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仕事の意義がわからなくなった私に必要だったのは、ストーリーを生み出す力だった

「この仕事、誰の役に立ってるんだろう。」

会社がどんどん大きくなって、自分に求められる役割が変わった頃。現場でお客さんの声を聞く機会も減り、数字とにらめっこする時間が増えた私は、だんだんと、目の前の仕事の意義がわからなくなっていた。

この数字を達成して、何の意味があるんだろう。会社はどこに向かっているんだろう。私は誰の役に立っているんだろう。

クリエイターの表舞台を創りたい。そんな気持ちでイベント企画を続けていた私は、その仕事から離れたとき、自分の進みたい方向と目の前の仕事とが、少しずつ結び付かなくなっていった。

そんなとき、前職でとてもお世話になった上司と飲みにいった。彼女は私に働く楽しさを教えてくれた人で、いつかこんな風になれたらなぁ。いや、それは無理かなぁ、と憧れている人。

大体私が誘うのは何かに悩んでいる時なので、会って早々「で、今回はどうしたの?」と聞いてくれて、ひとしきり話した。そしたら、こう言われた。

* * *

そっかぁ。きっとあなたは次のフェーズに行くときなんだね。

今までは、周りの人や環境に恵まれて、誰かがあなたの代わりに仕事の意味づけをしてくれたり、働きやすい環境を作ってくれていたんだよ。でも、ずっとそうじゃいられないよね。

今度は、あなたがそれをやっていく番なの。

誰かに言われたことをそのままやるのは簡単だし、納得いかないことを誰かのせいにして不満を持つのは楽だと思う。

けれど、それじゃ自分が楽しくないでしょう。

今自分が何のためのこの仕事をしているのか。誰のために働いているのか。会社の目標や周囲からの期待がどうであれ、自分なりにストーリーを生み出していくんだよ。それは自由でしょ?

そしてそれを、今度はあなたが周りに伝えていくんだよ。

そうやって、自分でストーリーを生み出していった方がきっと人生は楽しいし、より魅力的な人間になれると思うよ。少なくとも、私はそういうあなたと一緒に、またこうして話をできたら嬉しいな。

* * *

ちょっと話しただけなのに、自分の弱いところや逃げようとしていたところを見透かされてしまって、グサグサと刺さった。

自分が納得いかないことを何かのせいにして生きていくのは嫌だな。誰かにやってもらうのを待つんじゃなくて、自分が楽しめるストーリーを自分で作れたらきっと楽しいだろうな。そう思った。

それからというもの、ストーリーを作るために必要な情報を集めに行くようになった。決算説明会に参加して、会社が今何を大事にして進んでいるのかを聞いてみたり、サービスを利用してくれているお客さんの声を拾いにいって、自分たちがどう役に立てているのかを理解したり。

そうすることで、大きくなっても会社として大事にしていることは変わらないこと、私自身の仕事も、自分のミッションである「埋もれた原石の発掘」につながっていることを実感できるようになった。

あれから一年。当時よりさらに私は現場から離れつつあり、難しさを感じるシーンも多い。だけどきっともうブレない。目の前の仕事に向き合う意味が自分の中にあるから。

次は、自分だけじゃなくて、誰かの心に残るストーリーを作っていけたらいいな。そうしたら、元上司もまた会ってくれるかな。そんなことを思いながら、今日も働く。

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