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NRヴェンデットの誕生から禁止カード最多数のテーマになるまでの構築と戦績を振り返ろう

マスターデュエルのNR限定構築の大会で使用されることが多いNo Richesのレギュレーションにおいて、禁止カードに指定されたカードの中でヴェンデットに関する物が最も多くなりました。それを祝して(?)ヴェンデットの初期から今までの規制とその時の構築を振り返ろうと思います。


ヴェンデット爆誕(規制なし)

第2回真佐杯(優勝)

ヴェンデットというデッキはNRフェスの時から存在はしていたようです。
しかし、その時にはまだ”ヴェンデット・スカー”が実装されておらず、サーチに乏しく不安定感抜群のデッキでTier表にも載ることはなかったと思います。
しかし、2023年の年明けに”スカー”が実装されたことによりNRの環境は大きく動くことになりました。

手前味噌ですが、僕が書いたこの記事が渉猟し得た限りでは結果を残した中で最も古いNRのヴェンデットの記事です。
デッキのコンセプトは、”コア”を絡めた妨害効果と体制を付与したスレイヤーを先攻で立てることにより、突破不可能な要塞として妨害をし続ける制圧デッキでした。
真佐杯の配信卓では事故映像しか映っておらず説得力に欠けますが、この時の構築で強い盤面を作れる確率は以下の通りでした。
※25戦分のお試しドローでどの盤面が作れるかを記載して回数×4したものです。数学的なサンプルサイズには足りていないと思うので、あくまで目安だと思って下さい。

フルパワーヴェンデットの初動計算

この時の構築はまだまだ青く、ラビオンを出す展開に不要なストリゲスが入っていたりするので、今の僕が考え得る最強の構築であればもう少し確率が上がると考えています。

秘匿しながら(というよりNRの友達がいなかった)構築したヴェンデットを携えて、初めてゲームの大会に出場したのが第二回真佐杯でした。
当日は64人の定員が埋まる大盛況の大会でした。そんな中、第一回優勝者のknoxさんと戦った決勝戦はとてもスリリングで、とても楽しかったです。
この大会の結果をきっかけに、ヴェンデットはNR界を大きく巻き込んで発展とレギュレーションによる進退を繰り広げていきます。

No Riches主催 L/R(優勝)

L/Rとは、レガシー産や配布で入手可能なカードを加えたNRのレギュレーションです。(一部の禁止はありますが)テーマによってはSR、URも使用できるため、単純なNRの環境と比べるとパワーが高いです。
しかし、誘発や圧倒的なエースがいるわけでもないため、よっぽど負けることはないだろうと考えてヴェンデットを使用して参加しました。
第二回の優勝構築とほとんど一緒でNRのカードのみを採用しましたが、危なげなく優勝することができました。

第3回真佐杯(優勝)

第二回真佐杯後に展開ルートをnoteで公開したことにより、日本のNR界の猛者達はこのデッキのやってることの異様さに気付くことになりました。
特に日本のNR界の王として名高いknoxさんは、No Richesのレギュレーションをすぐさま改定した方がいいと、改定に携わるボスステージのメンバーに進言していたとのことです。
しかし、改定の時期的な問題と、海外ではそこまでヴェンデットの強さが浸透していなかったこともあり、第三回真佐杯においてはレギュレーションの更新がされないままヴェンデット大会としての盛り上がり(?)を見せました。
その時の優勝構築がこちらです。

今でこそヴェンデットとは研究が進んでおり対策も取られるようになりましたが、この時にはまだヴェンデットを回せるようになることに優先順位を置くプレイヤーが多く、メタを張るところまで環境が進んでいなかったように思います。
実際僕は壊獣でミラーの対策をしましたが、この時に堕ち武者からもアクセスが可能なサルコファルガスに気付けていたら更に優勝が近かったと思います。なお、グレイドル・コブラは対象を取るためこの時はメタになりません。←わざわざ書いたのは個人的な恨みがあるからです(笑)

