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珍しくワインの話

ワインとの出会い

 私がワインと出会ったのは、あれは確か20歳の誕生日のお祝いの時です。お酒の飲めない下戸の母が、なぜかワインの頒布会に申し込んだのです。メルシャンワインの頒布会で、毎月送られてくるワインとそれに対する説明のリーフレットが同封されていました。
 中でも覚えているのは「貴腐ワイン」です。貴重の「貴」と腐れの「腐」が隣り合ったその文字のインパクト。しかしそのいかにも貴重な…という内容のリーフレット。写真には枝に葡萄が下がったまま白い粉を被ったような…収穫せずに干しブドウにして菌が付いて、その腐った?ブドウから黄金色のとろり~と甘いワインができる…なんて!「すごいね~」と母と話したことを覚えています。

ワインよりビール、カクテルの時代へ

 成人してお酒を覚えだすと、「世はバブル」。なんだか浮足立ったようなネオンの輝く街へ。そこではビアガーデンでわいわい盛り上がろう!と言った感じで、「どんちゃん騒ぎをするのが正しいふるまい」といった感じでした。若かった私は、仕事も看護師と言うこともあり肩で風を切って夜の街を闊歩した(?)ような気がしています。(笑)恥ずかしい話ですが。

 そうこうしているうちにお洒落な「カフェバー」ブーム到来。そりゃ行かなきゃ!!と世の中の風潮に遅れたら損という風な日々でした。ちょうど、トム・クルーズの映画「カクテル」デーハーなショーのように次々とお酒を合わせて珍しいカクテルを作っていく、そんなお酒の楽しさもあるのだと初めて知りました。モスコミュール、カルーアミルク、コスモポリタン、マティーニ、マイタイ…色とりどりのショートやロングのカクテルがその時のシーンを楽しませてくれました。また、色々な種類のカクテルを作れるバーテンダーさんはあこがれの職業だったように思います。

再び、ワイン…ボージョレー・ヌーヴォーブームへ

 再びワインブームの到来です。それは日本が世界に先立って一番早く解禁されるボージョレー・ヌーヴォーのブーム到来とともにでした。私は国産ワインの頒布会でワインを知っている「つもり」でした。しかし、ボージョレー・ヌーヴォーのさらりとした赤く上品なワインはフランスで、しかもそれが本場であり、おフランスが今日本で身近に、世界で一等最初に飲める!と、その意味も分からずに…。行く先々で呑むのはボージョレー。わざわざ、解禁される1番を飲もうと夜中に集まったイベントにも参加したり。味なんかわかるわけもなく、と言った調子でした。その時が私も一番お洒落なシコった時期だったかもしれません。皆が皆、ワンレングスのロングヘアーでボディコンシャスな格好でハイヒール。バーのスツールに脚を組んで、太腿もあらわに(今じゃ絶対できない!)ヒールをスツールの輪っかに引っ掛けてワインをあおってイイ女になった気分でしたから。(ああ、恥ずかしい。でも、良い体験ができたかな?)
 ワンレン+ボディコンそれが、世の女子の制服だったのですね。😚

時は過ぎ、禁酒からの再ブレイク

 なんだかんだあり、しばらくお酒を一切飲まない時期がありました。遅くして看護学校に進学した時期、それは私の肝臓が一番健康だった時期ではないでしょうか。勉学一筋…?お陰様で、なんとか1つの学問をまっとうできました。

それから一気に時は過ぎ、「今」のワインの話。

 一気に時は過ぎ、3年前の令和元年9月からお友達からお誘いいただき、ワイン講座に通い始めました。幸せなことに川上酒店さんで丸2年、ワイン講座を受けることができました。ワイン講座に行けたことはは私の人生で最もよかったことの一つです。
 あの20代の頒布会、そしてバブル時代の狂喜乱舞のボージョレー・ヌーヴォー騒ぎを経て、今ワインを落ち着いて本格的に学べたのは人生の大収穫でした。

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 講座ではシャルドネ、ソービニヨンブラン、ピノ・ノワール、シラー、リースリング…などなど、ブドウの品種ごとの各国のワインを飲み比べて、その土地の持つ気候や土壌の違い、シャトーなのか近代的な工場なのか、樽なのか、ステンレスなのか。ステンレスで醸造して、樽に詰め替えて寝かせる…などの作り手によるワイン手法の違いを学び知識として知ることができました。(最後は酔ってしまって、覚えていないこともありましたが)丁寧に教えていただけるので、その土地に想いを馳せてどんどん想像が世界を駆け巡り、外へ外へ…と膨らみました
 今や私の中でのワインと言えば、ゴツゴツと乾燥した丘陵に背の低いブドウの木が植えられていて、その木が何百年とその地に深く深く根を張り、その地底には昔は海の底であった貝やアンモナイトの化石が眠っていて。そのミネラルを吸ってワインの中に、ミネラルの味がする。と言ったように想像して楽しくなります。
 一方、その透明感や濃さ、色調をしっかり光に透かして目で確認したり薫りを嗅いで直接ワインのアロマをしっかり鼻の奥の嗅神経から脳へ伝達したり。また舌の上に味を転がし感じるようにテイスティングし、舌の先、奥の方と味蕾の分布に沿って感じたり…と、神経を研ぎ澄まし、自分の未開発な感覚を刺激できたことは身体内面へ向けての世界の開発へとつながりました。
 それと同時に、そのワインと何を合わせるか?ワインと食事のマリアージュについて、また考えることがなかなかできないジレンマを感じました。

