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朔月に彩雲


思っていたよりも早く降り出した小雨に
ちょうどいいやと傘をさした。
泣きながら歩いてるなんて
いい大人がみっともないもの。

あんなふうに露骨に嫌な顔をされたら
もう黙るしかないじゃない。
帰るしかないじゃない。
来なければよかった。
知っていたのにな、私。

あの人っていつもそう。
優しくしたかと思えば
すぐに冷たい態度を取る。
みんなにいい顔するから
誰も彼を悪く言わない。
でも刺さる。突き刺さる。
忘れ去られたような
放られたような気持ちになる。

でも簡単だったわ。
そう、私が放ればいいのよね。
なんでそんなことに
今まで気が付かなかったのだろう。

少ししたら雨も止んで
ふと見上げた空には彩雲が光った。
今日は朔月。

私、変わろう と思う。




Photo by 拝啓 あんこぼーろさん


あんこさん、ありがとう😊











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