見出し画像

併用禁忌の組み合わせBest5~薬局ヒヤリ・ハット事例集〜

 こんにちは! リハビリ病院勤務、アラフォー薬剤師のアツナリです。
10月も半ば。仕事からの帰り道はすっかり暗くなっているこの頃です。
今日は、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 第27回報告書より、併用禁忌の薬剤Top5をピックアップしました。調剤の時に気がつけますように!

Best1  クラリスロマイシンとズボレキサント(ベルソムラ@錠)

クラリスロマシン(クラリシッド@、クラリス@、ボノサップパック@)はCYP3A4を強力に阻害するため、CYP3A4で代謝される割合の高いズボレキサント(ベルソムラ@)の血中濃度が顕著に上昇するため、併用禁忌となります。

Best2 クラリスロマイシンとルラシドン塩酸塩錠(ラツーダ@)

 Best2も同じ理由でCYP3A4を強力に阻害するクラリスロマイシンCYP3A4を気質にもつ、ルラシドン塩酸塩錠(ラツーダ@錠)でした。
ちなみに、クラリスロマイシンと併用禁忌の薬で件数が多いものは
・ベルソムラ@錠
・ラツーダ@錠
・クリアミン配合錠@
・コララン錠@
・タダラフィル錠@  などです。

Best3 ラサギリンメシル酸塩錠(アジレクト@錠)とトラマール、ワントラム、トアラセットなど

パーキンソン病治療薬の選択的MAO-B阻害薬
・ラサギリンメシル酸塩錠(アジレクト@錠)
・セレギリン塩酸塩錠(エフピー@錠)
・サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ@錠)

・ペチジン塩酸塩含有製剤
・トラマドール塩酸塩(トラマール@錠、ワントラム@錠、トラムセット@錠)
・タペンタドール塩酸塩
併用により、高血圧クリーゼ*等の重篤な副作用発現の恐れがあるので併用禁忌です。

高血圧クリーゼ*:血圧が急激に上昇し、直ちに血圧を下げる必要がある状態

選択的MAO-B阻害薬はその他にも、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬の併用により高血圧、失神、発汗等の発現があるため併用禁忌となります。
選択的MAO-B阻害薬の副作用に、セロトニン症候群や悪性症候群があり、これらの併用により発現率が上昇するため併用禁忌のようです。


Best4 スピロノラクトン(アルダクトン@錠)とエプレレノン(セララ@錠)

こちらは、カリウム保持性利尿薬同士の併用により、高カリウム血症が起こりやすくなるため禁忌です。同様の理由で、ミネブロ@錠も併用禁忌です。

Best5 フロリードゲル@経口用とリバーロキサバン(イグザレルト@錠)

外用薬だからうっかり忘れがち〜
フロリードゲル@経口用はアゾール系抗真菌薬なので、外用薬でもCYP3A4を強力に阻害するのです。なので、CYP3A4を主な代謝経路にする薬剤は血中濃度が上昇するため、併用禁忌です。

以上、併用禁忌Best5でした。
分かっていても、現場でやらかしそうなものばかり。電子カルテのアラートは頼りにならないので、しっかり疑義照会しましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?