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ワインと食事のマリアージュ…私の大いなる探求

 ワインと食事は何を合わせるか?ワイン講座の中でそう質問されて「う~ん」と困ってしまいました。確かに、ワインだけ単独でいただくことは無いのですから。「チーズ」とか「ナッツ」とか…当たり障りのないことを言っていたのですが、最後の方で酔ってくると「メンチカツ」「焼きそば」「焼き鳥」…しまいには「煮しめ」と言って、先生を困惑させてしまう始末。(ああ、ワンレンボディコンのお洒落していた私帰ってこい…)川魚の香草焼きとか、ウサギのソテーとか、何とかの燻製とか…って気の利いたものが出てくるようになりたいものです😅
 でも嬉しかったこと。ソービニヨン・ブランやシュナン・ブランなどの白ワインは、大好きな「エスニック料理」や白身魚の塩焼きとの相性が良いということ。酸味の利いた辛口で、シトラス系のさっぱりしたワインは生春巻きや、香草を使ったタイ料理や、日本の魚料理にぴったり合うのでそれがなんだか「東洋と西洋の融合」のようで嬉しく感じました。

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最高峰のワインを飲み、知ること

 講座の最後の打ち上げに、アメリカワインの銘産地、カルフォルニアのナパ・ヴァレーで生産された「オーパス・ワン」。これを飲めたことは幸せな体験でした。私のような一般市民が、1本5~6万円の高級ワインなんてとても買うことはできません。しかも、ヴィンテージの2016年のオーパス・ワンです。それまで学んできて、開発されてきた舌を、存分に高級ワインで試してみたくなりました。参加者と先生ご夫妻合わせてみんなで割り勘してワイングラスに多めに1杯ずつとなりました。外観はとても深く、しかし透明感のある赤。レッグスもいい感じでヴィンテージ感に満ち溢れています。アロマは上品で、口にした際の赤ワインで感じるタンニンがなんとも細やかでさらりとして舌触りよく喉の方へ流れていく。…自分の語彙力のなさを反省しつつ。ですが、飲んだとたんにその人の表情が明るくなるというワインでした。(飲んだど~の証拠写真↓)

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ニューワールドの挑戦

 古くからワインを生産してきたフランスやスペインはオールドワールドと呼ばれ、逆にアメリカや南アフリカ、ニュージーランド等は新しく生産され初めたということでニューワールドと分類されます。
オールドワールドとニューワールドの、それぞれの良さがあり。
 ニューワールド利点
 ①オールドワールドに倣ってできる利点
 ②挑戦者としての価格を下げられるというコスト的な利点
 ③その土地の特徴を生かして③新しいワインの表現ができるという利点

 ニューワールド中で私の印象に残っているのは、ニュージーランドのソービニヨン・ブランの爽やかさ。グリーンがかったレモンイエローの液体は何とも爽やかなハーブの香りがお魚に合うワインで、コスパも良くとても「美味しい」ワイン。しし唐やピーマンのような香りを「ピラジン」といって、好き嫌いが分かれるのですが、冷涼な気候で作られたワインの爽やかさを感じることができます。
オールドワールドの最近のお気に入りは東欧ワインです。また開拓してみます。

忘れられないワイン

 最近で、忘れられないワインがあります。それは、フランスの2大ワインの銘醸地であるブルゴーニュのシャルドネ白ワインを飲んだ時のことです。2月の私の誕生日のプレゼントとしていただいたワインなのですが、価格は少しお高め。ブルゴーニュは修道院で作られるワインで品種はシャルドネが有名です。その単一品種での白ワイン。それは、「貴婦人」と言われるようなワインで、飲んだら「ホント!貴婦人だわ!!」と言ってしまうほどの薫り高く気高く、どこか「白粉」のようなパウダリーな薫りと、飲み口の優しさ…。涙がポロリとこぼれるような美味しさで、とても記憶に残る、そんな味でした。

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美味しいワインを飲むために額に汗して働く

 こんなおいしいワインは年に数回呑めたら幸いで、日々はデイリーワイン、テーブルワインを頂きながら過ごしています。ワインを飲むために働くといって良いほど、今やワインは人生のパートナーです。
 ざっと、お酒と私の歩みを振り返ってみましたが、その時々一生懸命に生きてきてそして現在に至るのですね。お酒が制限されている今、酒屋さんの経営も大変と思います。こんな時だからこそ、ぜひ、身近なお酒屋さんで美味しいお酒を買いましょう!
 また時々、好きなワインの紹介もしていきます♪

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