは間違ってはいませんが、「今、ここ」を唱える他の理論、療法を排除することになりかねません。
「今、ここ」の考え方にフォーカスして、キャリコンの領域で下記3つに整理してみます。
・ゲシュタルト療法
・交流分析
・アドラー心理学
今回は「ゲシュタルト療法」における「今ここ」について。
ゲシュタルト療法の「今、ここ」
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心と身体と環境をひとまとめにした「全体性」を重視する。
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シルエットクイズ「何に見えますか?」
美女か、老婆か。
壺か、向かい合った人の横顔か。
2通りの見え方ができる絵をご存知の方は多いと思います。
「ゲシュタルト療法」において、「ものをどう見るか」を考える手がかりとして使われたそう。
両方を同時に見ることはできず、「どちらかを見よう」と意識を集中させない限り、もう一方の絵柄は見えてきません。そして意識して見えている絵柄がどんなものであっても、「意味を見出す」ようにできているのだとか。
見えてなかったものが突然見えた瞬間が「アハ体験」。
「ああ、そうか!」という「気づき」を得る瞬間です。
「ゲシュタルト」とは「全体を包括する」「あるものの全体」という意思を表すドイツ語。
人は自分自身を統合させるために努力している、と思っているが、その努力は必要ない、とゲシュタルト療法を開発者フレデリック・パールズ氏は言っています。
「今、ここ」の自分の状態に気づくこと。その一つ一つが「全体性」へと統合され、首尾一貫した重要な意味を持つようになる、と。
こういった考え方から、フロイト派の、心だけを深く掘り下げる精神分析に対し批判的な立場をとっています。※もともとはフロイト派で学んでいます
物事を要素に分解して分析するのではなく、心と身体と環境をひとまとめにして「全体的に理解する」考え方がゲシュタルト療法です。
パールズ氏は患者の気づきを高めるため、治療でこのように指示したそうです。
「自分の身体を感じてください」
「今この瞬間何を見て何をしているか説明してください」
そして、同じ部屋にいない人物について話すことを禁じました。
「今、ここ」に集中させるため。
マインドフルネスや瞑想、禅の雰囲気を感じますね。
以下、「感じるままに」という考え方をよく表したパールズ氏の詩です。
私は私のために生き、
あなたはあなたのために生きている。
私がこの世にあるのは、
あなたの期待に応えるためではない。
あなたがこの世にあるのも、
私の期待に応えるためではない。
あなたはあなた。
私は私。
たまたま心が通じ合えば、それは素晴らしいこと。
通じ合わなければ、それはそれでしかたがないこと。
ーフレデリック・パールズ氏「ゲシュタルトの祈り」ー
私は私で私に気づき、
あなたはあなたであなたに気づく。
身体の声に耳を傾け、身体の要求には素直に応え、心と身体と環境の、バランスの良い関係性を築いていけるといいですね。
パールズ氏の詩を心にとどめ、そのような支援がしたいものです。
あなたのために。そして私自身のために。
次回は「交流分析」における「今、ここ」について。