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なるようになる。

ケ・セラ・セラばあちゃんのつぶやき。

1956年の映画「知りすぎていた男」主題歌、主演女優で歌手のドリス・デイさんが歌っていた。日本語ではペギー葉山さんが歌っていた楽曲。96歳のばあちゃんが若かりし頃に歌っていたんだろう。

久しぶりのばあちゃん家、コロナやおじさんの襲来で足が遠のいていた。10年くらい前まではすぐ近くに住んでいて、時間があれば一緒にお茶するくらい頻繁に通っていた。ここ5年ほどで認知症が始まったようで、会話をしていても2〜3分前に話したことを忘れて、何度も同じ質問をしているようだ。そうは言っても、いきなりいなくなったり、徘徊したりはしてないとのことなので安心している。明かるくて活発で、ハキハキした性格のばあちゃんは親戚やご近所さんからも愛されている。

そんなばあちゃんももう終活をし、周りもそれの手伝いをしている。ただ、遺産でも揉めにもめて兄弟でケンカになり収拾のつかない状態だ。他人の家では遺産相続で揉めて裁判になったことや長期間揉めているところの話を聞いたりもしたが、実際に身近で起きていると笑えない。兄弟の性格も正反対で、兄は細かい性格で、経理や公務員が向いていると思うくらい真面目だ。片や、弟は熱い男で、熱血タイプの感情論派だ。この相容れない性格の二人がとことんぶつかる。お互いに尊敬の心があれば、合中を取るように話し合いができるだろうに、昔から二人は仲が悪くまともな話し合いなどしたことがないらしい。

遺産もお互いにじいちゃんが亡くなったときに、別荘を譲り受けた兄、墓守をするとの約束もあり兄が譲り受けることに同意していた弟。兄はその家をもらいお金も貰っているので、ばあちゃん持つ土地は俺が譲り受けるものだと主張する弟。それはそれ、これはこれと自分もばあちゃんの遺産を受け取る権利があると兄。よくあるようなオーソドックスなパターンで遺産相続問題が勃発している。

関東にいた弟がばあちゃんのことを心配して、一緒に住むようになってから約半年が経つ。その間に相続問題は勃発し、終活をしていたばあちゃんは生きているうちに解決しなくちゃと重たいものを背負ってしまった。弟が一緒に住むようになり、兄はそれが嬉しくないのか、出ていけと言わんばかりにばあちゃんの周りを自分の味方にしようと手を回している。弟はばあちゃんが亡くなったら、その家に住むつもりでいる。兄はそれが一番気に食わないのだろう。だが、ばあちゃんの介護のために弟は奥さんと娘さんのところから離れて生活することを決心し来ていて、戻るところはないのだ。

今日はばあちゃんとおじさん二人と楽しく話ができて良かった。兄の方のおじさんが帰ったあとに、遺産問題の話をはじめた。兄は駄目だ、気持ちを考えていない、お金がほしいだけだ、あの嫁が裏から手を回しているなど汚れた話がどんどん出ている。話を聞くだけで気分が悪い、ばあちゃんはもっと複雑な表情をしていた。

帰る時間になったので、そろそろ帰るねと言おうと思いばあちゃんを見たとき、ケ・セラ・セラとつぶやいていた。

その感じがなんか切なく見えた。

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