ヴェンデット滅亡(初規制)

第4回真佐杯(3位)

第三回真佐杯の使用デッキはヴェンデットにシェア率が大きく偏りました。日本で猛威を振るったその圧倒的なパワーをknoxさんがNo Richesに持ち込んで優勝したことにより、ヴェンデットの脅威がより広まり規制が検討されました。
ちなみに、その時のNo Richesは大会中にも関わらず一部のプレイヤーが勝ち目がないと悟り脱落する異常事態が発生したと小耳に挟んでいます。ダークヒーローとは言え、あまりのダークっぷりにおじさん震えがとまりません。
そして発表された規制が以下の通りとなりました。

ヴェンデット初めての規制

コア、バースが禁止となり、マゼラが制限となりました。
元々コアは一枚しか採用していませんでしたが、要塞スレイヤーを出すことができなくなったり、3枚初動でのラビオン+ハウンドスレイヤーの展開がなくなったりと、1枚の働きがあまりにも大きかったため、ヴェンデットにとって大打撃との規制となりました。ただ、コアに関しては平等な環境を取り戻すために僕も含めてみんなが禁止になってほしいと思っていたため、納得の規制でもありました。バースの禁止、マゼラの制限に関しては、第六回真佐杯を終えた現時点(2023年6月)であれば妥当なの改定であったことが分かるのですが、この時は多くのプレイヤーがやりすぎな改定でヴェンデットを完全に沈めにきたという認識をしていたと思います。
実際Twitterの反応や強者のnoteを見ると、ヴェンデットをTier表から抹消して新たな環境デッキを模索していたプレイヤーが大半でした。

そんな中行われた第四回真佐杯では、環境読みが特に難しかった大会でした。
これまで環境デッキとしてトップを走ってきた花札、ヴェンデットが消えたこともあり、鉄獣、マジェスペクターや、ラビュリンス等のデッキが流行ることが予想され、全体的に中速で罠に厚い構築が増えると考えられていました。
それらを踏まえ、当日まで2択のヴェンデットの構築で迷っていました。

<冥界型>

溟界型ヴェンデット

ドラックラビオンを出すことに特化した型です。ゾーハからアクセスしたレベル8のモンスター、マゼラ、パズロミノ+ストリゲスなどのルートからレベル8を2体並べるデッキです。

展開例
①ゾーハ通常召喚
②ボーン→スレイヤーを儀式召喚
③ゾーハ+スレイヤー→パズロミノ
④墓地のゾーハ→溟界をサーチ→捨てる
⑤墓地のスレイヤー→ボーンサーチ、ストリゲスを墓地へ送る
⑥墓地のストリゲス→ボーン見せてパズロミノのリンク先に蘇生→レベル8に  
 変更
⑦墓地の溟界→パズロミノをリリースして蘇生
⑧ストリゲス+溟界→ラビオン

このように実質手札3枚からラビオンを出すことができます
しかし、ゾーハでスタートを切ると相手に手札交換を与えてしまう為、できればゾーハの絡まない展開でラビオンを出すようにプレイする必要があります。
冥界型の初動計算は以下の通りです。

冥界型の初動計算


<デモリッシャー型>

デモリッシャー型ヴェンデット

「コアが無ければデモを使えばいいじゃない」と言ったのは誰だったでしょうか。マリーアントワネットでしょうか。いいえ、我らがNRのアイドル、真佐まつりさんです。実況で上手いこと言ってるなあと思ってました。
デモリッシャーを素材にした儀式モンスターはコアと同様に対象体制が付与されます。
しかし、コアと比べて
①ピンポイントのサーチや墓地落としが行えない
②レベルの都合上ハウンドorレヴナントの選択となる
③アクセスを増やすと被りが多くなり事故率が上がる
といった問題点を抱えていました。しかし、一度通れば圧倒的な要塞+妨害を構えることができることから第四回ではこのデモリッシャー型を使用しました。
デモリッシャー型の初動計算は以下の通りです。

