GARMIN UNBOUND Gravel 2021 #7

モーテルから1時間ほど西へ車を走らせてエンポーリアに到着した。人口25,000人程度の小さな大学都市だ。僕たちは路上に駐車できるスペースを見つけると、すぐバーベキューショップに滑り込んだ。昨夜食べた塊肉ではなくスライスされた肉をサンドイッチとして提供する店で、少し早いランチにはちょうど良かった。店の内装はなんとなく古き良きアメリカの雰囲気で洗練されておらず、アメリカ中西部の田舎町の印象そのままだが、ハイティーンの時期にアメリカン・カジュアルにどっぷりだった僕にとっては、そのリアリティが絶妙に格好良く見えた。最も定番だと思われるシンプルなサンドイッチとコールスローサラダのセットを注文したが、どちらも間違いなく美味だった。やはりカンザスはバーベキューなのである。
ランチ後はグラベル専門の見本市All Things Gravel Expoを見て回ることにした。森本は先程からカメラを出し動画の撮影を開始している。我々にもおなじみのサイクルモードと同じような雰囲気であるが、展示されているバイクはすべてグラベルバイクで、そのマーケットのサイズに驚いた。ブースを覗いている人も多く、展示会そのものの集客数こそはサイクルモードの方が多いが、日本ではまだまだ先鋭的なグラベルバイクだけで多くのブランドが集まりこれほど規模で展示会を行うというのは驚きだ。ブースを見て回っていると目抜き通りに差し掛かったので、ちょうど良いとリヨン郡歴史センターというビルの3Fに向かうことにした。ここでレースのエントリーを行うようだ。通りを歩くと、街全体がUNBOUND Gravelの開催を祝福していることを強く感じた。通り沿いの電灯には男女の歴代優勝者のフラッグが掲げられ、多くの店がGravel Cityと書かれたポスターやボードを掲示してイベント参加者を歓迎している。センターに到着しサインを書こうと並んでいると、森本があっと不意に声を上げ、痩身の白人の男性を追いかけて声をかけていた。彼はおそらくピーター・ステティナ選手だ。CANYON Japanからオファーをしてインタビューを撮影するという段取りになっていたらしく、どうやら約束を取り付けたようだ。それまでに少し時間があったので僕たちも着替えてバイクを用意し、インタビューを撮り終えてから試走をすることにした。約束の時間にCANYONのブースに居ると、ピーター・ステティナ選手がやってきた。彼はとても紳士的で極めてプロフェッショナルだった。そこで森本は完璧にインタビュアーとしての仕事をしたし、その動画はいつも彼が動画ををアップロードするSNSで人気を博すことだろう。

>> GARMIN UNBOUND Gravel 2021 #8


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