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HFrEFの薬物治療 ACE阻害薬の使い方

Q.ACE阻害薬はHFrEFにおいて、どうして第一選択薬になるの?

A.心不全の予後改善につながるからです。
 アンジオテンシンⅡは昇圧作用だけでなく、心筋の肥大化や繊維化にも寄与します。アンジオテンシンⅡの生成を抑制するACE阻害薬は、HFrEFの第一選択薬として心不全の予後改善のために積極的に使います。

Q.どうして、心筋の肥大化や繊維化を抑制できるの?
A.心臓組織局所のRAS活性抑制に加えて、循環RAS抑制に効果があるからです。これにより、末梢血管低下に伴う後負荷の軽減や、尿細管からの水・ナトリウムの再吸収抑制など前負荷の軽減ができるからです。

そうは言っても、空咳がイヤ!

 ACE阻害薬と言えば、「空咳」と使用を躊躇しがちですが、発現率は各薬剤によりかなり頻度の差があります。
 例えば、ベリンドプリルの空咳の発現率は8.22%ですが、慢性心不全に適応のあるエナラプリル(レニベース@)は1.92%、リシノプリル(ロンゲス@)は
4.76%です。

慢性心不全に適応のあるACE阻害薬

・エナラプリル(レニベース@)
5mg/回 1日1回 最大10mgまで増量可能
・リシノプリル(ロンゲス@)
5mg/回 1日1回 最大20mgまで増量可能

これらを空咳、過剰降圧に注意しながらドーズアップしていく!

ACE阻害薬使用上の注意点

・空咳の副作用あり。発現頻度が低い薬剤をチョイスする。
・過剰降圧に注意しながら増量する。
・腎保護作用もあるが、腎血流量低下に注意しながら使用する。
・カリウム排泄抑制による、高カリウム血症に注意する。

以上を踏まえながら、HFrEFの患者様には心不全の症状の有無に関わらずに使用していく!


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