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自己流分析方法その2

お久しぶりです。あっつベルです。懲りずに第2弾やっていきます。今回も最後までよろしくお願いします。

前回の復習

本題に入る前に、前回の記事を読んだ方への復習と初めて読む方への予備知識として前回の記事をさらっとおさらいします。

分析には大きく分けて『簡易分析』『詳細分析』『リアルタイム分析』の3つがありましたね。また、分析のステップは「1.分析の基準を見つける」「2.時間の経過で最初の場面からどう変わるか見極める」でした。簡単2ステップの連続で分析とは行われています。

ということで簡単におさらいしたところで本編に参りましょう。

今回の分析

前章を踏まえたうえで今回はどこに焦点をあてようか......と考えていたところ、衝撃的なゲームを発見しました。プレミアリーグ第34節、マンチェスターユナイテッドvsリヴァプールです。なぜ衝撃なのか、ビッグクラブ同士のマッチだけどシーズン前半戦にもあっただろ?と思いますよね。私も最初はただの注目のマッチだと思っていました。しかし現在の両チーム、長短のカウンターを攻撃の型としているうえにMUNはマグワイア、LIVはファンダイクと守備の要を失っているんです。つまりどちらもカウンターを狙う、縦に速い試合展開になると予測したわけです。普段攻撃に速さを求めるチームの少ないイタリアを見てる私からするととてつもなく衝撃で注目のマッチに早変わりです。(なお、プレミアを積極的に見ているわけではないので解釈違いがあったら教えてください)

分析する試合を決定したところで、次に「基準」を設定していきましょう。今回はカウンターを狙うチームなので『相手』を基準にしてどうカウンターを刺すのが効果的かについて見ていきたいと思います。今回はDAZN公式からマンチェスターユナイテッド×リヴァプールの動画を切り抜いて解説していきたいと思います。

リヴァプールの得点 ~ハイプレス~

スクリーンショット (17)

まずは3:38のシーン、後ろからのビルドアップでサリーダの動きからCHがボールを引き出します。この時のLIVから見た相手、MUNの位置はこのようになっています。

スクリーンショット (17)_LI

GKの左右に位置する2CBと高い位置でワイドに張り出した両SB、落ちたCHとひとつ高い位置にいる相方のCHといった形になっています。2CB+2CHのボックス型のビルドアップをしています。オーソドックスな形のひとつで、CHが一人の時と比べてよりボールを前に持ち出しやすいのが強みです。

一方LIVは高い位置でボールを奪回するために3トップとIH、さらにはSBまでもが画面内に映る、非常に前がかりになっています。この状況を俯瞰して客観的に見た場合、MUNの取るべき選択肢は何でしょうか?多くの人は前線での数的均衡(あわよくば数的優位)を生かすためにロングボールを使うべきと考えるでしょう。では実際どう動いたか見てみましょう。

スクリーンショット (18)

3:41、横にいるLBへ出した横パスがずれ、前進守備をしてきたRBに奪われてしまいます。このトランジションの瞬間の相手(MUN)の位置を見ていきましょう。

まずゴール前にはボックスのビルドアップに関与してた四人がブロックを作っています。さらにボールホルダーの外側からもLBがプレスバックしてきていますが、外側からなので影響は低いでしょう。ボックスを保持したままのトランジションなのでゴールのニア半分やボックスの内側にはスペースがありますがここはすぐに潰されるでしょう。

スクリーンショット (19)

直後の3:45のシーン、RBは縦に持ち込んでグラウンダーのクロスに持ち込みましたがCBに阻まれ、絞ってきたLBがボール保持しました。この時LIVはボールのあるラインより後ろに複数人を押し込んでいるので、MUNがポゼッションを再び安定させるのは非常に難しいと言えます。

一方LIVはボールホルダーの目の前に二人います。プレー原則に則った即時奪回を目指す非常にいい位置取りです。

スクリーンショット (20)

続いて3:48、飛び込んできた相手をキックフェイントで躱し、ボールを前に持ち出します。リスキーではありましたが、相手をはがすことが出来れば前線の数的均衡に勝負を挑めるのでいい選択だったと言えます。ここで一度視点を変えてMUN側から試合を見てみましょう。

自陣深くで押し込まれている場面、画面内にはGKを含めて八人、つまり高い位置には三人待っているわけです。一方LIVは画面上に七人位置しています。大外の選手は帰還しようとしていますが、それでも前線には3vs3が出来ているので簡単に放ればチャンスを生むことが出来ます。相手のハイプレスは危険ですが、裏返せば後方の数的均衡に勝負を仕掛けることができるハイリスクハイリターンな戦術なのです。

スクリーンショット (21)

しかしそんな展開を許さないのがクロップリヴァプールの凄いところ。二秒後にはボールを奪い取り、攻めるために前に出たMUNの大きく開いたバイタルエリアを再び利用しようとします。MUNは2CBと1CHが残り、左右からも守備に戻っています。