デモリッシャー型の初動計算

また、デモリッシャーへのアクセスを増やすために”マサイの戦士”を入れていたのですが、マサイの戦士が3枚or2枚では検討が必要でした。
これは興味深い結果だったのですが、初手で最も重要なデモハウンドを出せる確率を2群間比較で統計にかけると、有意差が出る程2枚採用の方が確立が高かったです。要因としてはデモリッシャー、マサイの重複が3枚採用の方が多かったことが考えられました。(ただこれもnが恐らく少ないので信頼性が高いわけではありません。誰か統計詳しいプレイヤーがいたら40枚デッキの初動計算する時のサンプルサイズの求め方と回帰分析のやり方教えて下さい)
マサイを2枚にすることでゴルゴンダを1枚採用することができ、ラビオンの確立も上がりウハウハな結果となりました。

ちなみにですが、このデッキに採用したデモリッシャーは、一緒にヴェンデットの研究を行った、しのびたるとさんというプレイヤーに案をもらい、二人である程度形にした後本番まで秘匿していました。
ところが、箱木さんというNR界でも有名な構築の鬼が自ら辿り着き配信等で使いまくって大会前に型の全容が明らかになったというエピソードもあります。
たるとさんとのDMで、箱木さんそれ以上広めちゃいけない!止まってくれ!って何度やり取りしたことか分かりません(笑)
そんな背景のある大会でしたが、ギリギリまでどちらを使用するか悩んだものの、総合的にデモリッシャー型が強いと判断して使用しました。
この大会からトーナメントの使用がダブルエリミネーションに変更され、表の決勝で箱木さんの継承ノイドに負けました。
箱木さんとの再戦のために臨んだ裏の決勝ではボスステージの傑作であるJKオルフェに負けて3位となりました。先行の付与スレイヤーを一枚で処理されあっけなく敗北しました。おのれギルティァァア!!
この後No RichesのTier表でJKオルフェはTier1位、時期をずらして継承ノイドもTier1位に位置付けられる程強いデッキであることが明らかになりました。
この相手達にこのリミットでよく頑張ったよ、スレイヤー。

ヴェンデット元気を取り戻す(二度目の改定)

第5回真佐杯(準優勝)

厳しい規制を受けたヴェンデットですが、第四回後に行われたNo Richesの改定で再びかつての力を一部取り返すことになりました。

ヴェンデット2回目の規制と緩和

ヴェンデットに関する規制として、新たに禁止カードにデモリッシャーが加わりました。No Richesの対象体制への憎悪が凄まじいですね(笑)
そして、禁止カードに指定されていたバースが制限カードに緩和されました。
バースの緩和は非常に大きく、これまでジャンケンでグーとチョキしか使えなかったヴェンデットが、新たにパーを出すことができる程に構築や展開の幅が広がりました。
この時に注目されたカードが”才華の陣”という通常罠カードです。墓地から除外することでスレイヤーに完全な耐性を1ターン付与することができます。バースの帰還によりクロシープを経由する展開がしやすくなったことも、墓地に送って真価を発揮する才華を活躍させられた要因の一つでした。
才華の陣は箱木さんが見つけてきたカードで、才華を組み込んで構築されたデッキの完成度も高かったことから、僕も箱木さんの構築をリスペクトコピー(ほぼ丸パクリ)しました。

才華型ヴェンデット

新たな環境デッキの台頭もなく、決勝戦では同じく才華型のヴェンデットを使用したしのびたるとさんと2度の決勝を行い、2戦とも敗北しました。死ぬほど悔しかったですが、第4回でヴェンデットの研究を共にした相手と決勝でぶつかることができて非常に嬉しかったです。

第6回真佐杯(3位)

