見出し画像

Study70.れんこんポタージュ、変色の原因 迷宮入りしそう

今日も引き続き、「春のポタージュセット」に入る予定の「れんこんポタージュ」の実験を行っていきます。

前回の実験で「包丁でスライス」と「機械でみじん切り」を比べると、包丁でスライスした方が甘みがあることがわかりました。

ですが、包丁でのスライスは工場での仕込みの際あまりにも時間がかかってしまいます。そこで用意した今回の条件はこちら

A.包丁でスライス、炒めて、煮る
B.機械で大きくカット、炒めて、煮る
C.丸ごと蒸す
※すべて先に皮を剥く

AとBは、機械で細くみじん切りにするのではなく大きくカットすれば包丁でスライスした時と同じように甘みが出てくるのではと言う仮説からです。

さらに今回はもっと手間がかからない、「まるごと蒸す」という条件も一緒に比較をしてみます。※丸ごと炒めるとあまりにも時間がかかってしまうので蒸します。

今回は最初の実験を踏まえそれぞれきちんと最初に皮を剝きます。

まずは、「A.スライス、焼いて、煮る」からです。

ファイル_001

今回はスライスの厚さを5㎜から少し厚い1㎝ほどに変更します。前回の焼き時間は10分だったのですが、今回はサイズが大きいこと、また焼き目を少しつけるために15分にします。

ファイル_003

今回も、れんこんの穴からシュワシュワと泡が出てきて、見るからに美味しそうです。香ばしい良い匂いもしてきます。

ファイル_004


15分焼くと表面がほんの少しだけ茶色くなり焼けておいしそうになってきました。

ファイル_005

15分たったら水(300ml)を入れて煮ていきます。煮る時間は10分ほどを予定していたのですが厚くスライスしたので、なかなか火が通りません。結局20分煮て、合計35分加熱しました。

ファイル_008

この時点になると真っ白だったレンコンが、全体的に少し茶色味がかっていました。(煮込み後135g/れんこんの1.8倍)

本日も、煮汁がとっても美味しそうです。

次に、「B.機械で大きくカット、焼いて、煮る」に移ります。

ファイル_009

皮をむいて丸ごと機械に入れて大きめにカットされた時点で機械を止めようとしたところ、

ファイル_010

なんと大きくカットすることができませんでした。

大きな塊とそれ以外の細かいものに分かれてしまい適度な大きさにカットさせるということができません。この時点で敗北が決定しました。

前回の比較実験とほぼ同じ条件になってしまったのですが、ひとまず引き続き実験を進めていくことにしました...

ファイル_011

悲しい気持ちのまま次の工程に移ります。米油・塩と一緒にフライパンに入れよく絡ませて炒めていきます。今回、使う油の量を減らしたかったため前回の半量(小さじ1)にしたのですが、炒め始めるとすぐに粘り気が出てきて長く炒めることが難しいことがすぐにわかりました。

ファイル_013

フライパンにくっついてきてしまったので、10分で水を加えて煮る工程に移ります。

ファイル_016

前回もそうでしたが、細かくカットされていると煮汁が白濁します。

ファイル_017

フライパンの底にくっついてしまった分、色が茶色です。

長く炒められなかったのは残念ですが、なんだか煮汁がとろっとろで美味しそうです。

最後は「C.丸ごと蒸す」です。

ファイル_000

こちらは皮をむいたらひたすらホロホロになるまで蒸していきます。

ファイル_006

25分ぐらい蒸したところで中を覗くと、表面の一部が紫色に変色していました!どうして…

前回の実験から「皮を剝けば変色しない」と思い込んでいたのですが、「蒸す」という工程が原因の可能性が浮上します。これは前回の条件選びの完全なミスです。(今回は皮を剥いた後、汚れを洗い流しながらほんの30秒ほど水に晒しています。)

蒸しはじめてから48分で柔らかくなったため火を止めました。

ファイル_012

なんと最初皮付きで蒸した時と同じようにピンク色になってしまいました…

ファイル_014

なかなか思うようにいかないれんこん実験ですが、悲しみながらも前回同様、すべてペーストにしていきます。

ファイル_015

「C.蒸すだけ」は水・米油・塩が含まれていないので、条件を揃えるため同量を加えていきます。

色がきれいなのは、スライスし炒めて煮る。

ファイル_018

(左から順に A.包丁でスライス焼炒めて煮る、 B.機械で大きくカット炒めて煮る、C.丸ごと蒸す)

機械でカットして炒めたものはフライパンの上で焦げついたのでその色が影響しています。蒸したレンコンは仕上がりが小豆色に近くなりました。

滑らかなのは、「まるごと蒸す」

ファイル_024
ファイル_027

(C.丸ごと蒸す)

「C.丸ごと蒸す」が一番滑らかに仕上がりました。スプーンですくって落とすと滑らかにさらっと落ちます。炒めたAとBはスプーンからボタボタと落ちます。

ファイル_022
ファイル_025

(A.包丁でスライス焼炒めて煮る)

ファイル_023
ファイル_026

(B.機械で大きくカット炒めて煮る)

れんこんが「ほろほろになるまで」とう条件で加熱したのですが、結果加熱時間が一番長かったのは「C」でした。このことが滑らかさに影響している可能性もあります。

「まるごと蒸す」は、舌に残るねっとり感が強い。

一番滑らかではあったのですが、同時に舌に残るねっとり感が強く、少ししつこいように感じます。ねっとり感が舌を覆い、うまみを感じにくいです。

「機械でみじん切り」は塩味が強い。

ファイル_023

前回の実験と同じなのですが、細かくカットして炒めたものは塩味を強く感じます。

甘みの違いがわからなくなった。

前回は、「包丁でスライス」した方が甘みが強かったように感じたのですが、今回は大きな違いを感じ取ることができなくなってしまいました。スライスの厚さの違いが関係しているのかもしれません。

変色の原因は「皮」ではなく、「加熱方法」!?

前回の実験で、変色の原因を突き止めたはずだったのですが、原因は「蒸す」という「加熱方法」にある可能性が高くなってきました。(ちなみに今回使ったれんこんは全て水にさらしていません

これまでれんこんの「加熱条件による変色メカニズム」についての文献を読んだことがなかったのでネット上で検索をしてみたのですが、みなさん、同じれんこんでも「昨日は変色したのに、今日は変色しない、なぜ!」という状況になっているようです。

私自身は、これまであまり「酢水につける」などの変色をおさえる調理をせずとも変色したことがありませんでした。ところが今回、はじめて「まるごと蒸す」という調理をしたところ変色してしまいました。

仮説「ゆっくり加熱される」と変色する?

なんとなくですが、現時点では「ゆっくり加熱される」と変色するのではないか?という仮説が立っています。味についても決めきれない結果になってしまいましたが、慎重に条件を選びながら引き続き実験を行っていきたいと思います。

ポタージュの工場施策日まで時間がなく、焦り始めています...
次回もお楽しみに*

***

<使った材料のメモ>
れんこん:75g
塩:1g
米油:小さじ1(炒めるなら少ない)
煮込み後の重量:れんこんの1.8倍


最後までお読みいただきありがとうございます。頂いたサポートは「野菜のおいしい食べ方がもっと世の中に溢れるため」の活動や勉強のために使わせていただきますね。