【弁護士語り】法学部の価値〜社会人になると活きるリーガルマインド
「法学部ってことは弁護士になるの?」
法学部生であれば1度は聞かれたことがある質問だと思います。
でも実際は、そんなことない。
「なんとなく法学部」で法学部を選んだ人が大多数です(私調べ)。
では法学部で学べることは何?
社会に出た時なにが良いことあるの?
法学部の可能性は無限大です。本日は総論的なお話。
1 法学部では何を学ぶ?
そもそも大学って何をする場所でしょうか?
研究?バイト?サークル?恋愛?
目的は人それぞれ。しかも目的は1つじゃなく、その割合も様々。
ここは法学部生らしく、法律の定義を見てみましょう。
整理すると、次の3つを行う場所が大学ということです。
①知識を授ける
②専門の学芸を教授研究する
③知的・道徳的及び応用的能力を展開させる
これを法学部にあてはめると?
①法学に関する知識を得る
②法学を深く研究する
③法学の学びを活かした道徳的・応用的能力を展開させる
注目は③。「法学の学びを活かす」
法学部での学びは社会でいかに活きるか考えてみました。
2 法学部でリーガルマインドを
「法学部って4年かけて六法全書を丸暗記するの?」
って割と真面目に聞かれることがあります。
結論はもちろんNo。勘違いも勘違いです。
条文を暗記すれば良いほど単純ではないです(それはそれでかなり大変ですが)。
「法学部って何をするところ?」との質問には
「リーガルマインドを身につけるところ」と答えます。
そしてさっきの大学の目的を合わせて考えると
法学部の学びであるリーガルマインドを活かして社会で活躍しよう!
これが今回言いたかったことです。
ちなみに・・リーガルマインドって何?という方はこちらの記事へ。
3 法曹以外でも活きるリーガルマインド
では社会ではリーガルマインドはどう活きるのか。
リーガルマインドは知識ではなく感覚(センス)です。
※日本語的なセンスは先天的な印象がありますが、ここでいうセンスは後天的に体得するスキルのことです。
他の記事でも書いてますが、リーガルマインドとは、
法的な論理的思考力と利益調整するバランス感覚が要素です。
ルールを知識として把握して、あてはめる。
結論の「座り」が悪ければ利益調整して妥当な帰結を導く。
こうしたリーガルマインドは、社会において本当に役立ちます。
具体的にどんな職業でリーガルマインドが活きるかはこちらの記事をご参照ください。
→
法律を扱わないビジネスパーソンで、リーガルマインドが役立つ例を1つ。
社会ではなく大学生活でも役立つ場面を挙げます。
まず考えられるのはルールの見直しですよね。
・今あるルールは何なのか。
・そしてそのルールの存在理由(趣旨)は何なのか。
・これまでそのルールを適用することでどんな影響があったか。
良くない影響があって、それは存在理由とむしろ逆行するならルール変更を考えないといけない。
そこで次は新ルール作りを検討します。
その時に必要なのが利益調整によるバランス感覚です。
・先輩は立てないといけない
・でも先輩は先輩らしくしないといけない
・先輩も後輩も「ちょうどいい」感じにする必要がある
その結果、現在生じている悪影響をうまく解消するルールを編み出す。
場合分けできない、ケースバイケースの色が強いなら、あえてルール化しないのも1つの帰結です。
たとえば先の例だと、
①大学内で先輩を見たら必ず大声挨拶&お辞儀をする。
→(このルールの趣旨)
後輩は後輩らしく、かつ元気でいることで先輩に気持ち良くなってもらえる。
②先輩は、食堂で後輩を見かけたら必ずおごる。
→(このルールの趣旨)
先輩は先輩らしくあるべき。
どっちもルールの趣旨からすると過剰なんですよね。バランスが悪い。
①だと先輩が気づいてなかったら意味がないし、TPO的に先輩も挨拶してほしくないタイミングだってあるかもしれない。
そこで利益調整すると、
「先輩が後輩に気づいて話せそうであれば大声挨拶&お辞儀」にすると妥当な結論になります。
一方で②はどうでしょう。
先輩も大学生でそれほどお金があるわけではないかもしれないので、常におごるのはキツイかもしれません。
とすると、おごるルールがあると後輩と食事に行きたくなくなるかもしれない。
そこで「先輩が誘った場合は先輩は後輩の食事代を払う」と利益調整すると、妥当な結論になります。
こうした思考フローこそがリーガルマインドの現れです。
わかりにくかったでしょうか。
もっと良い例を考えられるようリーガルマインドを鍛えます。。
今回は以上です!
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