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Study54.豊栄の郷土料理を再現してみる。vol.5(しば餅編)

5回目となった今回のテーマは「しば餅」です。この連載で教科書にしている冊子「ふるさと とよさか 新 四季の味」にも掲載されています。通常はお盆が来る頃に作るのが毎年の恒例だそうなのですが、今回一ヶ月早く前倒しで教えていただくことができました。

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「しば餅」の「しば」がなんなのか知らなかったのですが、「しば」とはサルトリイバラのことだそうです。教えて頂いたお母さんの家の庭に生えているサルトリイバラを見せていただきました。

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こんなしっかりした葉っぱをしています。つる性の植物で、葉っぱを知っていれば道端でも見つけることができるそうです。サルトリイバラの葉で餅を包む理由は、のちのちわかっていきます。


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お母さんの自宅へ到着すると、早々に餅づくりがスタートしました。餅米100%の米粉をボウルに入れ、熱湯を入れながら練っていきます。初めは菜箸で、まとまってきたら手でこねていきます。「硬さは耳たぶくらいとよく言うけど、実際は加減が難しいのよね」とお母さん。

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それを今度は大福くらいの大きさに丸めてから、真ん中に窪みを作り、ピンポン球くらいの大きさに丸めておいた「あんこ」を入れて包みます。仕上げに下に広げておいた片栗粉の上を転がしながら表面にまぶし、最後にサルトリイバラの葉で包みます。あんこは市販品を使う場合、必ず家で火を通すそう。あんこは悪くなりやすくしば餅の蒸し時間も短いので、安全のために行います。

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サルトリイバラの葉から餅がはみ出してしまうと、蒸している途中で餅が垂れてお鍋にくっついてしまうため、葉が小さかった時は上下から2枚で挟みます。また、この片栗粉をまぶすのは、食べる時に葉っぱから離れやすくするためだそうです。葉っぱに餅がこびりついてしまうのを防ぐための方法は豊栄町内のお母さんそれぞれに方法があり、あんこを包む前練った餅米のみを先に蒸したり、葉っぱで包む前に油や砂糖水を絡めるなど様々だそうです。

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全部で30個仕込んだので、丸めて葉っぱに包む側から蒸していきます。蒸し時間は5分で、お母さんが別のお母さんから受け継いだレシピでは時間厳守だそうです。

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蒸し上がったらザルに上げていきます。蒸し器の蓋を開けるとふわっと良い香りがしてきて、この香りのためにサルトリイバラの葉っぱで包むのだな、と気付きます。

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つるっと、もちっと、蒸し上がってきました。あっという間に出来上がり、こんなに簡単だったのかと驚きました。工程はとてもシンプルで、「粉をこねる際の水加減」と「蒸し時間5分厳守」が大切です。

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お母さんが地域の方から受け継いだレシピは、手書きでまとめられ大切に保管されています。キーボードで入力しデータ上に作成する今の時代だからこそ、この手書きで残されたレシピがより愛おしく思えてきます。

市販品の米粉で試すなら、団子粉を使うよりも上新粉を使うと今回作ったしば餅に近い物が再現できます。道端に生えている葉っぱが香り良いお餅作りに使えると知れて、また一つ世界が広がったような気持ちになります。今回のレシピも、私の中で大切にしていこうと思います。

<今回のレシピ>
餅米・・・(200ml) 5カップ
熱湯・・・適量
サルトリイバラの葉・・・30個包める枚数


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