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密陽公演芸術祝祭(英語表記は、Miryang Performing Arts Festival)

※写真は、2012年、密陽(ミリャン)公演芸術祝祭での、「匂衣(におい)」の舞台写真。

若者が、内向きになっている時代だと言われる。それが本当なのか、単なる偏見なのか、わからない。けれども、国外に飛び出したいと思う人に何かしらの参考になるはずだと思い、密陽(ミリャン)公演芸術祝祭について、簡単に紹介したい。

密陽公演芸術祝祭(英語表記は、Miryang Performing Arts Festival)は、2001年からスタートした演劇祭で、2020年で20回目を迎える。HPはこちら。http://www.theatervillage.co.kr/

私は、2012年の第12回の時に、「匂衣(におい)」という、自分の作品で参加した(劇作家兼音響オペレーターという役割だった)。初めて参加した、海外の演劇祭だったこともあり、私の演劇活動において、事ある毎に振り返る基準点にもなっている。

まず、密陽(ミリャン)がどこにあるかから説明しよう。

密陽市は、釜山市から80km内陸にある。釜山は、朝鮮半島の南東の角にある韓国第二の都市で、韓国の大阪とよくたとえられる。そこから、少し離れたところにある密陽は、さしずめ奈良ぐらいのイメージか。海に面していない、山に囲まれている田舎の町という印象である。韓国映画ファンには、「シークレット・サンシャイン」の舞台として、よく知られている。

密陽公演芸術祝祭は、密陽市郊外の密陽演劇村が会場である。郊外に廃校になった田舎の学校があったのだが、そこを市が無償で提供。校舎が7つほどの劇場に改築されて、演劇村が作られた。そして、夏になると、大規模な演劇祭が開催される。それが、密陽公演芸術祝祭である。

田舎の町なのに、どこにいたの?というぐらい、たくさんの地元の観客が押し寄せてくる。特に、夜のメインプログラムの公演では、1000人以上座れる野外劇場が満席になった。その光景は壮観で、地域の人々の演劇熱に驚かされたことをよく覚えている。

さて、私の作品はというと、100席未満の小さな会場での公演だった。当時の演劇祭の芸術監督の李潤澤氏からは、「”匂衣”は、とてもいい子ども向け、家族向けの演劇作品になる」と言われ、密陽公演芸術祝祭だけでなく、居昌(コチャン)国際演劇祭にも推薦してくれて、参加することになった。

私は、「匂衣」は、大人の観客を想定して作ったので、「とてもいい子ども向け、家族向けの演劇作品」と言われたことはすごく意外だったのだが、確かに、子どもたちがゲラゲラ笑いながら見ている(上演は、日本語で行い、韓国語の字幕付きだった)。自分には、子ども向け、家族向けの演劇を作る資質があるのかと、漠然と感じたのだった。それが、今の子ども向け演劇作品の創作につながっている。

尚、密陽公演芸術祝祭については、日本在住の韓国人演出家:金世一氏の2011年のレポートがあるので、もし、ご興味がある方は、こちらも読んでみてほしい。https://www.wonderlands.jp/archives/19006/


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