Study10.白ネギペーストに向いている部位(2)
白ネギの「香り」「辛み」を生かしてジェノヴェーゼのようなソースができるのでは、と考えたことから行った「Study8.白ネギペーストに向いている部位」。しかし、ネギのネギの青臭さが目立ってしまったこと、ネギ成分が強く胃がムカムカしてきてしまうことなどからレシピに結びつける事ができませんでした。
今回はどうしても諦めきれずに再度実験を行い、ネギペーストを完成させました。
今日のテーマ
実験結果
内容
調理法は、様々な文献や情報を元に「焼く方法」「茹でる方法」の2つに絞りました。
まずは「焼く方法」からです。使用するのは中がスカスカな緑の部分と白い部分です。栄養価の面では白い部分よりも緑の部分の方が高いので、丸ごと購入する事ができたら美味しく料理に使いたい部分です。
それぞれのネギを大きめに切り、フライパンに薄く油を引いて、たまにひっくり返しながら両面にこんがり焼き目をつけます。ネギ全体がしんなりしたら引き揚げて、オリーブオイル・塩と共にミキサーにかけます。
左が白い部分、右が緑の部分を使用しています。ここで一度味を比較しました。味の比較結果は以下の通りです。
緑の部分は焼くと生の状態よりも香り・味共に和らぐと想定していたのですが、あまり変化はありません。白い部分は香ばしい良い香りが立ち甘みが引出されました。しかし、ペーストとして食材に付けたとき、甘いだけで食材の味を引き立てる感じがしません。※野菜Laboでは「ペーストを野菜に合わせる」ことを前提にしています。
※ソースにおいて「甘み」の役割は、ソース自体をマイルドにするためのものと認識しています。甘くて美味しいという個性が前面に出すぎてしまうと、ソースに向かなくなってしまいます。今回は、ネギをメインに使用したソースを作ることを前提にしています。他の食材・調味料と合わせていけば、ソースをマイルドにする「甘み」や「深み」「コク」「香り」として生きてくると思います。
次に「茹でる方法」です。
上記の「焼く方法」の実験結果より、「白ネギの生かしたい個性」を緑の部分の「鮮やかな色」と「豊富な栄養」に絞りました。
ネギの緑の部分をお湯から1分ほど茹で引き揚げ、輪切りにして水洗いします。
この時ネギ内側の「ぬめり」が剥がれていくので、2回ほど水を変えて揉み洗いし、最後にきつく水を絞ります。
これを、焼いた時と同じようにオリーブオイル・塩と共にミキサーにかけて攪拌します。
上写真のように仕上がりました。とても色鮮やかな仕上がりです。
焼いた場合と比較すると色の差がよくわかります。左が「茹で」右が「焼き」です。両者とも、ネギの緑色がオイルにも溶け出していることも魅力的です。
味の比較結果を、前回の「生の場合」今回の「焼く方法」と合わせてまとめました。
白い部分は、「香がりよい」という個性を発見する事ができましたが、同時に甘みが強すぎるというマイナス面があります。緑の部分は、マイナスと捉えていた「青臭さ」「味」を下処理方法によって解決する事ができました。
結果
まとめ
今回、マイナス面を打ち消すという方法で採用に至りましたが、下処理をせずとも「香り」「味」「栄養価」「色」共に優れる食材は存在します。ジェノベーゼとして使われる「バジル」などがそういった食材です。
しかし、ネギの可能性を否定せず向きあったことで見えてきた、「オイルにまで色が移った、色鮮やかなペーストが作れる」という個性に出会えたことに感謝します。
下処理過程で様々な面が見えてきましたが、あくまでもネギをメインにしペーストを作るということを目的に進めてきました。今回採用しなかった個性も、また別の料理で生きてくると思うので、引き続きネギと向き合っていきたいと思います。
最後に、今回作ったネギペーストのレシピです。
白ネギ(緑の部分):30g(60㎝ほど)
オリーブオイル:24g(大さじ2)
塩:適量
今回味の比較のためここまでしか入れませんでしたが、ジェノベーゼソースのように「ニンニク1片」「松の実やカシューナッツ少々」を加えるとよりマイルドになります。よかったら、お試しください。
今日も、ごちそうさまでした。
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