スクリーンショット (22)

ボール保持者の右前で残っていた選手が相手の間でボールを引き出し、流れた位置からシュートを狙います。

スクリーンショット (23)

打ったシュートはGKに弾かれますが、ゴール前に詰めていた選手がゴールに押し込んでLIVが得点しました。ひとつ前の画像でゴール前を見ると、ニア付近にスペースが空いていて、この画像ではまさにそのスペースに走りこまれています。

この一連の流れではLIVが得意のゲーゲンプレッシングからボール奪取をし、クロスを狙いましたがMUNは跳ね返し即座にロングカウンターを狙ったと思います。しかしプレッシングの波状攻撃で再びLIVがボールを保持するとショートカウンターから今度はゴールを奪いました。お互いのカウンター狙いがぶつかった激しく面白い展開だったと思います。

マンチェスター・ユナイテッドの得点 ~ロングボール~

つづいて、MUNの得点シーンからも抜粋していきたいと思います。

スクリーンショット (33)

4:47、MUNの自陣からのビルドアップで大きくサイドチェンジをした直後です。相手はそこまで強くプレスをかけておらず、引いて守備を形成しようとしているところです。MUNのLBからしてみれば相手は近くにおらず、チェックに来る用紙もないのでノープレッシャーで次のプレーを選択できます。

スクリーンショット (34)

ひとつ前に持ち出したところでボールを縦に大きく蹴り出しました。この画角では何を見て蹴ったのか判別は付きませんが、画面に映るLIVの横並びの選手たちは手前からCH、RW、DHであり、中盤の選手が高い位置でブロックを作っていることから、最終ライン付近では数的均衡かスペースの大きい状況が生まれていると推測することが出来ます。実際移動した画面では、

スクリーンショット (35)

LIV側は左手前に見切れている選手を含め五人、MUNは画面には映っていないFWを含め四人なのでMUNは数的不利ですが、広いバイタルエリアでフリーで受けることが出来ました。相手選手も強くチェックに行くことが出来ないのでいい形で縦へ展開できています。

スクリーンショット (36)

強くチェックに来た選手が剥がされ、再びMUNがライン間でボールを受けています。また、手前のMUNの選手はCBの背後を取ってCBとSBの間、前回の記事で紹介したチャンネルを抜け出そうとしています。二選手に共通しているのは複数選手の間に位置していることです。選手の間でボールを受けるとどちらがチェックに行くのかで迷いが生じるので攻撃側選手にとっては重要な位置取りのスキルとなります。

スクリーンショット (37)

ワンタッチで今度はチャンネルの手前にいる選手にはたきました。ワンタッチプレーの連続でボールを動かすと相手選手は左右に視界を振られながら後ろに下がるので対応が難しくなります。(実体験ほんとにこういうプレーって足出し辛いので大変なんですよね)

スクリーンショット (39)

このシーンの美しいパス回しは実際動画で見てほしいので上のリンクからDAZN公式に飛んでください。ということでパス回しから最終的にゴール前での抜け出しに成功しています。LIVの選手を見てみると最初にバイタルで受けた時と比べて非常に中央に集まっているのが分かります。ここが中央でのパスワークでの崩しの怖いところで、簡単に守備者が抜かれていくのでどんどん人数をかけていき、最終的にこのようになってしまうことがあります。この場面では使われていませんが、右の大外でフリーとなっているMUNの選手にボールが入ってもLIVからすると嫌な展開になります。

スクリーンショット (41)

抜け出した選手が最後にはしっかりとゴールに流し込んでいます。LIVにとって何より恐ろしいのはLBから始まったたった四本のパス、そして8秒でピッチの半分以上を駆け抜けて得点が生まれています。縦に早く展開して少ない時間でゴールを奪うモダンサッカーのひとつの形の理想形です。また、ハイライトにはありませんが似たような形で裏に抜け出す形が再び見られるので、MUNとしても狙った形を意図して作れているのだと思います。

終わりに

4000文字近くの大作となりましたが、長い間お付き合いいただきありがとうございました。長くはなりましたがポイントを押さえた実例を伝えられたかなと思っています。

『相手』を基準と置くとき、どうしても味方と相手はセットになってしまうので明確に分けることはできないと思います。明確に分ける基準はないですが、、、と思いましたが各々の基準で分析してこそ面白いと思うので私はあまり多くは語りません。笑

しかしまぁ言語化して伝えるというのは難しいもので、概念を実例を通して伝えようとするとどうしても実例にフォーカスしてしまい、本質がうまく書けないですね。これからも発信して文章を書く能力を鍛えていきたいですね。

では今回の記事はここまで。次回は20-21シーズンの我らがナポリについて書こうと思います。また次の記事でお会いしましょう。それでは。

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