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私のプレーモデル

サッカー指導者として、約18年。

まさか、こんなに長くやるとは思ってもいなかった。

でも、あっという間の18年でした。

山あり、谷あり、崖あり、ドロドロの沼地あり・・・

私にとってのプレーモデルは、「息子」である。

彼は今、22歳。4歳でサッカーを始め、17歳で引退するまでの13年間は葛藤の日々であった。もちろん楽しくて素晴らしい時間もあったが、思うようにいかない時間もあった。

怪我や指導者の虐め、不平等で不条理な指導法。ましてや指導者が教育者となると学校生活もあるので、そう簡単ではない。親子ともに苦しんだ経験が未だトラウマである。

私が、アッチ・フットボールアカデミーを設立したきっかけは、息子である。

ジュニアユースでサッカーをしていた息子が、ある事件に巻き込まれ、不条理にも連帯責任を押し付けられ、約1ヶ月、完全に干された。事件の中心人物は別の子供で、兄弟で入団していたこともあり、指導者の矛盾した対応で息子はクラブへの不信感と共にモチベーションの低下、心身的な屈辱に耐えかね退部を決断した。

このクラブの指導者と代表は私の知り合いで、よくジュニアの試合をしていた間柄だった。代表を信頼し信用して息子を預けたのに、この始末。非常に大きな憤りと怒りで毎日が苦しかった。

二度とこのような思いを、子供達にさせたくない。そういう思いが増し、クラブ設立に至った。それがクラブを作った大きな要因。

ジュニアユースを退団し、部活へ入部した彼は、週末と平日の練習がない日には、私のクラブへ来て子供達と一緒に練習をしていた。そうこうするうちに友達を連れてきたので、グループトレーニングができるようになり、約1年半くらい活動していた。彼らが数年後、高校卒業して指導者として戻ってきてくれたのは大きな財産になったことは言うまでもない。

指導者は、常に子供達の未来に触れている。

そのことを理解し、学ばなければならない。どんな子供にも平等に機会均等にある。もちろん、勤勉で一所懸命やっている子供と、そうでない子供とでは平等さや均等さに「差」が生じるのは仕方のないことだろう。

でも、「観る」ことの大切さをおろそかにしている指導者が多いのも事実だ。

高校へ行っても、それは変わらなかった。

上手い、強い、賢い選手の見分け方が偏っていて、パワーとスピードと体格だけで選んだ選手では、良いサッカーはできない。それを見分ける眼を持って、「観る」ことの大切さを学んでほしい。

クリエイティブで相手を外せる選手と、イマジネーション豊かで相手の裏を取れる選手、相手と駆け引きできる面白い選手を、いかに育てて伸ばせるか?

日本人の不得意な分野だ。

息子から学んだことは多い。

イマジネーション、クリエイティブ、周辺視野の確保、オフ・ザ・ボールの動きを怠らない、相手の裏をとる、相手を外す、観る〜観ておく、左右両足を使い分ける

小学生の頃は、よく一緒に公園でサッカーをした。息子と一緒にサッカーをする上で、決まり事がある。それは、親が教えない。矯正しない。指示しない。

リフティングの回数とか、利き足だけとか、全て彼の自由。

アッチ・フットボールアカデミーでは、指導指針を示したら、一定の間隔で同じトレーニングを繰り返し、あとはすべて自分たちで行うやり方にしている。

口出しや手出しはしない。最後のゲームも、用具設定と時間計測以外はすべて自分たちで行い、ミーティングも自分たちで行う。

私が彼らに指導できる範囲は、プレーの原理原則とトレーニング方法(ルール設定とオーガナイズ)だけである。それ以上は踏み込まず、自由にやらせる。

彼ら自身にも責任を取らせるやり方にしている。

息子は、ストリートサッカー世代だと思う。ロナウジーニョの活躍とともに、メッシやロナウドの台頭、遠藤選手のような創造性豊かな選手の活躍を観てきた。

子供の頃に観た人物は印象深く、脳裏に鮮明に焼き付いているのだと思う。

だからこそ大事なのは、指導者の言葉や態度、対応だ。

子どもたちからサッカーを奪ってはいけない!

息子という”プレーモデル”があったからこその今がある。

もちろん息子だけではなく、息子と同期の友達も一緒に指導者として指導に当たってくれた彼らは、本当に優しく心おだやかな青年になった。

彼らは、17~18歳で現役を引退し、21~22歳までの4年間、指導者として多くの子どもたちを指導してきた。その姿は、素晴らしかった。

子供達に対して、優しく、時には細かいところまで教え、冗談言ったり笑ったりしながらともに時間を共有してくれた。

自分の苦しく辛い過去を払拭するかのように、子供達には正面から優しく向き合ってくれたことに感謝する。

指導者として大切なのは、その子供の未来(将来)に深く大きく関わっている。ということを指導者は、決して忘れてはならないということだ。

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