第五回真佐杯で1,2フィニッシュしたヴェンデットがいずれも才華型だったことを受け、No Richesの改定委員会は規制に向けて動き出しました。
しかし、改定の時期的な問題か、それとも他の規制も大幅に行うためか第六回真佐杯までにNo Richesの改定は行われませんでした。
そのため、環境としては第五回で結果を出したヴェンデットを如何に対策するのかが焦点となりました。結果としてヴェンデットの対策に枠を確保しやすく、直前の新弾で大幅な強化を受けた鉄獣が1,2位を飾りました。
リミットの改定が行われなかったため、当然才華型を使用することもできましたが、第六回では魔神儀型のヴェンデットを使用しました。
魔神儀型とは、豊富なサーチを武器に先行で”ロードオブザレッド”+レヴハウンドスレイヤーという制圧力の高い盤面を目指すデッキです。
事故率も才華型と比べて低く、レッドを先出しして罠を踏んだ後にスレイヤーを通す動きなどが可能であり、後攻でも様々な相手に対応できるデッキです。
バースでスカーを落とし、スカーからチャージをサーチしてレヴハウンドを出すことが強みだったため、バースの禁止がほとんど確定していた第六回は、魔神儀型を使用する恐らく最初で最後の機会だったと思います。

才華型より優先して魔神儀型を使用した理由は、
①直前の新弾で追加された鉄獣の死線があまりに強く、より多く相手の場のカードを破壊したかった
②才華型と比べて事故率が低く、よりパワーの上がった鉄獣に対抗するためには事故で1ターンも与える猶予はなかった
③半月間魔神儀型の研究に費やしたので、流石に1回は大会で使いたかった
④個人的には才華で耐性を上げる上振れ展開よりも、攻めて勝つことしか考えない、ぶん回しスタイルのデッキの方が好みだった

という四点です。後半はもう環境読みとかじゃありません。
2大会連続で同じ型なのも面白味に欠けますしね。

魔神儀型ヴェンデット

第六回で使用したオブザレッドを搭載した魔神儀型は、既存のデッキとして存在しない型であり、展開ルートも無数にあるため構築の段階でかなり難渋しました。
魔神儀をスタートするために召喚権をセンジュやソニックバードのようなサーチ効果のものに変更してみたり、そもそも展開の邪魔になるマゼラやストリゲスを省いたりしながら確率を求めてこの構築に辿り着きました。

魔神儀型の初動計算

お試しドローでの盤面の達成数で確率を出していますが、とにかく展開が難しく、気付けていないルートなどで多少確率が上がるかもしれません。
大会では表の決勝、裏の決勝共に鉄獣に負けて3位となりました。

ヴェンデット死亡(三度目の改定)

ヴェンデット三回目の規制

第6回真佐杯の後に再びリミットが改定されました。
予想されていた才華、バースに加え、ヘルハウンドが制限カードに指定されました。
今回の改定で禁止カードに指定されているカードの中で最も多いテーマ(で使用されたカード)はヴェンデットとなりました。
ヴェンデットを使い始めた頃、メガリスやメタルといったテーマが重い規制を受けており、いつかそのレジェンド級のデッキに並ぶことができないかと思っていましたが、遂にそれを実現できたようでとても嬉しいです。
これまで約半年、色々な大会を共に戦ってくれたスレイヤーの強さを、何かの形として残しておきたくてnoteを書きました。
また、ヴェンデットというテーマを通して、一緒に研究してくれる仲間や沢山のプレイヤーと仲良くなることもできました。

熱くて楽しい毎日を僕にくれたスレイヤーよ、ありがとう。
毎日を熱くて楽しいものにしてくれるNRのプレイヤー達よ、ありがとう。

現在のヴェンデットは環境から消えたと言われた頃よりも更に重い規制がかけられていますが、その分警戒が薄くなったNR界のどてっぱらをぶち抜けるように、今後も強いヴェンデットのデッキを考えていきたいと思います。
おじいちゃんの長い長い思い出話に付き合って下さり、ありがとうございました。

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